年金コラム

2010.06.24

知って得する年金あれこれ 「女性と年金大特集」(1)夫の会社が危ない!大学生の子のいる40代の女性

6月の風景には風が見えます。田植えが終わって、しっかりと根付いて丈が伸びてきた稲田は、まるで緑のキャンバスのようです。その上を風が駆け抜けるとき、稲たちは気持ちよさそうになびきます。時には、強い風が風の道を描きます。まるで大きな筆がキャンバスを走るようです。いつもは見えない風、感じるだけの風がかたちを見せてくれる一瞬です。

さて、今回からのシリーズは「女性と年金」にスポットをあてました。年代ごと、加入のタイプごとに具体的な年金の疑問を取り上げ、ご自身の公的年金制度とのかかわりを知り、将来に備えて、正しい年金の理解を深めていただけるよう構成しています。どうぞご期待ください。
もちろん男性の方にも役立ちますので、ご一緒に読んでくださいね。

相談者:A子さん
  • パート勤務で第3号被保険者 のA子さん(43歳、昭和42年4月10月生まれ)。
  • 結婚前に5年ほど勤めたA子さんは、結婚を機に退職しました。現在はパートで働いています。
  • 夫は、会社員で厚生年金に25年加入。47歳です。
  • 19歳の息子は、大学生です。

A子さんからの質問

Q1:大学生の息子がもうすぐ20歳になります。国民年金の保険料の負担が大変です。やはり加入して保険料を納めなければなりませんか?

A1:教育費等がかかる世代でご苦労も多いことと思います。

  1. まず、加入しなければならないのかというご質問に回答いたします。国民年金を始め公的年金は、強制加入になっていますので、個人の意思にかかわらず、ご子息は20歳から国民年金に加入する義務が生じます。もし、保険料の支払いを放置すると滞納期間になり、万一の事故にあって、障害の状態になった場合でも、何の年金も受け取れないことになってしまいます。
  2. 次に保険料を支払わねばならないのか、というご質問です。
    息子さんは学生ですので、「学生の納付特例」制度の適用が受けられますので、有効に利用しましょう。20歳以上の学生の方は、「年金手帳」と「学生証」を持って市区町村役場の国民年金の窓口で納付特例の手続きをしてください。この申請をしておけば、万一の障害に対して、障害基礎年金の保険料納付要件をみるときには、支払ったものとみなされ、受給要件をみたすことができますので、安心です。

関連する「原令子の年金コラム」は、「年金の基礎知識シリーズ(2)第1号被保険者の保険料の減免措置(2007年9月27日掲載)」をご参照ください。

注意

公的年金のうち、老齢の年金を受取るには保険料を納めた期間や、納付の免除・猶予を受けた期間の合計が原則25年以上必要となります。
免除期間は免除割合に応じた一定の割合で年金額に反映します。しかし、学生の納付特例の期間、若年者の猶予期間は、老齢基礎年金については受給資格期間には算入されますが、年金額には反映しません。つまり、納付特例を受けた期間分の年金額が減額になるということです。ただし、納付猶予を受けたときから10年以内の期間であれば、「追納」することができます。

若い世代の方が、「年金」について今から理解・関心を示すのは難しいのですが、特に老齢基礎年金については、老後生活のもっとも基礎的な部分の支えとなります。若いときからの積み重ねが将来の年金につながりますので、保険料の納付が困難なときは、きちんと特例措置等の手続きをしておくことが大切です。

Q2:夫の勤務する会社の経営状態が思わしくないようです。もしも夫が失業したら、私が頑張って正社員になりたいと思っています。そうなった場合、年金の加入や将来の年金はどのようになりますか?

