欧先生の診察室

会員誌『カラフル』にて連載のコラム。
日々の暮らしの中で気になる症状や、季節の変わり目のお悩みに
佐々木欧先生がやさしくアドバイスしてくれます。

2024.03.05

不整脈ってなあに?

  • 高血圧と糖尿病を治療中のFさん(70歳、男性)。最近ときどき、動悸(どうき)を感じるといって相談に来ました。さっそく心電図をとったところ、結果は正常でした。一時的な不整脈だった可能性がありますね、と話が始まりました。

  • Q.不整脈にはどういった症状がありますか?

    Dr. 動悸のほかに、息切れやめまいなどもあります

    不整脈では、脈が速くなる場合もあれば、遅くなる場合もあります。どちらの場合でも、血液が全身に行き渡らなくなるために、様々な症状が起こります。息切れ・息苦しさ、胸部に痛みや不快感を感じたり、めまいや意識を失う場合もあります。

  • Q.不整脈は、いつ起こりやすいですか?

    Dr. 夜から朝にかけて多くみられます

    心拍数は自律神経によって調節されておりますが、不整脈は自律神経のバランスの切り替わる夜間から朝方にかけて起こりやすいと言われています。

  • Q.何か引き金になることはありますか?

    Dr. ストレスや飲酒などの影響を受けます

    ストレスや疲労・睡眠不足があると自律神経が影響を受けて、不整脈が起こりやすくなることが知られています。アルコールは心臓の刺激伝導系に直接影響を与えて、不整脈を誘発することがあります。

  • Q.心電図でわからない不整脈もありますか?

    Dr. まさに不整脈が起こっている時にだけ、心電図に表れます

    不整脈は、心臓の刺激伝導系(拍動のリズムを調節する経路)の異常によって起こります。発症初期には、一時的な異常である場合が多く、まさに不整脈が起こっている時でなければ、心電図で捕まえることができません。

    心電図を受ける日には、手首・足首の出る服装でタイツ・ストッキングは避けて、胸を開けやすいように上下に分かれた服を選びましょう
  • Q.いつ起こるかわからない不整脈を、どうやって診断しますか?

    Dr. 24時間装着する心電図計で診断します

    症状のある時に心電図をとろうとしても、空振りに終わることもあります。そういった場合には、ホルター心電図といって一日中装着して心電図を記録する小型の装置で検査を受けることができます。この検査は循環器内科で受けることができますが、内科のクリニックでも受けられる場合もあるので主治医の先生に相談してみましょう。

  • Q.動悸、息切れ、めまい用の市販薬はどうですか?

    Dr. 不整脈自体を改善するものではありません

    自律神経の不調に由来する、動悸、息切れ、めまいといった症状を和らげる漢方薬が市販されています。この薬は不整脈自体は改善しません。一見症状が軽くなる分、自己判断で使い続けると診断が遅れて悪化するおそれがありますので、まずはかかりつけの内科で相談しましょう。

  • Q.治療は必要ですか?

    Dr. 不整脈の種類によります

    年齢を重ねるにつれて、単発の不整脈がときどき起こるようになり、脈が1拍飛ぶことがあります。これは心臓のしゃっくりのようなもので、敏感でなければ気づきませんし、治療も必要ありません。不整脈が連発して持続する場合には、治療が必要となります。

  • Q.不整脈を放置するとどうなりますか?

    Dr. 悪化すると心臓の機能が低下したり、脳梗塞(のうこうそく)のリスクとなる場合もあります

    不整脈の病状が悪化すると心臓の機能が低下して、疲労感や息切れ、むくみといった症状が出たり、突然死のリスクにもつながります。特に、心房細動という不整脈が慢性的に続いていると、心臓内に血流がうっ滞して血栓を生じます。この血栓が血流にのって心臓の外へ運ばれると血管内で詰まってしまいますが、脳血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。

  • Q.どういった人に心房細動は起こりますか?

