税金・保険コラム

2020.06.23

雇用保険 求職者給付(会社都合による解雇や離職の場合)

コラムイラスト1

新型コロナウィルス感染症の影響で、東京オリンピック2020の開催は来年に延期され、感染防止のため多くの会社で、在宅勤務の実施や営業自粛要請に伴う休業を余儀なくされることとなりました。世界中が目に見えないウィルスにより、誰もがと言っていいくらい何かしらの影響を受けており、事態の終息には更に時間がかかることでしょう。
政府や自治体の支援はあるものの、事業活動が停止したことで資金繰りに行き詰った会社では、給与を支払えずやむを得ず従業員を解雇せざるをえない状況になることがあります。今後、それは更に増えていくと見込まれます。今まで順風満帆に生きてきた人でも、突然会社が倒産するなどして職を失う事態に陥ることがあるかもしれません。

今回は、新型コロナウィルス感染症の影響に伴い、お勤めしている人が予期せず失業した場合や、やむを得ず退職せざるを得ない場合の特例も出ていますので、雇用保険の求職者給付(基本手当)の受給について解説します。

1. 解雇等で失業してしまったらまず何をすればいい?

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正社員はもちろん、パートでも週20時間以上働く契約で雇われている人は雇用保険の被保険者となりますので、退職後にまずは会社から離職票をもらいましょう。離職票を受け取ったら住所地を管轄するハローワークへ必要なものを持参して、次の仕事を探すため求職の申し込みと求職者給付を受給するための手続きをします。

求職者給付を受けられる人の条件は以下の通りです。
①雇用保険に加入していた。
②退職前に月11日以上勤務していた期間が6か月以上あり、その間雇用保険に加入していた。
※休業していた日も勤務日とみなされます。一身上の都合による退職では、②の期間が12か月以上必要です。

ハローワークに持参するもの。
①離職票1と2
②マイナンバーカード
持っていなければ紙の通知カードか、個人番号が記載された住民票記載事項証明書と運転免許証やパスポートなどの写真付き身分証明書1点
※写真付き身分証明書がないときは、健康保険証や年金手帳、公的証明書など2点必要。
③印鑑
④証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
⑤自分名義の預金通帳かキャッシュカード

2. 基本手当受給の流れ

求職者給付の基本手当を受け取れるまでの流れは以下のようになります。

図表1

但し、令和2年2月25日以降、本人が新型コロナウィルス感染症に罹患した疑いがある症状がありハローワークの手続きができない場合、また以下③の理由により離職後1年の受給期間内に30日以上事情が続くときは、この1年間の受給期間を延長することができます。

また、令和2年2月25日以降、新型コロナウィルス感染症の影響を受けたことにより退職し、その退職理由が以下に該当する場合は、「特定理由離職者」として3か月間の給付制限が適用されない特例措置が設けられています。また、離職前1年間に6か月以上被保険者期間があれば受給資格が得られる可能性があります。なお、これを証明する書類が必要となります。

①同居の家族が新型コロナウィルス感染症に罹患したことなどにより、看護または介護が必要になったことから自己都合退職した場合
②本人の職場で感染者が発生、または本人もしくは同居の家族に基礎疾患がある、妊娠中、高齢であることを理由に感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合退職した場合
③新型コロナウィルス感染症の影響で子供(小学校、義務教育学校(小学校課程まで)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育園、認定こども園などに通学、通園する子に限る)の養育が必要となったことから自己都合退職した場合

図表2

3. 離職時に65歳以上の人は?

離職時の年齢が65歳以上の人は、基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」を7日間の待機期間経過後、一時金で勤続年数により30日分または50日分受給することができます。
雇用保険の被保険者期間は6か月以上で足ります。また、年金との併給も可能です。

4. 雇用保険に入れない人

会社の社長や取締役で役員報酬をもらっている人、社長の奥さん、自営業者など、雇われて働いている労働者と言えない人は、雇用保険には入れません。また、労災保険と同様、最近増えている飲食店の自転車・バイクでのデリバリーサービスの会社は、個人事業主として契約しているケースが多く、その場合、仕事をするかしないかが自由な分、保険の対象にはならないのでご注意ください。また本業が学生のアルバイトも雇用保険の加入対象外です。

おしまいに

失業してしまったら、早く次の仕事を探さなければなりませんが、この状況では全く同じような仕事に就くことは難しいケースもありそうです。業種を変えても今までやってきたことが生かせる仕事が探せれば、採用されやすいのでしょうが、場合によっては全く違う仕事にチャレンジする気概も必要になるのかもしれません。
大変な状況で心が折れることもあるかもしれませんが、なんとか乗りきっていただければと思います。
また安心して暮らせる日常が戻ることを切に願います。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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