税金・保険コラム

2009.09.02

生命保険の基礎知識(14)人生の予定表が書けない人とはどんな人?

相変わらず草木がジャングル状態の筆者のベランダでは、また何か謎の双葉が顔を出しています。食べた果物の種だけを埋めた鉢なので、この双葉は桃かスモモでしょう。食べられるような実がなるまで何十年かかるか知りませんが、筆者は可愛らしいザ・マン盆栽が作れるのではないかと楽しみにしています(ザ・マン盆栽とは、盆栽にフィギュア=ミニチュア人形を組み合わせてひとつの情景を作るものです)。

さて、生命保険を選ぶ前に作成する人生の予定表ですが、これが書けないという方も、実はかなりいらっしゃるのではないかと思います。そういう方にどうして書けないのかお訊きすると、「会社で昇級昇格するかどうか分からないから、転勤になるかもしれないから、子どもが生まれないかもしれないから、三つ子が生まれるかもしれないから、リストラされるかもしれないから、転職するかもしれないから、etc、...だから、予定が立てられない。」とおっしゃいます。
逆に、楽しげに予定表を書き込んでいく方もいらっしゃいます。
予定表というのは、「どうなるか」という予測表ではなく、「こうしたいから、こうする」というまさに「予定」を書くものですから、夢を列挙することと似ています。

この予定表を書く場面で、データが無いからと、なにも決められなくなって固まってしまう人とえいやっと決めてしまう人との違いはどこから来るのでしょうか。

世の中には、色々なタイプの人がいることは、みなさんも経験的に知っていらっしゃるでしょう。学者も色々な説を唱え、人間の性格を分類してきました。筆者が知っているところでは、簡単なところで4分類、16分類、32分類、多いところで720分類というものもありますが、ここでは16分類の例について述べてみます。

16分類の例

これは、下の表のように4つの指向性で分類するものです。

A 外向型か内向型か 人と接することが、エネルギー源になるか、疲れてしまうか
B 感覚型か直感型か 五感や分別、経験、事実を信じるか、勘を信じるか
C 思考型か感情型か 客観的か主観的か
D 認知型か判断型か 決断を下すのが不安で、他の情報や選択肢が現れるまで決断を引き延ばしたがり、選択の余地を残し、臨機応変・プロセス中心か、物事にけりをつけたがり、締切優先・仕事優先・結果中心か

これらA,B,C,Dの組合せで、16種類ができあがるというわけです。元々は心理学者のユングが分類した8種類(外交、内向、感覚、直感、思考、感情、認知、判断)からできあがった類型論の一つです。

予定表がなかなか書けない人は、この16分類で言えば、Dの指向性が認知型で、決断を先延ばししたい、もしくは変更できるようにしておきたいタイプなのでしょう。

性格の違いは、たとえばこんな発言にも現れます。

  • 太郎さん「相手の性格を理解するには、どう分類すればよいのか、大勢の人が知りたがってきました。」
  • 次郎さん「相手の性格を理解するには、どう分類すればよいのか、みんなが知りたがってきました。」

上の二つの文章の違いはたった一カ所、「大勢の人が」か「みんなが」だけです。
しかし、これだけでも太郎さんと次郎さんとの性格が違うということが分かるのです。そうですね、上の分類で言えば、Cの指向性が、遣う語彙に表れていますね。みなさんも普段の生活のなかで気づかれているのではないでしょうか。自分の遣う言葉に気を遣い、できるだけ正確にしようとする人と、感覚的に遣う人がいることに。

子どもが「クラスのみんなが持っているから、私にも買って」と言う時の「みんな」とは果たして本当に「この子以外のクラスメート全員」でしょうか?子育て経験者は、たいがいの場合、「みんな」というのは、3人くらいしかいないということを知っているものですね。そこで、理由がどうあれ、買ってやりたくない時に親は、「みんなって誰のこと?」と名前を挙げさせ、「ほら、全然みんなじゃないじゃないの」と子どもをやりこめたりします。

しかし、「3人」というのは実は大きな意味を持っています。大人を被験者とした実験で、前回取り上げた錯視の絵(矢印の絵:2009年6月3日掲載)を見せて、どちらが長いかを質問します。被験者は同じ場所にいて、一緒に絵を見ており、回答は端から順番に答えるので、他の被験者がどう答えたかが、残り全員に分かるようになっています。被験者以外は全員サクラの被験者で、被験者は最後に回答する位置にいます。
この状態で、サクラは、「上の矢印の方が長く見える」と答えるのです。サクラが3人続けておかしな意見を述べると、本当の被験者は、確信が揺らいでしまい、サクラの3人と同じ意見を述べてしまうことが多いのです。これは、サクラの人数を変化させた比較実験で、サクラの人数が3人からが影響力を増すということが分かっています。

錯視図に騙されにくい人もいるので、別な実験も行われています。それは、ロウソクの炎が揺れて見えるかどうか問うものです。結果は同じになりました。実際には、暗い実験室の奥に置いてあるロウソクは本物ではなく、白熱灯なので炎が揺れることは無いのです。ですが、このように、被験者が観察する事実とは明らかに異なる意見にでも、3人以上のサクラがいると影響されてしまうのです。

この影響する力のことを同調圧力と呼んだりしますが、人間には、他人と同じでいたいという気持ちが、多かれ少なかれあるものなのです。しかし、生命保険は他人とは違う自分の人生の予定表に従って選ばなければ、価値がありません。予定表が全く書けないのでは、先に進めませんが、お子さんのある方は、お子さんの学齢が進みますから、それを基準とするしかないのかもしれませんね。

社会保険労務士
小野 路子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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