税金・保険コラム

2007.12.20

健康保険の傷病手当金

皆さん、こんにちは。
今回は、会社等で働く人が加入する社会保険のうち、「健康保険」の傷病手当金の制度についてご説明します。

働く人は、通常会社から給与をもらって生活をしています。しかし、業務外の理由で、予期せぬ怪我をしてしまったり、病気に掛かってしばらく働けず、その間出勤できないために給与が得られなくなると、生活に困ってしまいます。
健康保険には、給与が得られない間の一定期間、生活の面倒をみてくれる所得保障として、「傷病手当金」の制度があります。

今回は、いろは食品販売株式会社の営業課長A男さん43歳が、病気に掛かったときに受けた傷病手当金の例について見ていきましょう。

傷病手当金の受給要件

対象者 以下の1.~4.をすべて満たすこと
  1. 健康保険の被保険者である(退職後は対象外)
  2. 病気や怪我で働けず、連続3日間(※待機期間)会社を休んだ
  3. 休んでいる間、医者が働けない状態と認めている
  4. 休んでいる間、会社から給与が出ない
    または、その額が傷病手当金額未満である
支給期間 病気や怪我で会社を休んでいる期間のうち、連続3日の待機期間経過後4日目から、医者が働けない状態と認めた期間(最長1年6ヶ月)
受給額 1日あたり、健康保険の標準報酬日額の2/3
※会社が給与を一部支給している場合は、上記標準報酬日額の2/3と支給された給与との差額まで

※待機期間の連続3日間には公休や有給休暇も入る。仕事をしていない事実のみで完成。

A男さんは、最近どうも食べ物がのどに引っかかるような違和感を感じ、お腹が空いても食事をすることが苦になるような状況となったため、気になって病院に行きました。
診察を受けたところ、検査入院を勧められてしまい、検査の結果、食道にポリープが出来ていることが発覚。仕事上の引継ぎのこともあり、2週間後に手術を受け入院することに。

傷病手当金の受給(A男さんの場合)

そして、医者からは、退院後もしばらくは無理をしないよう勧められ、10日間の自宅療養後に職場復帰しました。忘年会や新年会の参加は控え、お酒を飲まないよう注意を受けましたが、体調は回復し仕事は元通りできるようになりました。

A男さんの有給休暇は25日ありましたが、今後、検査のために毎月1回病院に通うことや、翌年2月に娘がハワイで結婚式を挙げるため3週間休暇をとることにしていたため、今回会社を休んだ期間は欠勤扱いとして、傷病手当金の請求をすることにしました。
また、入院に掛かった費用が高額となったため、高額療養費の対象にもなりました。

※高額療養費については、以前のコラム(6月21日掲載分)をご参照ください。

傷病手当金の金額:128,000円(日額12,000円×2/3×16日分)
  • A男さんの健康保険の標準報酬:月額36万円(日額12,000円)
  • 傷病手当金を受けられる期間:12/9から12/24の 16日間

高額療養費:9,570円 [90,000円-(80,100円+(医療費300,000円-267,000円)×1%]

  • 入院に掛かった保険診療の自己負担額:90,000円

最近は、医療の発達と昔流行った結核のような完治して仕事に復帰できるまでに相当の期間を要する病気もなくなってきたこともあり、休職期間を3ヶ月間~6ヶ月間としている企業が多くなっています。それまでに職場復帰できない場合は、やむを得ず退職等、会社の規定に従うことになりますが、万が一のときのため健康保険には、このような制度があることを知っておきたいところですね。

なお、仕事上の怪我や病気で働けない場合は、労災保険を使うことになります。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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