税金・保険コラム

2007.06.21

健康保険の基礎知識 高額療養費(1)突然病気になったら!

皆さんまたはご家族が、病気や怪我で入院したことはありますか?

「もし、入院でもしたら何百万も医療費が掛かるかもしれないわ。そんなことになったら大変!だから、入院保険や医療保険には入っておかないと心配よ。」とお考えになるかたが多いのではないでしょうか。

しかし、普通は、誰もが健康保険に加入しているはずです。健康保険は、健康保険証を使えるという機能があるだけではありません。大病をしたときに知っておきたいのが、健康保険の給付の中の、「高額療養費」の支給制度です。

これは、その人または世帯の収入に応じ、同じ月(1日から末日)に、一定額以上の医療費が掛かった場合、その額を超えた部分について、健康保険から払い戻し(※1)が受けられるというものです。更に、治療や入院が長引くなど、医療を受けた月以前12ヶ月の間に3月以上医療費が自己負担限度額【表1、又は2】を超え高額療養費を受けた場合、4月目からは多数該当といい、自己負担限度額が下がります。

もちろん、高額療養費として健康保険から払い戻しが受けられる医療費は、下表の限度額を超えた場合で、あくまで保険診療で掛かった部分が対象となるので、民間の入院保険や医療保険に加入する場合は、健康保険でカバーされない分の保障として、その保険の内容をよく理解したうえで加入を検討するとよいでしょう。

※1)国民健康保険加入者や社会保険事務所発行の健康保険証を使っている人等は、高額療養費の請求をして払い戻しを受けられるまで、3ヶ月~4ヶ月掛かっていましたが、平成19年4月からは、入院の場合に限り、事前に市区町村または社会保険事務所に申請をして、「限度額適用認定証」を発行してもらい、これを健康保険証と一緒に病院の窓口に提示することで、自己負担限度額を超える支払いが不要になりました。また、70歳以上のかたは、この事前の申請も不要となっています。

【表1】70歳未満の自己負担限度額(平成18年10月以降)

区分 自己負担限度額 多数該当
上位所得者(※2) 150,000円+(医療費-500,000円)×1% 83,400円
一般 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
住民税非課税世帯の人等 35,400円 24,600円

※2 社会保険:標準報酬月額53万円以上
国民健康保険:世帯の国民健康保険被保険者の所得合計額が600万円超

【表2】70歳以上の自己負担限度額(平成18年10月以降)

区分 自己負担限度額
外来(個人単位) 入院+外来(世帯単位) 多数該当
現役並み所得者(※3) 44,400円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
一般 12,000円 44,400円
住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
住民税非課税世帯で所得が一定額未満 15,000円

※3 社会保険:標準報酬月額28万円以上
国民健康保険:課税所得145万円以上。ただし、収入一人383万円未満、複数520万円未満である旨の申請があった場合を除く。

なお、会社が健康保険組合に加入している場合には、上記の自己負担限度額が低く設定(付加給付と呼んでいます)されている場合もあります。

次回は、高額療養費の対象外となるものほか、注意点等をお話しします。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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