年金コラム

2007.09.27

年金の基礎知識シリーズ(2)第1号被保険者の保険料の減免措置

今回は、前回でも紹介した、第1号被保険者の保険料減免措置についての詳しい話しです。

先日、大学生のお子さんを持つWさんから、次のようなご相談をいただきました。

Q.大学生の長男が数か月前、20歳になりました。社会保険事務所から年金手帳と納付書が送られてきましたが、本人はアルバイトの収入しかなく、将来年金が受け取れるのかどうかも不安だということで、支払わないままになっています。やはり親が払わねばならないものでしょうか。

A.このまま息子さんが、保険料の支払いを放置すると滞納期間になり、万一の事故にあって、障害の状態になった場合でも、何の年金も受け取れないことになってしまいます。

しかし、息子さんは学生ですので「学生の納付特例」の制度の適用が受けられます。年金手帳と学生証を持って市区町村役場の国民年金の窓口で手続きをしてください。学生の納付特例の申請をしておけば、安心です。

解説

1.国民年金の保険料の減免について

保険料を支払うことが困難な場合は手続きをすることで、保険料の一部または全部の免除や納付猶予等の措置が受けられます。
手続きをしておけば、老齢、障害、遺族の年金を受給するための保険料納付要件については保険料を納めたものとみなされます。減免措置には次のようなものがあります。

  • 学生の納付特例 [学生納付特例制度]
  • 若年者(30歳未満)の納付猶予 [若年者納付猶予制度]
  • 申請免除(収入により保険料の全額、3/4、半額、1/4免除がある) [保険料免除制度]
  • 法定免除(障害基礎年金1・2級の受給権者・生活保護法による生活扶助を受けている者等。保険料の全額を免除)

2.滞納と免除等の違いについて

滞納期間と免除や猶予等の減免措置を受けた期間は、どちらも保険料を支払わないという状況は同じですが、その取り扱いに大きな違いがあります。

(1)受給資格期間について

滞納期間は、受給資格期間をみるときには算入されません。そのため、滞納が長くなると受給資格期間を満たすことができなくなり、年金が受給できないことにもなります。
また、遺族や障害の年金の支給要件には「保険料納付要件」があり、きちんと保険料を支払っていない場合は、万一のときにも無年金になってしまうことになります。
しかし、減免措置を受けた期間は、受給資格期間をみるときには、保険料を納めた期間として合算することができます。

(2)年金額について

滞納期間は年金額に反映しませんが、免除期間は免除された割合に応じて一定の期間が年金額に反映するようになっています。ただし、学生の納付特例や若年者の納付猶予を受けた期間は、追納しない限り、年金額に反映しません。

(3)さかのぼって納めることのできる期間

滞納期間はさかのぼって2年分しか保険料を納めることができませんが、免除期間については遡って10年までの間であれば、納付することができます。これを「追納」といいます。これは、いわば、出世払いのようなものです。

3.若い世代の年金不信についてのアドバイス

滞納期間と免除や猶予等の減免措置を受けた期間は、どちらも保険料を支払わないという状況は同じですが、その取り扱いに大きな違いがあります。

若い世代の人が、公的年金についての不信感を持っています。ここで、理解していただきたいのは、年金は老齢ばかりではなく、万一の障害や死亡についても、これからの長い人生を保障する制度であるということです。

特に老齢基礎年金については、老後生活のもっとも基礎的な部分の支えとなります。私的な年金や保険で賄うという考え方もありますが、長期間の保障ですので、その間の経済変動にも対応する公的年金は大事なものです。若いときからの積み重ねが将来の年金につながりますので、保険料の納付が困難なときは、きちんと特例措置等の手続きをしておくことが大切です。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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