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法律コラム

2013.08.21

相続手続について

お盆も過ぎ、夏休みも終わりが近づいて参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
まだまだ厳しい残暑が続きますので、健康管理にはくれぐれもご留意いただきたいと思います。
さて、今回は、「相続手続」につきまして考えて参りたいと思います。

Q1.このたび、私(D)の父(B)が死亡しました。父(B)の残した先祖代々からの自宅の土地・建物の相続登記をするために、法務局で不動産の登記事項証明書を入手したところ、未だ祖父(A)の名義になったままでした。父(B)は以前、「終戦前の昭和19年頃に祖父(A)より家督相続(※)した」と申しておりましたが、どのように相続登記手続を進めたらよいのでしょうか?

相続手続について

(語句の説明)
※家督相続・・・旧民法に規定されていた、戸主の身分及び財産を単独で承継する相続形態で、前戸主に属する一切の権利義務を包括的に承継します。戸主の死亡、隠居、国籍喪失、入夫婚姻等によって開始します。家督相続人となる者は、旧民法の規定により一定の順位に従って決定されますが、通常は、死亡した戸主の長男が家督相続人になりました。
家督相続制度は、家制度の中心をなすものでしたが、個人の尊厳と両性の本質的平等という新憲法の理念に反するので、昭和22年の民法改正の際に廃止されました。

A1:相続が発生した場合には、その死亡時点の民法がそのまま適用されますので、祖父(A)が死亡したのは、昭和19年とありますから、その時の民法(現在の民法が制定された昭和22年より前の民法ということで、旧民法と呼ばれています。)を適用することになります。

ですから、まず、Aが死亡した当時の戸籍(=改製原戸籍)を、Aの本籍地の市町村役場の戸籍担当課で入手し、父(B)が家督相続しているか否かを確かめてください。その戸籍にBが家督相続した旨が記載されていれば、比較的簡単にBへの相続登記が可能となります。
この場合には、伯母(C)は相続人とはなりませんから、Bが、Aの財産を単独で相続することになります。

次に、今回、父(B)が死亡したのですから、遺言書がある場合や、相続を放棄したとかの事情がない場合には、相続人の私(D)、姉(E)、母(F)が法定相続(F・・・2分の1、 DE・・・各4分の1)の相続登記をするか、D、E、Fの3名で遺産分割をすることにより、法定相続分と異なる持ち分(例えば、D、E、F・・・各3分の1)で相続登記をしたり、D、E、FのうちDが単独相続することもできます。

したがって、この場合の登記手続としては、まず、(ⅰ)AからBへの家督相続を原因とする所有権移転登記をB名義で行った後、(ⅱ)BからD、E、FまたはDへの相続を原因とする所有権移転登記をする方法が、原則的なやり方です。

ところが、この方法によると、2つの所有権移転登記をすることになりますので、同時に登記する場合でも、登記をする際の税金(登録免許税)を2度支払うことになってしまいます。
このような不都合を回避するため、登記実務では、中間の相続人が1名の場合(今回のケースのようにBのみが相続人の場合)には、AからD、E、FまたはAからDへの所有権移転登記を1件の申請ですることが認められています。これを実務上、数次相続の登記と呼んでいます。

この数次相続の登記手続きは、今回の事例のように、BがAの家督相続をした場合に限らず、Aが家督相続制度が廃止された昭和22年5月3日以降に死亡した場合でも、Aの相続人全員(本問の図によれば、BとC)で遺産分割協議(この場合の登記申請には、相続関係を証明する戸籍・除籍謄本の他に、各相続人の印鑑証明書付の遺産分割協議書を添付する必要があります。)をした場合にも適用され、AからB、BからD、E、FまたはDへの所有権移転を、1件の所有権移転登記手続で済ませることが可能です。
要するに、家督相続であれ、遺産相続であれ、中間者が1名であれば、数次相続登記手続きは可能、ということです。
従って、中間者が2名以上になるような場合(例えば、今回のケースで、B・Cがそれぞれ登記名義を受けるような場合)には、相続関係が複雑になりますので、上述のような数次相続という便法は認められておりません。この点、ご注意下さい。

相続手続について

Q2.先月、母親が亡くなりました。相続財産は、母と私が住んでいる自宅の土地・建物のみです。私には一人兄がいますが、アメリカに在住しております。母親は生前、「自宅の土地・建物はあなたにあげる」と言っておりましたが、特に遺言書は作成していなかった様です。自分名義の相続登記をするには、どのようにしたらよいでしょうか。

A2:A1でも少し触れましたが、相続登記をする場合には、大きく2種類に分けることができます。

まず、第1は、法定相続の場合です。これは、遺言もない、相続放棄等もないといった場合に、民法の規定する相続分に従う場合で、今回のケースでは、あなたとあなたのお兄さんが各2分の1ずつ、相続分を取得することになります。この場合には民法の規定通りの相続分とするのですから、あなたが単独で、必要な書類を添付して各2分の1ずつの登記申請をすることができます。
なお、生前にお母さんが、「あなたが単独で取得してもよい」と言われたそうですが、遺言等がない場合には、単独名義で相続することはできません。

第2は、法定相続によらない場合です。例えば、お母さんが「あなたに住宅の全部を相続させる」という遺言を残している場合や、お兄さんがお母さんの相続につき相続放棄した、という場合には、あなたの単独名義で相続による所有権移転登記をすることができますし、このような事情がなくても、今回のケースのような場合には、あなたとお兄さんの二人で遺産分割協議をして、協議の結果、あなたの単独名義にすることも可能です。この場合の登記申請書には、相続人であることを証明する戸籍・除籍謄本や住民票等の他に、遺産分割協議書(実印を押捺した上で、印鑑証明書を添付が必要です。)というのを添付する必要があります。

そして、今回のご質問のように、お兄さんが外国に住んでいる場合には、この協議自体が出来るか否か、ということが問題となります。

遺産分割協議は、相続人全員が集まって決めるのが一般的ですが、必ずそうしなければならない訳ではなく、全員の同意があれば、協議自体を個別に行い、遺産分割協議書を持ち回りで署名・捺印する方法でも可能です。ですから、今回のご質問のような場合には、あなたの方で遺産分割協議書を作り、それに署名・捺印(実印)したものを、アメリカ在住のお兄さんの所へ送付して、署名・捺印(実印)してもらえればよいでしょう。
ただ、日本の在米公館(領事館等)でお兄さんが印鑑登録をしておられればよいですが、今までの私の経験から申し上げますと、在外者で印鑑登録をされている方は少ないと思います。新たに印鑑登録をするには、かなり時間を要しますので、一般的には、「サイン証明」と呼ばれる方法で、それに代えることが通常です。
この場合には、遺産分割協議書そのものを領事館等に持参し、担当係官の面前で署名し、拇印を押す等して、証明文を記入(奥書)してもらうか、添付してもらうかのいずれかの方式によることになります。

司法書士
渡辺 拓郎
渡辺拓郎事務所 代表
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