法律コラム

2011.10.27

成年後見制度 家庭裁判所の手続について

読者の皆様、こんにちは。秋も深まり、旅行やスポーツに最適なシーズンとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
「暮らしに役立つ法律コラム」もはや6回目を迎えることとなりました。
今回は4つの項目の最初に戻り、「成年後見制度」という項目につきQ&Aを進めてまいりたいと思います。

Q1:このたび、父親に成年後見人選任の必要が生じたのですが、家庭裁判所の手続はどのようなものですか。また、どのくらいの期間を必要とするのでしょうか。ちなみに、成年後見人には長男である私がなるつもりですが。

A1:

一般的には、成年後見人選任の手続(家庭裁判所の審理)は、次のように進んで行きます。

  1. 事前の準備
    申立をする家庭裁判所所定の用紙に申立事項全部を記入し、医師の診断書、本人(本件では、お父様)の戸籍謄本や住民票の他、本人の財産を証明する書面(例えば預金通帳や不動産の登記簿謄本等)、収支を証する書面(年金の振込通知書や医療費の領収書他)等を集めます。

  2. 家庭裁判所に申立をして受け付けてもらう
    本人の住所地を管轄する家庭裁判所に1で準備した申立書他の添付書類一式を提出します。家庭裁判所は、その書類を点検した上で事件として立件します。

  3. 関係者の面談・調査
    2の申立の内容につき、家庭裁判所が申立関係者(本人、申立人、成年後見人候補者)に対して、面談、調査をします。この面談は一般的には2時間程かかります。
    本件では、申立人と成年後見人候補者は、同一人であるあなたですから、あなたとお父様が出席することになります。
    ただし、本人の認知症の程度が重い場合や、病気のため体力的に出席できないような場合は、家庭裁判所の判断で、本人は出席しなくてもよい場合もあります。
    この面談・調査は、一般的には2の申立の日から1か月ほど先の日付が指定されますが、即日事情聴取を行っている家庭裁判所では、事前に電話予約することにより、2と3を同じ日に処理することができます。また、申立の際に添付した医師の診断書とは別に家庭裁判所の判断で、本人の判断能力の鑑定を要求される場合もあります。

  4. 審理
    申立書等の提出書類、鑑定の結果、調査の結果等を家庭裁判所の内部で検討します。

  5. 審判
    家庭裁判所で、申立の内容に不備がなければ、候補者を成年後見人とする審判が出ます(家庭裁判所の判断で、別の者が成年後見人に選任されることもあります)。2~5の期間は、大体1か月から3か月を要します。

  6. 審判確定
    5の審判が出ますと、家庭裁判所は、審判書の謄本を成年後見人宛てに書留郵便で送付します。この郵便を成年後見人が受領してから2週間後に審判が確定します。
    確定と同時に家庭裁判所は、東京法務局に成年後見登記を依頼します。この手続に10日から2週間を要しますので、成年後見人が家庭裁判所より審判書の謄本を受領してから1か月くらいで、成年後見の登記事項証明書を東京法務局に対し郵送で取寄せるか、各都道府県の法務局の本局に行って入手することができます。

この成年後見登記事項証明書を銀行等に呈示することにより、あなたは晴れてお父様の成年後見人として活動することができるのです。
以上のことから、準備期間を含めると成年後見人として活動できるまでに大体4~5か月を要するとお考えいただければよいでしょう。

Q2:成年後見人の他に最近よく「成年後見監督人」という言葉を耳にするのですが、これはどのような役目を果たす人なのですか。また保佐人、補助人についても監督人が選任されることがあるのでしょうか。

A2:

成年後見人は、成年被後見人(本人)に代わって広汎な権限を行使することができます。従ってその権限が濫用されないように成年後見人は家庭裁判所の監督に服するのですが、ケースにより家庭裁判所のみでは十分に成年後見人を監督できない場合が生じます。例えば、本人が、たくさんの不動産を所有しているような場合などです。このような場合には親族の申立や職権で家庭裁判所は、成年後見人以外の人を「成年後見監督人」として選任することができるのです。
保佐人、補助人についても「保佐監督人」「補助監督人」を選任することができます。
成年後見監督人の主な職務は、下記のようなものです。

  1. 成年後見人の職務を監督すること
  2. 成年後見人による財産調査や財産目録調整の立会いをすること
  3. 成年後見人がその任務に適さないと判断される場合は、家庭裁判所に対して成年後見人の解任請求をすること
  4. 本人と成年後見人との利害が対立するような場合は、本人を代理すること

Q3:家庭裁判所に行く前に、成年後見の選任や、家庭裁判所の手続などの相談をしたい場合、どこに行ったらよいですか。家庭裁判所に行ったことがなく不安です。

A3:

知り合いに弁護士や司法書士がおられましたら、その方に相談されてみてはいかがでしょうか。色々とアドバイスをもらえると思います。
また、司法書士で組織する、「公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート」という組織もございます。この組織は、全国の司法書士約5,500名で構成するもので、成年後見に特化した業務をしております。
参考のため、リンク先として記載しておきますので、どうぞご利用ください。

司法書士
渡辺 拓郎
渡辺拓郎事務所 代表
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