2013.03.19
定年と年金のこと(60歳以降も働ける社会に)
みなさま、老後の生活設計、立てられていますか?
年金の話になってしまいますが、毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「年金定期便」、確認されていますでしょうか?加入期間と将来受け取れる公的年金額をお知らせしてくれるので、年金の他にいくらお金があればそれなりの、あるいは豊かな生活ができるのか、生活設計を立てやすくなりましたよね。
これから60歳になる人達は、60歳から65歳までの収入減あるいは無収入の期間、そしてその後の生活について、色々考えておかなくてはならないでしょう。
60歳以降の収入源としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 働いて受け取れる給与や報酬
- 雇用保険の高年齢雇用継続給付金(60歳~65歳前まで)
- 公的年金(老齢・障害・遺族年金、厚生年金基金・確定拠出年金・確定給付企業年金など)
- 退職金
- 現金預貯金
- 生命保険会社等で掛けた個人年金
- 不動産等の家賃収入等
- 金融商品の売買による利益や配当、利息等
公的年金の支給開始年齢の段階的引き上げ
公的年金は、老後の安定した定期収入としてあてにしたいものです。
しかし、平成25年4月1日以降に60歳になる人からは、厚生年金(共済年金)に1年以上加入していた人が受け取れる部分年金「特別支給の老齢厚生(退職共済)年金」の支給開始年齢が、男性(共済年金は男女とも)は61歳からとなり、60歳になっても少しの年金ももらえない世代が出てきます。そして、下表のとおり、段階的に年金の支給開始年齢は上がっていきます。
老齢厚生(退職共済)年金支給開始年齢推移表
男性の生年月日 | 支給開始 | 女性の生年月日(男性より5年遅れ) |
---|---|---|
昭和28年4月2日~30年4月1日生 | 61歳 | 昭和33年4月2日~35年4月1日生 |
昭和30年4月2日~32年4月1日生 | 62歳 | 昭和35年4月2日~37年4月1日生 |
昭和32年4月2日~34年4月1日生 | 63歳 | 昭和37年4月2日~39年4月1日生 |
昭和34年4月2日~36年4月1日生 | 64歳 | 昭和39年4月2日~41年4月1日生 |
昭和36年4月2日~ | 65歳 | 昭和41年4月2日~ |
※共済年金については女性の支給開始年齢引き上げは男性と同じです。
「継続雇用制度」と「高年齢雇用継続給付」
現段階では、公的年金は最終的に65歳から支給開始になることが決まっています。
勤め先の定年の規定が60歳だとしても、再雇用制度などを設けて満65歳になるまで継続雇用することが義務付けられていますが、今年の3月31日までは、どういう人なら満65歳まで継続雇用されるのか、会社と従業員代表の合意により一定の基準を設けた会社に勤めている場合、その基準を満たさないと60歳で退職となる人もいます。
60歳で定年退職となり収入がなくなってしまうとなれば、さあ大変、一大事です。
そこで、平成24年7月の高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年4月1日以降は、以下の2点に該当する人を除き、本人が希望した場合には部分年金の男性の支給開始年齢までは勤め先が雇用しなければならなくなりました。(女性の年金の支給開始は男性より5年遅れですが、雇用義務措置の年齢は男性と同じです。)
- 心身の故障のため業務に耐えられないと認められる者
- 就業規則の解雇事由若しくは退職事由に該当する者
今後は、年金の支給開始年齢までは、とにかく雇用を確保してくださいねということになった訳です。
年金の支給開始年齢以後については、定年後の継続雇用の基準を3月31日までに設けている会社にお勤めのかたが基準に該当しない場合は、65歳より前に退職となることがあるということになります。
ただし、勤め続けても、給与額や勤務日数等の労働条件は会社と本人の間で決められることになっているため、60歳までの現役時代と比べて、給与が下がることも十分に考えられます。給与が下がった場合は、お小遣い程度の金額ではありますが、雇用保険から支給される、「高年齢雇用継続給付金」がもらえないかの確認が必要でしょう。
「雇用保険の高年齢雇用継続給付金」がもらえる人の概要
対象者①~③を全て満たす人 |
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支給対象期間 | 60歳に達する月から65歳に達する月まで (各月の初日から末日まで被保険者になっている月に限る) |
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賃金低下率と支給額 | 61%以下 | 支払われた賃金額×15%相当額 |
61%超75%未満 | 支払われた賃金額×厚生労働省令で定める額 | |
75%以上 | 支給されない |
※この他、会社を60歳以降に一旦退職して、雇用保険の基本手当を100日以上の残日数で再就職した人に支給される、高年齢再就職給付金というものもあります。
詳しくは、会社の人事担当者、ハローワークへお問い合わせください。
おしまいに
長い老後、お金がどうも足りそうにないと考えられるならば、働き続けられるように、また医療費が掛からないように健康でいることが一番大切なのかもしれません。
それから、自給自足でお金が掛からない生活を考えたり、より物価の安い海外へ移住したりといったことも選択肢として挙げられそうです。