欧先生の診察室

会員誌『カラフル』にて連載のコラム。
日々の暮らしの中で気になる症状や、季節の変わり目のお悩みに
佐々木欧先生がやさしくアドバイスしてくれます。

2021.09.21

帯状疱疹ってなあに?

  • 高血圧で通院中のRさん(65歳、女性)。数日前から服が擦れると背中がチクチクすると思っていたら、赤いブツブツが出来ていたと相談に来ました。皮膚の様子を確認してみると、帯状疱疹でした。

  • Q.どこかでうつったのでしょうか?

    A. ご自身の体内で眠っていた水疱瘡のウイルスによる病気です

    子供の頃に、水疱瘡にかかったことがあると思います。水疱瘡は水痘ウイルスによって起こる感染症で、発熱の数日後に全身に小さな水ぶくれができる、とてもかゆい病気です。水疱瘡が治った後に、このウイルスは全身の神経の中に留まって眠りにつきます。年齢を重ねるうちに免疫が低下すると、活動を再開して帯状疱疹を起こします。
    帯状疱疹は神経の走行に沿って体の一部に帯状に、それも半分側にだけ痛かゆい皮疹が出るのが特徴です。皮膚の違和感に気付いてから、数日以内に皮疹が出ることが多いです。皮疹は紅く、小さな水ぶくれをいくつも伴い、やがて乾いてかさぶたになります。帯状疱疹は胴体や手足だけではなく、頭や顔にできることもあります。目や耳の周りにできると、目や耳の痛みや、見えにくさ、聞こえにくさ、めまいなどを伴います。後遺症を残すおそれがあり、早期に専門病院への紹介が必要な場合が多いです。

  • Q.家族にうつさないか心配です

    A. 水疱瘡にかかったことのある人にはうつりません

    帯状疱疹は、水疱瘡とは違って空気感染しないので、人にうつることは少ないです。ただし、皮疹からにじみ出た液の中にはウイルスが含まれており、まだワクチンを受けていない乳幼児や、免疫機能が低下している人が触れると感染するおそれがあります。全部かさぶたになって治るまでは、小さなお子さんや抵抗力の落ちている人とは会わないようにしましょう。

  • Q.治療についても教えてください

    A. 特効薬があります

    飲み薬での治療が一般的ですが、重症な場合には入院して点滴で治療することもあります。この抗ウイルス薬は腎障害を起こしやすいため、水分をこまめにとって尿をたくさん出すことで、腎臓への負担を軽くしながらお薬を飲み切ることが大切です。腎機能が低下している人には、お薬の量を減らして治療します。

  • Q.痛みが残ると聞いていて心配です

    A. 早期からの痛みのコントロールが有効です

    帯状疱疹後神経痛といって、皮膚はもう治っているのに痛みが数カ月以上続いてしまう場合があります。帯状疱疹の20%前後にみられ、年齢が高いほど、また痛みがひどいほど、痛みが残りやすいと報告されています。皮疹がひどかったり、痛みが先行したり、感覚の異常(鈍さや過敏さ)を伴う場合なども、痛みが残りやすいことが知られています。
    当初の痛みの強さが、帯状疱疹後神経痛へと移行する大きなリスクなので、早期から積極的に鎮痛をはかることが重要です。副作用に注意しながら、一般的な痛み止めや、神経痛の特効薬などを組み合わせて治療します。帯状疱疹後神経痛になってしまった場合でも、ペインクリニックなどの痛みの専門外来で、より高度な治療を受けることができます。

  • Q.帯状疱疹にかかる人は多いですか?

    A. 50歳以上に多く、80歳までに3人に1人がかかります

    男女ともに50歳以上で急増しますが、この20年でどの年齢層でも約1.5 倍に増えています。高齢者や免疫が低下している人では繰り返す場合があり、10年程度の間隔を開けて6.4%に再発がみられました。
    水疱瘡や帯状疱疹にかかったり、ワクチンを接種することで、私たちの免疫はこのウイルスの特徴を記憶し、抵抗する力を備えます。免疫の記憶が残っているうちにウイルスと再会した場合には、さらに長期に渡って免疫を保持することができます。
    水痘ワクチンが小児で定期接種となったのに伴って、日常生活の中でこのウイルスと出会う機会が減っており、帯状疱疹の罹患率が増えるのではないかと危惧されています。

  • Q.帯状疱疹を予防することはできますか?

    A. 50歳以上でワクチンが受けられ、帯状疱疹後神経痛も予防できます

    ワクチンには2種類あります。一つ目は弱毒化した水痘ウイルスを用いて作られた生ワクチンで、小児の水疱瘡の予防接種と同じものです。成人の帯状疱疹の予防には1回皮下注射します。米国での研究では60歳以上で帯状疱疹を51.3%減少させ、帯状疱疹後神経痛を66.5%減少させました。生ワクチンのため、膠原病などで免疫を抑える治療を受けている方は基本的には受けられません。
    もう一つはウイルスを殺して不活化したワクチン(2020 年発売、シングリックス) で、2ヶ月あけて2回筋肉注射します。帯状疱疹に対する予防効果は50歳以上で97.2%、70歳以上では89.8%で、帯状疱疹後神経痛の予防効果も88.8%と報告されています。従来の生ワクチンよりも高価ですが予防効果も高いと期待されています。免疫を抑える治療中の人でも受けることができます。
    ワクチンを希望する場合には、主治医の先生に相談しましょう。費用は自費で、生ワクチンの場合は1回8千円前後ですが、不活化ワクチンの場合は1回2万円前後、合計4万円程度かかります。自治体によっては費用を補助してくれる地域もあるようです。お住まいの市町村の福祉の窓口に確認してみましょう。

  • 早くに相談に来て良かったと、うなずきながら聞いていたRさん。ご主人にもワクチン接種をすすめてみますと言いながら、処方箋を受け取って帰ってゆきました。

  • ワクチンを受ける日は、肩までまくれる服装で

    インフルエンザなど、皮下注射で接種するワクチンは二の腕の下の方に注射します。新型コロナなどの筋肉注射のワクチンは、もっと上の肩の近くに注射します。
    いずれの場合でも、注射を打つ周りの皮膚が十分に露出している方が打ちやすいです。予防接種の日には、袖のない服か、肩の上までまくれる袖口の大きな半袖の服を着てゆきましょう。

佐々木欧(ささき・おう)

医師。東大病院で長年アレルギーやリウマチ(膠原病)の診療に従事。
現在は秋葉原駅クリニックで内科全般の診療を手がけている。
生活のなかで実践できるセルフケアの開拓や患者さんの不安を軽くできる、やさしい医療を目指している。

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