A2:ご主人が失業したら、次のようなことが考えられます。

  1. 最悪、失業した場合は、「雇用保険(失業保険)」の申請手続きをしてください。倒産による失業ですので、25年の雇用保険の加入期間があれば330日分の基本手当が支給されます。その間に再就職先を探すこととなります。
  2. 年金は、ご夫婦ともに国民年金の「第1号被保険者」となり、保険料を60歳まで納める義務が発生します。(1人15,100円/月額)ただし、ご主人が、失業保険を受けた場合は、失業した年度とその翌年度は、ご夫婦ともに保険料の免除を受けることができます。
  3. 医療保険については、現在加入している制度で、任意継続被保険者になるか、市区町村で国民健康保険に加入することとなりますが、国民健康保険に解雇、倒産等により離職した方について、国民健康保険料を軽減する制度が平成22年度に新設されました。国民健康保険の窓口でご確認ください。
  4. 将来の年金については、ご主人は25年間勤続していますので、受給資格は満たしています。65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金が受給できます。(2010年4月現在)

また、A子さんが正社員として働き始めるようでしたら、次のようになります。

  1. 年金は、国民年金から厚生年金に変わります。厚生年金の保険料は、給料(標準報酬月額の15.704%となり、A子さんの負担はその1/2になります。
  2. また、ご主人が基本手当終了後、まだ失業状態であれば、ご主人が60歳までの間は、「第3号被保険者」 になることができます。第3号被保険者 になれば、保険料の個別負担は生じません。
  3. 将来は、若いころに勤めた5年の厚生年金の期間と通算して65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給されます。
  4. 医療保険は、夫の被扶養者から勤め先の健康保険制度に変わります。息子さんは、被扶養者としてA子さんの医療保険に入ることとなります。ただしご主人は、基本手当を受給している間は、基本手当日額×360日の額が130万円以上の場合は、被扶養者になれません。基本手当の受給終了後にまだ失業状態であれば、その時点で被扶養者になります。
Q3:実は、心ひそかに離婚を考えています。
離婚したら夫の年金が半分受け取れるそうですが、詳しく教えてください。

A3:実は本コラムに初めて執筆したのが2007年5月25日「離婚と年金」でした。
仕事柄、全国各地の年金研修や相談会等で"離婚したら夫の年金の半額がもらえる"等、かなりの誤解がある相談や質問を受けます。
ここでは詳細を解説できませんので、簡潔に回答いたします。詳しくは、「街角の年金相談センター」や「年金事務所」でご相談ください。

●Q3-1:夫の年金額の半分がもらえる。それもかなり期待できる金額か?

●A3-1:残念ながら分割の対象となるのは、最大で婚姻期間中の厚生年金報酬比例部分のみです。分割の割合については、最大で1/2となっています。双方の合意が整わない場合は、1/2以下になることもあります。
金額が知りたい場合は、年金事務所に行ってください。当事者(双方または一方)の請求により、離婚時の厚生年金の分割の請求を行うために必要な情報を提供してくれます。

●Q3-2:分割を受けた年金は離婚後、直ぐに受取れるか?

●A3-2:分割を受けた年金は、ご自身の受給開始年齢からしかうけとれません。A子さんはご自身の年金の受給開始が、65歳からですので、分割部分についても65歳からの受給となります。
分割を受けた記録はご自身のものとなりますので、たとえば再婚した場合でも権利を失うことはありません。

●Q3-3:誰にも相談できず、内緒でインターネット検索している。手続きはどうしてよいかわからない?

●A3-3:「街角の年金相談センター」または、「年金事務所」で相談できます。
手続きのほか、分割後の見込み額等も照会できます。

離婚時の厚生年金保険の分割制度について(日本年金機構Webサイトより)

離婚時の厚生年金保険の分割制度(合意分割制度)は、平成19年4月1日以後に離婚等をした場合において、離婚等をした当事者間の合意や裁判手続により按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の標準報酬を当事者間で分割することができる制度です。

※詳細は、日本年金機構Webサイトでご参照ください。
また、不明な点は「街角の年金相談センター」や「年金事務所」でご相談ください。

参考 ※トップページより「年金Q&A」を選択し、ページ遷移後に「制度改正の内容」から「16.離婚時の厚生年金保険の分割制度」の「離婚時の厚生年金保険の分割制度について」が参考になります。
社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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