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税金・保険コラム

2022.01.18

老化に備えたさまざまな保険

ずいぶん昔になりますが、よくテレビで見かけた高齢の女優さんが火事で亡くなりました。ガスコンロの火が着ていた服の袖に燃え移り、大やけどを負ったせいだと報じられました。

当時盛んに、衣服の素材による燃えやすさの違いということが報道されました。筆者の家族はみな、袖がだぶだぶした防寒用の化繊のはんてんを羽織っていたのですが、台所に立つ際は脱ぐのが習慣になりました。

ところが最近、ガスコンロによるやけどを招く危険因子は、服装だけではないということを知りました。残念なことに、それは老化現象です。

年齢を重ねるにつれ、関節を含め肉体のあちこちが衰えますが、目に関しても色を識別する視細胞が衰えます。それが危険なのは、青い色が見えにくくなることです。

完全燃焼しているガスの炎の色は、ガスの吹き出し口近くでは濃い青色で、先端は無色に近い青色になります。どのくらい炎が長く伸びているのかは色によって分かります。ガスコンロの炎が思っていたよりも長く伸びていたら、火傷の危険も火事の危険も上がってしまいます。
しかし、実験によると、若い人は炎の長さを正確に見積もれましたが、高齢者は実際よりも短く見積もりました。無色に近い青色が識別できなかったからです。

老化とガスコンロに関しては、関節疾患のことも考慮しなければならないでしょう。昔と違い、ガスコンロには三つ口や四つ口のものがたくさんあります。手前の五徳二つで鍋を使用しているときに奥の五徳にのせてあるやかんに手を伸ばすというような、若い頃ならなんでもない仕草でも、関節が硬くなっていて伸ばし方が足りず、鍋に触れて火傷してしまうかもしれません。

老化に備えた社会保険制度には介護保険があります。受けられる保険給付は、「現金」ではなく介護サービス事業者が提供する「サービス」です。

介護保険の対象者(被保険者)は65歳以上と65歳未満40歳以上の二つに分けられており、サービスを受けられる条件も分けられています。
65歳以上のグループは、原因が何であれ、要介護または要支援の状態であると認定されればサービスが受けられますが、若いグループは、同じ状態でもその原因が加齢に伴う16種類の特定疾患に限定されています。
(要支援より要介護の方が、より重篤です。要支援は2段階、要介護は5段階に分けられており、どちらも症状が重くなるほど数字が大きくなります。)

介護が必要になった原因は、厚生労働省によると(「2019年国民生活基礎調査の概況」)、要支援者では第1位が関節疾患、第2位が高齢による衰弱、第3位が骨折・転倒となっており、要介護者では第1位が認知症、第2位が脳血管疾患、第3位が骨折・転倒となっています。

生命保険各社も、介護に備える保険や認知症に備える保険を提供しています。介護保険とは異なり、原則的に現金給付となります。

主に、「介護・認知症を主契約としているもの」と「収入保障保険の特約であるもの」、「医療保険の特約であるもの」に分かれています。

保障期間は、介護・認知症を主契約とするものには、保障期間10年とするものや終身とするものがあります。特約のものは、当然主契約の保障期間に限定されています。

保険金の受け取り方も、「一時金として受け取るもの」、「年金として受け取るもの」、「要介護の状態区分によって一時金と年金に分かれるもの」に分かれています。年金として受け取る期間が終身なのか期間限定なのかは、各保険によって異なります。

保険金の支払い要件も様々なのですが、ほとんどが厚生労働省による要介護認定を基準にしています。ただし、その時期は、診断された時なのか、診断されてから一定期間要介護状態が継続した場合なのかは、各社によって分かれます。

以上の保険のほかに、生命保険の終身保険(定期保険と異なり、一生涯が保障期間となる)の中には、要介護4以上(全5段階のうち、2番目に重篤)と認定された際に死亡保険金を生前に受け取ることができる介護前払特約をつけられるものがあります。ご自分の保険はどうなっているのか、確認してみると良いかもしれません。

ただし、前払金は死亡保険金と同額ではなく、各生命保険会社が定めた計算方法により、減額されることには注意が必要です。

さらに、認知症保険の場合は、介護保険とは異なり、要介護状態の原因を原則認知症に限定していることに気をつけなければなりません。認知症には多岐にわたる症状がありますが、保障する対象をそのうちのいくつかに限定している場合もあります。

このように、介護・認知症保険は生命保険各社によって非常に給付内容のバリエーションがあり、20歳から加入できるものもあるなど、加入可能年齢にも幅があります。

ところで、厚生労働省による2021年3月分の介護保険事業状況報告(暫定)では、全国の65歳以上の介護保険被保険者35,769,360人のうち、要介護及び要支援の認定者数は6,818,244人です。

認定されていない人すなわち健康な人とも断言できませんが、年をとったら全員必ず要介護もしくは要支援状態になるというわけではないようです。限られた資金をどんな保険に投下すべきかと頭を悩ませる場合は、この数字も注目に値するものではないでしょうか。

しかし、要介護もしくは要支援状態にならなくても、人間の死亡率は100%ですので、生命保険の方が他の保険よりも必要性は高いでしょう。とはいえ、小さい子どもなど、自分の死後も責任を負わなければならない遺族がいない場合は、遺族保障が主目的の生命保険ではなく、自分自身を保障する保険にお金をかけるという選択もありえます。

また、介護・認知症保険の対象者を契約者(保険料を払う人)自身にするのではなく、その親の認知症介護に備える保険もでてきました。この柔軟性が民間の生命保険会社の特長でしょう。

新型コロナウイルスの感染状況が今年どうなるか分かりませんが、自宅に閉じこもることが認知症の症状及び予防に良くないということはよく言われます。(第8回認知症医療介護推進フォーラム シンポジウム1)

どうすれば良いのかについて、ご紹介しておきます。
●おうち時間を楽しく健康にすごす知恵「おうちえ」(東京大学高齢社会総合研究機構)
 お:おいしく食べて健康に(からだ)
 う:うちですごす時間を豊かに(くらし)
 ち:ちいきで近くで支え合い(きずな)
 え:えがおでゆとりの心持ち(こころ)

●こころと脳の健康を保つためのヒント(島根県基幹型認知症疾患医療センター コロナ自粛のヒント)

・通常の生活: 決まった時間の起床、食事、就寝するという生活リズムを守りましょう。頭を使った知的活動もオススメです。
・リラックスできる活動: テレビやDVDを見ながら、体を動かす体操を毎日続けましょう。花や野菜を育てたり、読書や音楽も◎
・ひととのつながり: 直接会うことはできなくても、電話やメールなどで連絡をとり、周囲の人と感情を共有するようにしましょう。
・ユーモア: 無力感に対抗するのに最も効果的な手段です。お笑いを見て、クスッと笑うだけでも効果あり。中傷やデマに惑わされず、不安を和らげ、本来の自分自身を取り戻す力にもなります。

筆者の場合は、たまたま見つけた「笑点」の再放送をタイマーを仕掛けて見るようにして、ユーモアの注入を図っています。皆様に置かれましても、それぞれの工夫をなさり、長く健康を保たれますように。

社会保険労務士
小野 路子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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