税金・保険コラム

2018.12.25

雇用保険 65歳以降に就職しても雇用保険に加入できます(平成29年1月1日からの雇用保険法改正)

皆さん、こんにちは。
来年2019年4月1日から本格的に始まる働き方改革。働く人の視点に立った課題の中に、「65歳超でも働きたい高齢者」が7割近くもいるという結果が、総理と現場との意見交換会で寄せられた声の中に入っています。そして、65歳以上で働いている人の就業率は22.3%(2016年)という数字ですので、だいぶ開きが出ています。
人手不足が深刻化する中、働いてもらうにあたって年齢が高いことが特に問題ないのであれば、休みたくても休めないような職場に配置できると、とても助かることになるでしょう。最近は65歳でもまだまだお元気ですし、個人差はもちろんありますが、人生経験豊富なので物事に対しての適格な対応力も持っていらっしゃったりします。
今後、高齢者の活用は必要不可欠であり、働きたいと考えているのにほとんど家で過ごしているとしたら、非常にもったいないことですよね。

約2年前になりますが、それまで、65歳以降での就職は雇用保険の加入対象外でしたが、平成29年1月1日から、就職日に65歳以上だったため雇用保険の加入対象外だった人が加入対象となる雇用保険法の改正がありました。また、平成29年1月1日以降は、65歳以上の年齢で就職した人も、就職した日または加入要件を満たした日から加入することになっています。
会社での手続き漏れも多いようですので、今回のコラムはこの65歳以上の高齢者の雇用保険について解説いたします。

雇用保険の加入要件

週20時間以上働く人で、31日以上雇用されることが見込まれること。 なお、採用時や退職時に65歳以上の人は、「高年齢被保険者」となります。

1.65歳以上の人を雇用保険に入れる手続き

一般の人と同じ手続きとなります。会社は、以下①と②の情報を本人からもらい、雇用保険被保険者資格取得届を会社管轄のハローワークへ提出します。

  • ①個人番号(マイナンバー)
  • ②前職での雇用保険被保険者番号(過去に加入している場合)
    もし、就職時に65歳だった人を平成29年1月1日から雇用保険に入れる手続きを会社で漏らしている場合は、③と④も添えて会社がハローワークへ手続きすることが必要です。
  • ③平成29年1月1日からの出勤簿、賃金台帳
  • ④遅延理由書(6か月以上遡って手続きする場合に必要。決まった書式はないので任意様式となります。)

2.65歳以上の人の雇用保険料

高年齢被保険者のほか、その年の4月1日から始まる年度に65歳となる人からは、雇用保険料を取らないことになっています。会社負担分もありません。会社は、間違えて給与から雇用保険料を引かないようにしなければなりません。もし、自分が65歳以上にも関わらず雇用保険料がお給料から引かれていたら間違っていることになりますので、ご注意ください。ただし、この措置は2019年3月までで、2020年4月からは保険料を取ることに変わる案が出ていますので、そのときにはまた変更があることになります。

3.65歳以降で会社を退職した場合の失業保険

雇用保険に加入していた人が65歳以降に会社を退職した場合、住所地のハローワークで求職の申し込みをすることにより、被保険者期間に応じて【基本手当日額×日数分】の高年齢求職者給付金が一時金として一括支給されます。

高年齢求職者給付金の受給資格がある人

①退職時の年齢が65歳以上であること
②離職していること
③再就職する意思があり、仕事が見つからない状態にあること(求職の申し込みをしてから7日以上)
④離職前1年間に雇用保険に加入していた期間が6か月以上あること(11日以上働いた日が6か月以上あることが必要です)
⑤高年齢求職者給付金の額
算定基礎期間(11日以上勤務した月)1年未満  基本手当日額30日分
算定基礎期間(11日以上勤務した月)1年以上  基本手当日額50日分
※高年齢求職者給付金は、年金と併給が可能です。
※基本手当日額は、賃金日額(退職前6か月の賃金総額÷180日)の50%から80%で計算されます。具体的な金額は、ハローワークでご確認ください。
(なお、平成30年8月1日から翌年7月31日までは、上限額6,750円となります)

4.その他の給付

退職した場合の高年齢求職者給付金のほか、高年齢被保険者でも、育児休業給付、介護休業給付、教育訓練給付金についても、受給要件を満たしている場合には支給を受けることができます。

 65歳以上でもその前でも、給付の手続きをするとき以外でも、もし仕事を探して働きたいという方は、まずはハローワークへ行って、求職の申し込みをしていただくことをおすすめします。自分で探すのももちろんいいですが、高齢者を求めている会社がハローワークに求人を出していることは多々あるものです。

おしまいに

本コラムの冒頭に申し上げている政府の働き方改革ですが、働く時間を減らして育児や介護など家庭との両立ができるようにというところに、なぜか趣味に時間を使おうとか、もっと遊ぼうといった内容が全く入っていないことがちょっと気になります。副業も解禁してもっと自由に各自がお金をたくさん稼げるようになり、他国との競争に勝ち抜かなければならないという状況ではありますし、働き方改革なので、仕事とは関係ないからということかもしれません。でも、仕事や家庭から飛び出した全然違う環境で、何かヒントを見つけられたり、人脈を広げられたり、わくわくする感情を引き出せたり、とてもいいことがあると思うのです。
 かくいう私の両親、驚きですが今年78歳で両方とも働いています……。母親に至っては、毎日のようにスポーツクラブに通っていた70歳過ぎてからのある日のこと、よく顔を合わせる人に声を掛けられ、介護施設で食事の準備を補助する仕事を手伝ってもらえないかとスカウトされたそうです。そして、この法改正で雇用保険に加入することになったとのこと。

私も、月1回ですが最近フラワーアレンジメントを習い始めました。同じお教室に少し年配の方もいらっしゃるのですが、「お教室に来るととても元気になるの」とおっしゃっていました。綺麗なお花から受ける力も大きいのかもしれませんが、皆さん上品でおしゃれでお肌もつやつやなのです。人生の先輩方から学ぶことはとてもたくさんあって、本当に素敵だなと感じますし、そんな環境に出会えていることをとても幸せに感じるこの頃です。
何でもいいと思います。いくつになってもお稽古事や趣味や旅行なども楽しみましょう!と言いたいのです。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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