未病ケアで健やかに

会員誌『カラフル』にて連載のコラム。
健やかな日々のために知っておきたい知識を、
「未病学」の権威、福生吉裕先生が教えてくれます。

2018.10.09

夜間頻尿

  •  歳を経るごとに減るモノは多くあります。髪の毛しかり、筋力もしかりです。一方、増えるモノは白髪とシワ。しかし、これらは痛みも痒みもなく自覚症状がないからまだましです。
     一方、増えて厄介なモノとして、夜の排尿の回数があります。題して「夜間頻尿」。

    お口の気になる方へ
  • 1%しかできない貴重な尿

     尿はまず赤い血液が腎臓の糸球体というところでいったん濾過され、その99%は再び腎臓の中の尿細管で再吸収され血液に戻ります。そう、残りの1%だけが尿になるのです。本来貴重品なのです。その量は1時間に約100ml。成人の膀胱容量は平均して約500mlで、尿意を感じるのは約250mlぐらいからです。
     しかし、それがひと晩に3回も4回もトイレに起きなければならないのは問題です。睡眠障害はもちろん、足元のおぼつかない夜間での転倒のリスクも高まります。不眠症から“うつ”にもつながりかねません。そして不用意に睡眠剤を用いようものなら、括約筋が緩み布団に失禁とおまけがつきます。

  • 夜間頻尿、その理由は

     夜間頻尿になるのは、歳をとると膀胱自体の弾力性がなくなってくることが原因です。膀胱も萎縮してくるのです。膀胱の容量が少なくなるので、少量の尿がたまるだけで尿意を感じてしまいます。男性ならば前立腺の肥大なども影響してきます。また、糖尿病が原因で尿量そのものが多くなったり、ストレスが原因の神経性の頻尿もあります。
     昼間は交感神経の緊張で比較的尿意は収まっていますが、夜間は副交感神経が優位となり、膀胱の活動が高まることも影響します。この対策としては昼間、少しおしっこを我慢して膀胱容量を増やし、萎縮させないでおくという訓練もあります。少し原始的ですが初期はこれも有効です。

  • 夜間頻尿から心臓と高血圧の未病が見える

     心配なのは心臓の疲労です。心臓と腎臓とは連動して働いており、一日に一定量の尿を出すというノルマがあります。男性は約1800ml、女性は約1600mlです。そこで心臓の収縮力が弱くなると、自然と夜間に尿を多くつくろうというシステムが働き出します。
     ひと昔前の高層住宅を思い出してください。下の階では水道は勢いよく出るのに対して、高層階になるにつれて、水がチョロチョロしか出ないという経験をされた方もおられるでしょう。日中は立っている場合が多く、頭から足までの血液循環にはポンプとしての心臓の力が必要ですが、夜は水平に横になっているので夜間に循環させるほうが心臓の負担が少なくてすむからです。少ないエネルギーですむ夜間に尿を多くつくっておこうとする現れなのです。夜間頻尿でお悩みの方は、一度は心電図などで心臓の状態を調べておくのがいいでしょう。
     また、なかには夜間に血圧が上がる人がおられます。寝ている時は血圧が下がるとばかりは限りません。早朝高血圧の方にこのタイプが多いようで、適切な降圧剤で夜間頻尿の改善が期待できます。

  • 夜間ゆっくり眠るために

     寝る前の少量の水分補給は脳血栓予防などに悪くありませんが、多すぎはやはり頻尿の原因になるのでほどほどに。また過活動膀胱といって膀胱自体の活動が急に亢進するものもあります。これは泌尿器科で相談されるのがいいでしょう。

福生吉裕(ふくお・よしひろ)

日本未病システム学会理事長。(一財)博慈会老人病研究所所長。
少子高齢社会における未病ケアシステムの構築を提唱している。専門は「高脂血症」「動脈硬化」「認知症」。
現在は『未病と抗老化』(博慈会老人病研究所)編集長。
著書に『見た目で病気が分かる』、共著に『セルフ・メディカ』『未病息災』など多数。

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