税金・保険コラム

2014.04.16

雇用保険の失業給付(再就職手当と就業促進定着手当)

皆さん、こんにちは。
この4月1日から消費税が8%に上がりましたね。景気も上向いていくことが期待されますが、実際に、東京のハローワークでは、求人を出している会社の求人数よりも求職の申し込みをしている人数の方が少なくなっているそうです。今後、日本国内の人手不足感が高まると感じざるを得ません。
以前よりも仕事を見つけやすくなったところで、子育てのために仕事を辞めて家庭に入った人や、ここ10数年に及ぶ就職難や、働き過ぎが理由でちょっと疲れて家にひきこもってしまった若い人には、ぜひまた外の世界に飛び出して欲しいものです。また、退職した人ができるだけ早く再就職して次の会社で長く働き続けていただくことは世の中的にはとても重要なことでしょう。

雇用保険の失業給付

さて、今回のテーマですが、前職の給与にこだわっているとなかなか再就職ができないこともあります。再就職してもすぐに辞めてしまう人も多いことが一番の理由のようですが、雇用保険の受給資格者で、ハローワークから「再就職手当」をもらった人について、再就職先で6か月以上雇用され、再就職先の賃金が前に勤めていた会社の賃金よりも低い場合、「就業促進定着手当」が支給されることになりました。
今回は、雇用保険の「再就職手当」と平成26年4月1日施行の「就業促進定着手当」について解説します。


1.再就職手当とは?

失業した人が、ハローワークで基本手当(いわゆる失業手当)の受給資格の決定を受けた後、自分が受けられる基本手当の給付日数(所定給付日数)の3分の1以上を残した状態で再就職し、1年以上雇用見込みのある雇用保険の被保険者となるか、または自分で事業を開始し人を雇って雇用保険の適用事業主になる等、安定した仕事に就いた場合に雇用保険から支給されるものです。

(1)再就職手当の額
再就職日の前日までの基本手当の支給残日数により給付率が異なります。
・2/3以上の残日数がある場合
→基本手当日額(※1)×基本手当残日数×60%
・1/3以上の残日数がある場合
→基本手当日額(※1)×基本手当残日数×50%
※1:基本手当日額:退職日の直前6か月間に支払われた賃金の合計を180日で割った金額の5割から8割(60歳~64歳は4.5割から8割)で退職時の年齢と賃金の額により異なります。


【注意】
再就職手当の基本手当日額には次のとおり上限額があります。
・離職時の年齢が60歳未満       5,840円
・離職時の年齢が60歳以上65歳未満 4,729円
(この額は、毎年8月1日に変更されます)
※前職の賃金日額が11,680円(60~64歳は10,510円)を超える人は、この上限額による計算となります。

(2)再就職手当を支給される人は下記の要件をすべて満たす人です。
①7日間の待機期間満了後に就職又は事業を開始したこと。
②基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること。
③前職に再び就職したり、前職と密接な関わりのある事業所への就職でないこと。
④自己都合退職などで給付制限期間がある場合、待機期間満了後1か月の期間内は、ハローワークか指定職業紹介事業所の紹介で就職したこと。
⑤1年を超えて雇用されることが確実なこと。
⑥雇用保険の被保険者になっていること。
(※自分で事業を開始した場合は、自らが雇用保険の適用事業主なる等の要件が必要になるので、ハローワークにご確認ください。)
⑦過去3年以内に、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
⑧受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されていないこと。
⑨再就職手当が支給される日までに再就職先を退職していないこと。

再就職手当支給対象となる人が再就職できた旨をハローワークに報告すると、ハローワークで再就職手当支給に関わる書類がもらえます。再就職先の証明が必要になりますので、それをもらい、再就職日から1か月以内に本人がハローワークへ申請書を提出する必要があります。


雇用保険の失業給付?

2.就業促進定着手当とは?

就業促進定着手当は、上記の再就職手当の支給を受けた人が再就職先に6か月以上雇用され、再就職先で受けた6か月間の賃金が前の会社よりも低くなった場合に、基本手当の支給残日数の40%を上限に、低くなった賃金の6か月分が支給されるものです。

(1)就業促進定着手当を支給される人は下記の要件をすべて満たす人です。
①平成26年4月1日以降に再就職したこと。
②再就職手当の支給を受けていること。
③再就職の日から同一の会社に6か月以上勤務し、雇用保険の被保険者として働いていること。
④再就職後6か月間の1日分の賃金の額を次の計算式で計算し、前職の賃金日額を下回っていること。


【月給の場合】:6か月間の賃金の合計額÷180
【日給・時給】:(a)(b)どちらか金額の高い方
(a)6か月間の賃金の合計額÷180
(b)6か月間の賃金の合計額÷賃金支払基礎日数(働いた日数)×70%
※就職日が賃金締切日の翌日でない場合は、2回目以降の6か月分の給与の合計で計算します。また、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は賃金に含まれません。

(2)就業促進定着手当の額の計算式

(前職の賃金日額-再就職後6か月間の1日分の賃金の額)×再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数(月給は歴日数、日給時給等は働いた日数)

計算例)前職月給27万円 再就職後月給24万円の場合
前職の賃金日額9,000円、再就職後の1日分の賃金額8,000円、賃金支払基礎日数180日
→(9,000円-8,000円)×180日=180,000円


【注意】
①就業促進定着手当には上限額があります。
上限額=基本手当日額×支給残日数×40%

②再就職手当の基本手当日額には次のとおり上限額があります(再就職手当と同額)。
・離職時の年齢が60歳未満        5,840円
・離職時の年齢が60歳以上65歳未満 4,729円
(この額は、毎年8月1日に変更されます)
※前職の賃金日額が11,680円(60~64歳は10,510円)を超える人はこの上限額による計算となります。

【重要】
再就職手当や就業促進定着手当等の就職促進給付は、失業給付よりも上限額が低く設定されています。前職の賃金が高く上記上限額までの再就職手当の支給を受けた人や、再就職先の賃金のほうが高い場合「就業促進定着手当」は支給されません。


おしまいに

何度も転職を繰り返したり、失業期間が長い履歴書は、採用する側は雇っても長く働いてもらえるのだろうか?と不安になります。仕事内容や社風が自分に合いそうないい勤め先が見つかったら、少し賃金が低くても生活に支障がなければそこでがんばってみることで道が開けるかもしれません。失業給付をめいっぱいもらうことを考える方も多いようですが、仕事を探しているのなら、なるべく早く新しい道を見つけていただいたほうがきっといいはずです。

話は違いますが、待機児童問題、まだまだ解消されていません。保育士の資格というものを考えると、子育てを実際に行った経験を考慮して資格が取れてもいいのではないかと思いませんか?実際に最近の政府の方針で、準保育士の資格を作ろうという動きが出ているようです。子育ての経験とその実績にその他必要とされる知識を習得し、試験を受けて合格できるように保育士の資格が取れる門戸を開けば、保育士不足はあっという間に解消されるかもしれません。
子供を預けるお母さんも、子供がごく小さいときは実家に頼る人が多いものですが、やっぱり安心して預けられるかということを考えると年の甲は大きいのではないのでしょうか…。保育園の施設については、小学校や中学校は子供が少なくなって空き教室も増えているのですから、そこを活用してもいいですよね。
また、「美味しい和食が作れるおばあちゃん」に、もっと外で働いてもらって、若い人に経験を伝承する機会が増えるといいと思いませんか?
人の活用、誰もが自分ができることを生かせるように、これからもっと雇用の機会の幅が広くなっていくとなれば楽しみです。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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