法律コラム

2014.09.17

贈与、財産分与について

夏も終盤、いよいよスポーツの秋、食欲の秋へと季節は移り変わろうとしておりますが、皆様お変わりございませんか。今年の夏は、台風や集中豪雨の影響により、各地で自然災害が多発しました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。
さて、今回は、贈与、財産分与等に関して、Q&Aを進めて参りたいと思います。

Q1.このたび、20年連れ添った夫と協議の上、離婚することになりました。夫との間には、大学生の21歳の長男と、高校生の長女の2人の子供がいます。現時点では、子供は二人とも私が引き取り、更に夫婦2分の1ずつで共有している自宅の土地・建物を全部私の名義にする旨の話し合いがついております。また、子供2人の養育費として月々10万円の支払いを約束してくれています。
このことを友人に相談したところ、約束したことを必ず書面にしておくようにとのアドバイスを受けたのですが、具体的には今後どのような手続を経たらよいのでしょうか?

A1:お二人が協議離婚をすることになり、その際の親権者をどちらにするか、また、養育費、慰謝料、財産分与等の額や内容が決まっているのであれば、その履行を万全のものにしておくことが必要となります。

この点につき、あなたの友人のアドバイスのとおり、文書(一般的に「離婚協議書」と呼ばれています)にしておくことをおすすめします。更に、その文書も公証役場で作成する「公正証書」にしておくことをおすすめします。
公正証書を作成することをおすすめする理由は、養育費、慰謝料等の金銭の支払いに関して、支払義務を負う者がこれを怠った場合、裁判所の判決等を得なくても直ちに強制執行することができ、債務の履行を強いることができるからです。
なお、このためには、公正証書の文中に「本公正証書に定める金銭債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨の陳述をした。」等の文言(「強制執行認諾文言」と呼ばれています)を、二人の合意の上で入れておく必要があります。

次に、離婚協議書中で、一般的に定められる事項は下記の内容ですので、財産分与に重点を置き、他についてはそれぞれにつき、若干の説明を加えておきます。

贈与、財産分与について

①親権者
あなたの場合には、高校生の長女のみが対象になります。成人している大学生の長男は対象外となります。

②養育費
一般的には、養育費は子供が成人するまでですが、子供が大学を卒業するまでと定めることもできます。子供が複数人いる場合でも、それぞれにつき、金額、支払方法、いつまでに支払うかを明確にしておくことです。また、予期し得ない出費もありますので、具体的な額を後日協議の上、増減し得る文言も入れておくことをおすすめします。

③慰謝料
慰謝料が発生する場合には、誰が誰にいくらを、どのように(一括か分割か、支払の期限及び方法)支払うかを記載します。

④財産分与
財産分与の対象物につきましては、2013年5月29日のコラム(バックナンバーをご覧下さい)に詳述しておりますので、それをご参考にして頂くこととして、ここでは、財産分与の対象となっている財産であることを前提として、誰から誰に、いつまでに、どの財産を、どのように渡すかを記載します。

本問の場合には、ご主人の自宅不動産の持分を、あなたに財産分与として移す、とのことですので、離婚協議書に記載する場合、法務局で入手する登記事項証明書か、不動産権利証に記載されている自宅不動産の表示を、そのとおりに記載する必要があります。
公正証書の場合には、事前に公証人に不動産の登記事項証明書を資料として提出する必要があり、公証人は提出された登記事項証明書を確認して公正証書を作成しますので、特に問題はありません。

ただ、私が実際に職務遂行時に経験したことをお話ししますと、住宅地の自宅不動産を財産分与で譲り受けたケースで、公正証書には主たる土地・建物は記載されておりましたが、その区域にある集会所の持分を共有していたにもかかわらず、その記載が公正証書から漏れていた、ということがありました。

このケースでは公正証書作成からその履行まで間がなかったので、相手方(財産分与をする方)の了解もすぐ得られましたが、時を経て発覚したような場合には、公正証書に記載されていない訳ですし、相手方の協力を得られない場合も出てきます。

したがって、文案を作成する時点で、司法書士等の専門家に相談することをおすすめします。

このように、不動産を財産分与として譲り受ける場合は、金銭債権ではありませんので、相手方が履行に応じない場合には、別途、裁判所で勝訴判決を得なければなりません。しかし、その勝訴判決を得る際において、公正証書で作成された「離婚協議書」には高い証明力がありますので、容易に勝訴判決を得ることができる、ということになります。

⑤その他
以上の他、子供との面接交渉、年金分割、清算条項(公正証書に定められた事項以外に債権債務関係がないことを確認し、今後お互いに財産上の請求ができなくなる条項)等の事項が定められるのが一般的です。

Q2.このたび、夫婦で収益用のマンションを購入することにしました。売買代金は、私が預金を崩して、全額支払うのですが、夫婦の財産ということで、私と妻の各2分の1の持分で売買を原因として登記してもらうことにしました。
ところが、売買の手続の打ち合わせのため、不動産屋さんに行った際、登記手続を担当する司法書士に、登記原因は売買となっていても贈与税が発生する可能性がある、と指摘されました。これはどういう意味でしょうか?

A2:登記手続というのは、通常、登記権利者と登記義務者の共同申請が原則となっています。例えば、売買の場合であれば、売主が登記義務者、買主が登記権利者となります。司法書士が実体的な法律関係を確認して、必要な書類を添付して登記申請をすれば、申請を受け付けた法務局は、その登記申請が実際に適合しているものとして手続を進め、登記簿に記載してしまう訳です。

ですから、本問の場合でも、登記原因を売買として、ご夫婦各2分の1の共有名義で登記されてしまう訳です。この登記は、ご夫婦が売買代金を均等に負担して売主から購入した、ということが公になっている訳ですから、その実体が在るか否か、税務署が調査する場合があります。
その際に、妻が一切の金銭的な負担をしていないとか、持分に見合った金銭的負担をしていないという場合には、税務署に夫から妻に贈与があったとみなされ、贈与税をかけられてしまうことがあります。この場合、税務署は、妻が不動産の購入にあたって持分に見合った金銭的負担をしていないことに注目し、夫婦間の贈与の有無を判断しますので、登記の原因が売買であることを理由に贈与税を免れることはできないのです。

したがって、実際に売買代金として負担した金額に近い割合で持分を設定することをおすすめします。

司法書士
渡辺 拓郎
渡辺拓郎事務所 代表
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