税金・保険コラム

2020.07.21

コロナ禍と生命保険

■ 夏も暑くなりそうですが、例年と異なり、新型コロナウィルス対策でマスクが手放せません。高齢者は体内の水分不足に気づきにくく、隠れ熱中症になりやすいといわれますが、熱中症対策に有効な冷房も換気が必要なので、冷房の利きも悪くなります。新型コロナウィルスと熱中症の両方に気をつけなくてはならず、過ごしにくい日々が続きそうです。

■ 大勢の死者が出ているコロナ禍の中で、二次災害とも呼べそうな事態が起こっています。新型コロナウィルスを口実にした特殊詐欺の増加です。

「特殊詐欺」とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振り込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝及び隙を見てキャッシュカード等を窃取する窃盗を含む。)の総称をいいます。(警視庁ホームページから)

新型コロナウィルスの感染拡大につれて、詐欺グルーブの活動が活発化しているのだそうです。

新型コロナウィルスの感染に用心して家にこもっている高齢者が増えているため、詐欺犯が電話をかけたとき電話相手が在宅している確率が高くなっているからです。

■ 新型コロナウィルスを口実にした消費者トラブルとして、以下のような事例が独立行政法人国民生活センターに寄せられています。

○電話で、居住地の市の新型コロナウィルス対策室を名乗られ、家族構成や持病や服用している薬などを聞かれた。

○携帯電話会社名のメールが届き、新型コロナウィルス関係の助成金を配布すると記載されたURLをクリックすると、当選しましたと表示され、預貯金口座情報を入力するように要求された。

○自宅を来訪され、保健所の依頼を受けたと称して、ウィルス抗体検査キットなるものを見せられ、今回特別に選ばれた方に安く販売すると言われた。

現金を手元に置いていない人でも安心できません。高齢者は生命保険に加入している場合が多いからです。数年前から、架空請求詐欺や金融商品等取引名目詐欺などでは、手持ちが無いという人に生命保険を解約させて現金を得させ、それをだまし取る手口が発生しているのです。

■ 実際に生命保険各社が実施しているコロナ禍関連の対策は以下の通りです。

1.保険料払込猶予期間の延長
保険契約者からの申し出により、保険会社が定める日から最長6か月間の保険料払込猶予期間の延長措置を実施します。

2.保険金等各種支払に関する措置
保険契約者または保険金・給付金受取人からの申し出により、保険金・給付金および解約返戻金・契約者貸付の請求にかかる必要書類の一部省略等、簡易支払に関する措置を実施します。

※保険料払込猶予期間について
生命保険契約を有効に継続させるためには、払込方法に応じた期日までに継続的に保険料を払い込む必要があります。
保険料の払込が遅れて、払込猶予期間が経過すると、自動振替貸付が適用されるか、そのまま契約が失効するかのいずれかになります。失効すると契約は効力がなくなりますので、万一の場合、保険金などが受け取れないことになります。

図表

いずれにしても、詳しく知りたい場合は、自分が加入している保険会社に問い合わせる必要があります。自動振替貸付は、保険の種類によっては適用されない場合があるからです。

また、災害死亡保険金や災害割増特約に関して、生命保険各社は次々と、「災害」の中に新型コロナウィスルス感染症による死亡や高度障害を含めるような変更・拡大を発表しています。

医療保険では「入院」の中にホテルや自宅での療養も含めている場合もあります。

これも各社により、保険契約の種類により、取り扱いは様々ですので、やはり確認する必要があります。

さらに、少額短期保険のみを取り扱う会社の中には、新型コロナウィルスでの1泊2日以上の入院に対し、入院一時金10万円を保証する保険を売り出したところもあります。
一般的な医療保険は、入院1日ごとに給付金が出る仕組みなので、退院するまで給付金が受け取れない場合が多いのに対して、入院後すぐに保険金が受け取れるものです。
(JustInCase社の「コロナ助け合い保険」)

