未病ケアで健やかに

会員誌『カラフル』にて連載のコラム。健やかな日々のために知っておきたい
知識を、「未病学」の権威、福生吉裕医学博士が教えてくれます。

2018.02.13

白い血液

  • 血液は語る

     血液は身体の多くの情報をもっており、その血液を採取し調べることで病気の診断がつけられます。逆を言うなら、血液検査で異常な状態を、まず病気として診断していると言っても過言ではないでしょう。
     感染症や代謝異常、免疫関連疾患、遺伝子異常など、軽い病気から難しい病気まで、また病気の経過などが血液検査でわかります。

  • 看護師さんもびっくり

     さて、一般のクリニックではスピッツという容器で採血を行います。それを試験管立てにしばらく立てておくと、血液は上に薄黄色の血漿(けっしょう)と下には赤血球の固まった血餅(けっぺい)として分離してきます。と、ここで問題が起こりました。「この血液、気味悪い。白いじゃん」と看護師さんが素っ頓狂な声を上げました。薄黄色のはずの血漿が真っ白だったのです。今回はその白っぽい血漿についてのお話です。

  • 痛くも痒くもないが……

     46歳の自営業の山本賢治さん(仮名)は、身長168cm、体重71kgの中肉中背。最近、疲れやすいので精密検査を受けたいと言ってクリニックを訪れました。少々汗かきではありますが、ほかは痛くも痒くもありません。血圧134/96mmHg、胸部および心臓音にも特に異常はありませんでした。お酒はよく飲まれます。仕事を終えての缶ビール3本、焼酎2杯飲むのを一日の楽しみとされています。
     で、その血液検査の結果、総コレステロールは148mg / dlで悪玉コレステロールのLDLは67mg/dl、さらに善玉のHDLは18mg/dlしかありません。その代わりに中性脂肪はなんと1800mg/dlもありました。基準値は150mg/dl未満です。実は、前述の白っぽい血漿は山本さんのものだったのです。

  • 脂肪しか流れてない血管?

     血漿はコレステロールが多くても白くは見えません。では、中性脂肪が多いとなぜ白く見えるのでしょうか。実は中性脂肪とコレステロールの粒子のサイズが違います。粒子が大きいと光が乱反射してしまうのです。それで白く見えます。しかも脂肪は血液より軽いので、細い血管内を血液よりも速く流れ、中性脂肪ばかりが流れる状態をつくります。そう、赤血球が流れについていけず、酸素が十分に送れずに組織に窒息の状態が生じてきます。中性脂肪が多くていちばん先にダメージを受けるのは膵臓です。急性膵炎を起こし、強い腹痛を生じます。
     山本さんの場合、中性脂肪を分解する酵素が生まれつきなかったうえ、アルコールの多飲が加わりこのような高中性脂肪になったと思われます。
     中性脂肪が多くてもほとんど自覚症状がないのが、曲者と言われるゆえんです。中性脂肪は食べたものの影響を強く受けますので、測るには食べずに検査してください。アルコールとカロリーを控え、一日30分程度の運動を3週間することで中性脂肪はそれなりに低くなります。

■中性脂肪の測り方と基準値と対応■

空腹時に採血を行います。基準値は150mg/dl以内。中性脂肪は果物の取りすぎでも上がります。
基本はカロリー制限です。魚食がすすめられます。
短期には急性膵炎、長期続くと動脈硬化や脂肪肝の原因になりますのでご注意ください。

脂質系の基準値

項目 基準値 単位
総コレステロール 130~219 mg/dl
LDL 70~139 mg/dl
HDL 男性40~86、女性40~96 mg/dl
中性脂肪 35~149 mg/dl

福生吉裕(ふくお・よしひろ)

日本未病システム学会理事長。(一財)博慈会老人病研究所所長。
少子高齢社会における未病ケアシステムの構築を提唱している。専門は「高脂血症」「動脈硬化」「認知症」。現在は『未病と抗老化』(博慈会老人病研究所)編集長。
著書に『見た目で病気が分かる』、共著に『セルフ・メディカ』『未病息災』など多数。

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