税金・保険コラム

2011.06.01

ライフステージと生命保険(2)

ライフステージは、人の一生を節目(イベント)で区切ったものですが、一般的な区切り方をすると養育される者(幼児、学生)から自活する者(職業人、退職後)への流れとして捉えることが出来ます。ほかの考え方もあります。女性の場合は、結婚、妊娠、出産等の節目が職業人としての区切りに大きな影響を及ぼしますが、性別とも違う別の区切り方もあります。

一般的に、生命保険は、家族の生活を支える稼ぎ手が亡くなったとき、遺族の生活を支えるために加入するものです。言い換えると、家族のために自分の果たすべき役割を提供できなくなったとき、その役割の代わりを、金銭の形で得るためのものという側面があるわけです。

1家族の中での役割ではなく、ある人が自分の人生の中で勤める役割を人生役割(ライフロール)としてとらえるという考え方をご紹介しましょう。

人生役割(ライフロール)という考え方

元々は、職業選択や職業生活をどう築いていくかというアメリカでの研究から生まれたものです。職業生活の発展と人間としての発達は、互いに影響を与え合いながら発達するという考え方です。

人生を、広大な舞台の上で演じられる長大な劇であるとしたら、私達は1人何役も勤める役者です。様々な舞台に移る度に、それまでの役を抜けだして新たな役を演じています。

その舞台の移動は、親の転勤にともなって移動していく地理的移動だけではなく、家庭から幼稚園、小中高校、長じてはメーカーを定年退職後、近隣の市民館に非常勤職員として勤めるといった生活や活動の場の移動でもあります。
また、数年単位で移動していくだけではなく、1日の中でも数十分地理的移動(通学や通勤)をするたびに舞台を移動していきます。家庭では、娘の縁談の進み具合にやきもきする母親であり、50分かけて出勤した職場では、30人の看護師を統括する看護師長として睨みをきかせるといった具合です。

イメージとすれば、踊り手の衣装が一瞬で外れて下に着ている衣装に変わる日本舞踊の「引き抜き」や、中国四川省の伝統芸能である川劇(せんげき)で役者の顔が一瞬で変わる「変面」のようなものですね。

この人生役割を、8つに分けます。

  1. 子供(息子、娘)
    生まれたときから、両親が亡くなるときまで続きます。子供時代は、両親の息子や娘としての役割がほとんどの時間を占めます。大人になるに従って、この役割でいる時間は減ってきます。独立してからは年末年始ぐらいにしか、この役割を果たさないような場合も見受けられますが、両親が年老いてくると再び、息子、娘の役割に時間を割くことが増えてきます。
  2. 学生
    入学したときからそれぞれの最終学校を卒業するまで続きます。この役割は、学生時代だけでなく、例えば医師・歯科医師の臨床研修のように、職場で継続的に研修を受けて技術を向上させていったり、会社の費用で留学したり資格をとったり、定年退職後社会人入学をしたりということがあるので、人によっては何度も繰り返す場合があります。
  3. 余暇人
    スポーツをしたり、読書や音楽や映画を愉しんだり、趣味を楽しむ余暇活動に時間を費やす役割です。
  4. 職業人
    初めて仕事に就いてから、有償では働かなくなるときまで続きます。工場や役所や学校といった職場で役割を勤めます。
  5. 市民
    PTAや社会福祉施設等のさまざまな地域活動への奉仕活動をする役割です。日本では社会人は仕事が忙しすぎるので、会社を定年退職した後、NPO法人にボランティアで働くような例が見られます。
  6. 配偶者
    自分か相手が死ぬまで、同じ人の配偶者役を続ける人もいれば、何人もの人の配偶者役を勤める人も、また一度も勤めない人もいます。
  7. ホームメーカー
    ホームメーカーとは、家事をする人のことです。
    家事には、料理や買い物といった伝統的に女性が勤める仕事も、家の修理といった伝統的に男性が勤める仕事も含みます。
    親の家を離れて自分の住まいを構えたときから始まります。

  8. 子供が生まれてから15歳くらいまでが親として一番時間も労力もかかり、同時に子供からも必要とされる期間です。子供が成人して独立すると、親の出番は減っていきます。

生命保険を遺族のために必要とするのは、自分がどの役割を果たしているときか、こういう整理の仕方をすると分かりやすいのではないでしょうか。家族の稼ぎ手としては、親の役割の初めの頃が、一番必要だと思われます。しかし、親が高齢になって私達が親の介護をする立場になると、保険金が必要なのは独立した子供達ではなく、親と配偶者ということになります。私達と一緒に私達の親の世話をしてくれていた(また私達の亡き後も世話をしてくれるであろう)配偶者は、親の法定相続人ではありませんので、親との養子縁組や親が遺言を作成するとかの財産を残す手段を講じていない限り、親の遺産が配偶者に渡ることはありません。私達が工夫をしてあげる必要があります。

社会保険労務士
小野 路子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
一覧に戻る

わからないことがある方

よくあるご質問

ポスタルくらぶサービスセンター

 03-3497-1555

受付時間 9:00~17:00(月~金、祝日除く)

会員の方

ログインして
会員限定サービスを利用する

お電話でのお問い合わせは会員カードに記載のフリーダイヤルへお問い合わせください。

会員カードのご案内

会員の方へ

※お電話でのお問い合わせも承っております。会員専用電話番号は会員カードにてご確認ください。