    Dr. 男性に多く、高齢になるほど増える傾向があります

    左の図は、2018 年の岩手県の健康診断での調査をもとに、有病率をまとめたものです。男女ともに年齢を重ねるほど発症しやすくなる傾向があり、男性では60代以降、女性では70代以降で急増しています。過去の研究と比較すると、男性の高齢者での増加が目立っていました。

  • Q.不整脈は、どうして起こりますか?

    Dr. 高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などが発症のリスクとなります

    不整脈の背景に、高血圧や糖尿病、甲状腺ホルモンの異常、睡眠時無呼吸症候群などを伴っている場合があります。心臓の弁膜症(*注)に由来する場合もあります。不整脈を悪化させないためには、それぞれの病気の治療も欠かせません。
    高齢者の不整脈には、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈の血流低下を伴っている場合が多く、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患を合併する場合が多く見受けられます。不整脈と、冠動脈疾患とは、互いに悪影響し合う病気であり、心不全や心筋梗塞につながるおそれがあります。
    * 注:心臓には4つの弁があり、血流を調節するドアの役割をしています。弁膜症では、これらの弁がきちんと開閉できなくなり、血流が乱れて心臓に過剰な負荷がかかります。

  • Q.治療について教えてください

    Dr. 通常は飲み薬で治療をしますが、カテーテル手術を行う場合もあります。

    心房細動では、血をサラサラにする薬と、脈拍を整える薬とを併用して飲み薬で治療します。効果に乏しい場合などには、心臓のカテーテル手術をする場合もあります。
    心臓のカテーテル手術では、足の付け根を局所麻酔して、そこから動脈内にカテーテルと呼ばれる細長い管を入れて心臓まで進めます。そして、心臓内部にある異常な刺激伝導をもたらしている部位を特定し、高周波の電気エネルギーを送って焼き切ることで本来の心臓の調律をとり戻す治療です。静脈麻酔を併用して、眠った状態で行う場合が多くなっています。

  • Q.治療中に気をつけることはありますか?

    Dr. 薬によっては、相性の悪い食べ物やサプリメントがあります

    血をサラサラにする薬のワーファリンを飲んでいる人は、納豆、クロレラ、青汁といった、ビタミンKが多く含まれる食品で効果が低下するため避けなければなりません。
    薬の多くは肝臓の代謝酵素の働きで分解されますが、グレープフルーツなどの柑橘類は、代謝酵素を阻害するために、薬が効きすぎてしまう場合があります。逆に、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)というハーブは、代謝酵素の働きを促進するため、薬の効きが悪くなってしまう場合があります。

  • Q.不整脈の予防のために、生活で気をつけられることはありますか?

    Dr. 禁煙を心がけ、塩分・脂質・アルコールの摂りすぎに気をつけましょう

    食事では、野菜や豆類、キノコ類などで食物繊維をふんだんにとり、塩分や脂質が過剰にならないように気をつけましょう。適度に運動と睡眠をとり、ストレス軽減のために趣味や楽しみをもつことも大切です。
    禁煙も重要です。習慣的な飲酒は避けて、体調がすぐれない日には飲まないようにしましょう。カフェイン摂取は、コーヒーで一日に2~3杯以内にとどめて、デカフェを選んだり、緑茶はカフェイン含有量の少ない煎茶やほうじ茶などを選ぶといった工夫もおすすめです。

  • 不整脈の予防のための生活習慣は、高血圧や糖尿病の治療とも共通しているのですねと、うなずきながら聞いていたFさん。まずは診断からということで、ホルター心電図の検査の予約をして帰ってゆきました。

佐々木欧(ささき・おう)

医師。東大病院で長年アレルギーやリウマチ(膠原病)の診療に従事。
現在は秋葉原駅クリニックで内科全般の診療を手がけている。
生活のなかで実践できるセルフケアの開拓や患者さんの不安を軽くできる、やさしい医療を目指している。

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