税金・保険コラム

2010.08.04

雇用保険の基礎知識 育児休業給付について(平成22年改正)

皆さん、こんにちは。
大概の仕事が性別に関わりなく就けるようになった昨今、子供を生んだ後も働き続けるのかそれとも家庭に入って子育てに専念するかは、女性にとって悩みどころ(?)の選択となりました。今回は、雇用保険の育児休業給付について、今年度改正があった内容を踏まえた流れを追ってみましょう。

1.生まれるまで仕事を続ける!?

共働きの女性が妊娠した場合、仕事を続けるか否かは、個人の考え方や家庭の状況などに左右されるところですが、つわりや流産の危険性、また妊娠中でも担当の仕事が問題なくできるかどうかも判断材料と言えるでしょう。
そして、出産予定日の6週間前、産前休業に入るまで、何とか在職しながら出産できれば会社にそのまま籍を置きたいと考える人が多くなっています。それは、雇用保険に1年以上継続加入している人は「雇用保険の育児休業給付」が受けられることが大きいと言えるでしょう。

2.育児休業を取るなら

出産し、産後休業終了後、育児休業を取る場合は、育児休業開始1ヶ月以上前に、育児休業をいつまでするという申し出を会社にしなければならないことになっています。
一度主婦となった女性はしっかり者が多いです。会社の担当者は、紛争等になるのを避けるためにも、申し出を受けたら、断るようなことをしないよう、替わりの人の確保などの体制を整えましょう。育児休業取得者が出ることは、子育てに対して理解がある会社といういい印象を世間に与えることができるので、会社にとってもメリットがあります。
なお、育児休業を取る人は、育児休業が終わったら退職するつもりなのに、取りあえず育児休業だけ取って(お金だけもらって)復帰しないという考え方は、ルール違反です。あくまでも、復帰することが育児休業を取れる人の前提条件です。

3.育児休業給付(平成22年4月1日~)

育児休業の申し出が受け入れられ、平成22年4月1日以降に育児休業を開始する人については、雇用保険法改正により育児休業中に出産前の賃金の約5割の育児休業給付が支給されることになります。

育児休業開始日が平成22年3月31日以前の場合は、育児休業中に3割、育児休業終了後職場復帰してから6ヶ月経過すると育児休業中に3割もらっていた期間について、職場復帰給付金が2割まとめて支給されます。
また、今までは親のどちらかが子の面倒をみられる専業主婦(夫)だと、働いているもう一方の配偶者は法律上は育児休業は取れないとされていました。が、それが撤廃され、両親ともに育児休業が取れることになりました。4月1日以降開始の育児休業は、両親両方で育児休業をとることが可能です。

4.育児休業給付を受けられる期間(平成22年6月30日~)

育児休業給付は、原則、子が1歳になるまで受けられるものとなっていますが、保育園に入所できないなどの理由がある場合は、子が1歳6ヶ月になる前日までに延長されるので、家計にとっては金銭的にも大変魅力のあるものになっています。
※これは、今までと同じです。

更に、6月30日の改正で、男性にも育児への協力を促す狙いで、「パパママ育休プラス」というものができ、父母両方が育児休業を取る場合(同時・同期間でなくてO.K.)、原則1歳までが1歳2ヶ月に達する前日までの間、父親は最大1年間、母親は出産日から子が1歳になる前日までの最大1年間(1歳になるまで育児休業を取ったら対象外)取ることが可能になりました。なお、「パパママ育休プラス」は、6月30日以降に子が1歳に達する家族が対象となります。ちょっとややこしい内容になっています。
また、奥さんの産後8週間の休暇中に、父親が育児休業を取った場合は、産後休業終了後妻が育児休業を取得したとしても、再度取得できることになりました。

5.育児休業中の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)

育児休業中は、社会保険料が会社負担も個人負担も免除されます。育児休業を取ることにより、経費的に会社に迷惑を掛けることはあまりありません。但し、産前産後休業中の社会保険料は掛るので、保険料の支払いについては、会社の指示に従いましょう。

6.育児休業から復帰したら

子を保育所に預けられたら、ばりばり働きたいという方も多いでしょう。ぜひ、がんばっていただきたいです。
なお、平成22年6月30日以降、3歳までの子を育てている従業員が短時間勤務の希望を申し出た場合、1日の勤務時間を短縮して原則6時間にしなければならないという育児介護休業法の改正がありました。これを利用すると、その分の給与は減額されても、育児をしながら無理せず働き続け易いですね。

育児休業終了後の復帰について、もし最初に申し出た時期に変更が出たときは、変更の申し出をしてください。なければ復帰する1ヶ月以上前に復帰のことについてきちんと会社と話をしましょう。育児休業をとっている間、会社は替わりの人に仕事を任せているでしょうから、会社や替わりの人に迷惑を掛けないようにしたいものです。

おしまいに

このご時勢で会社の業績が悪く、復帰しない方がありがたがれるようなケースも残念ながらあるようです。が、早く戻ってきて欲しいと思われるような働き方をぜひしていただきたいです。次に育児休業を取る人に悪影響を与えないよう、自分のためだけではなく、会社や仕事が好きだからがんばるという考え方が大切なように感じます。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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