しかし、いきなり飛びつかずに、まずは自分が加入している生命保険に入院特約がつけてあるのか、給付の仕組みはどうなっているのか等を確認する必要があるでしょう。

■ ところで、皆さんは問い合わせをするにあたって、営業担当者との対面やコールセンターへの電話とメールやホームページなどのデジタル環境とではどちらが好ましいとお考えでしょうか。

昨年、ある個人資産管理サービスをアプリの形で提供している会社が保険会社と共同で自社製品の利用者にアンケートを取ったところ、生命保険の契約後の管理は、約74%の人がデジタル環境が良いと答えたそうです。

その理由が、デジタルなら24時間いつでも問い合わせできるからということなのですが、その問い合わせ理由というのが「契約内容を忘れてしまうので」というものでした。

契約内容の一覧表を作成しておくことをお勧めします。面倒くさいかもしれませんが、特に契約者が被保険者である場合は、ご遺族が苦労せずにすむようにとお考えになってみてはいかがでしょうか。

控えておくべき項目
  1.保険会社名
  2.保険の種類
  3.証券番号
  4.保険金額
  5.契約者
  6.被保険者
  7.受取人
  8.保障内容

1について、「そんなことまで忘れるなんてありうるか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、近年は統合で社名が変わっている場合があります。

探し出しやすいように、自分が契約したときの社名で記録しておき、カッコ書きで変更後の社名を書いて「××××年×月×日変更」としておくのも良いかもしれません。

社名がどうなっているか自分で注意していなくても、年に一度は保険会社から「契約内容確認のお知らせ」が届きますから、それを保管しておけば良いのです。次の年のお知らせが届いたら前年のものを捨てるようにすれば、情報が定期的に更新できます。

■ 前述したアンケートでは、保険契約の加入・検討段階では対人サービスを利用している人が約57.7%でした。しかし、不安要素を取り除けるのであればデジタルでも良いという意見が約74%あったとのことです。

もちろん、アンケートに答えた人達はそもそもアプリを利用している人達だけですので、サンプルが偏っていると考えることもできます。

しかし、この調査は2019年に行われたものですので、コロナ禍を経験している現在は、対面することを恐れる人が増えているので、もっと比率が高まっているかもしれません。 (もちろん、ライフネット生命のようにネットで申し込める生命保険会社は以前からありますが。)

明治安田生命は、スマホで保険申込手続ができるアプリを来年4月に導入するそうです。営業職員が訪問して手続するのが原則だったのに対し、今年5月からは郵送受付も開始していました。

手続方法が増えるのは、利用者の利便性を高めるだけではなく、対面することによるウィルス感染のリスクを下げる効果もあるでしょう。

今後、人口の縮小、高齢化の進展という背景は変わらないので、非対面でできることはデジタルで済ませようという流れはとまらないかもしれません。

■ 以前、リタイヤした方の新聞投稿に、「会社を退職した後でも、私にはやるべきこと、行くべき場所、会うべき人々がある。単純だが、なんと幸せなことか。」という内容のものがありました。

この方は社会に組み込まれている、社会に居場所があると感じているのだと言い換えても良いのかもしれません。

動物としてのヒトは弱々しい存在なので、群れを作り、協力し合うことで生き抜いてきました。だから、普段は意識しませんが、社会の中に居場所がある、群れの一員であると感じることは、ヒトの幸福感の基盤にも組み込まれているのではないでしょうか。

新型コロナウィルスの蔓延により、自ら外出を制限し、他の人との接触を制限することはヒトの本能に反する行為だと思います。不安が続けば、心身のバランスを崩すのも無理はありません。

しかし、世界中に被害者を出したスペイン風邪は、約4年も猛威を振るったものの、とにかく収束しました。今の新型コロナウィルスの脅威も、必ず収束することを信じて、毎日を過ごすしかありません。粘りましょう。

社会保険労務士
小野 路子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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