欧先生の診察室

会員誌『カラフル』にて連載のコラム。
日々の暮らしの中で気になる症状や、季節の変わり目のお悩みに
佐々木欧先生がやさしくアドバイスしてくれます。

2020.12.08

コレステロールやメタボってなあに?

  • 高血圧で通院中のNさん(53歳、男性)。健康診断で、コレステロール値が引っかかったと結果を持って相談に来ました。中性脂肪も昨年より大幅に上昇しているようです。コロナ禍でこもりがちな生活が続き、この半年で体重が3kgも増えてしまったとのことでした。

    コレステロールやメタボってなあに?
  • Q.コレステロールが高いと、どうして体に悪いのですか?

    A.動脈硬化が悪化して、やがて重大な病気をおこします。

    コレステロール値が高いと無自覚のうちに動脈硬化が進み、やがて脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を引きおこします。硬くなった血管を元に戻すことはできないので、地道な予防が重要です。
    とりわけ問題なのが悪玉と呼ばれるLDL コレステロールの高さですが、中性脂肪が高かったり、善玉のHDL コレステロールが低くても動脈硬化を悪化させるため、これらをまとめて脂質異常症と呼んでいます。

  • Q.高血圧でも動脈が硬くなると聞きました。

    A.高血圧や脂質異常のほか、糖尿病、肥満、喫煙などでも悪化します。

    動脈硬化は血管の加齢現象なので誰もが徐々に進みますが、高血圧、脂質異常、糖尿病、肥満、喫煙などで更に悪化します。特に高血圧と動脈硬化とは、互いを悪化させあいます。
    既に動脈硬化があっても、高血圧や脂質異常などの治療を続けることで心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らすことができます。火種が小さいうちに対処しておくことで大きな病気のリスクを減らすことができますので、定期的な血液検査や通院での管理が大切です。

  • Q.LDL、HDLコレステロールについて教えてください。

    A.LDL(悪玉)はコレステロールを全身に届け、HDL(善玉)は廃品回収をします。

    LDL(悪玉) は、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運んでいます。LDLコレステロールが高値だと、あふれた脂質が通り道の血管の壁にヘばりつき、排水管の油脂汚れのように塊となって成長し、やがて石灰化して動脈硬化を起こします。
    使い切れずに余したコレステロールを回収して肝臓に持ち帰ってくれているのが HDL(善玉)で、動脈硬化の予防因子です。HDLコレステロールは高いほうが良いのですが、個人の生来の体質として一定の値を保ち、食生活で大きく変動することはありません。喫煙によって低下し、運動によって増加することがわかっています。

  • Q.中性脂肪が高いと、どうなりますか?

    A.肥満や動脈硬化が進みます。

    私たちの体は、余った栄養を貯蔵用のエネルギー源へとつくりかえます。糖質や脂質をとりすぎると中性脂肪にかえて、脂肪肝などの内臓脂肪や、皮下脂肪として蓄えるため、肥満の原因となり動脈硬化も進みます。

  • Q.健康診断で、腹囲を測るようになったのはなぜですか?

    A.諸悪の根源、内臓型肥満を見つけるためです。

    1989年に米国で、肥満・糖尿病・中性脂肪高値・高血圧の合併が心筋梗塞のリスクとして注目され始めました。その後、内臓脂肪型の肥満が鍵を握っていることがわかりました。
    肥満に加えて、脂質異常・高血圧・糖尿病のうち2つ以上を合併した状態をメタボリック症候群と呼んで、単独の場合よりも積極的に治療します。起点となる内臓脂肪型の肥満をすくい上げて負の連鎖を予防するために、2008年からは40~74歳での特定検診で腹囲を計測しています。
    へそ周りを測って、男性で85cm以上、女性で90cm以上だと内臓脂肪過多の目安です。皮下脂肪のつく下半身よりもウエスト周りが大きくなる体型が特徴です。従来の肥満の目安であるBMIが25を超えない場合もあり、隠れ肥満とも呼ばれます。

  • Q.脂質はできるだけとらない方が良いのですか?

    A.適量が必要で、細胞の膜、伝令、エネルギー源になります。

    私たちの体が皮膚によって外界と隔てられているように、体を構成している個々の細胞も膜によって区切られています。この細胞膜の材料となるのが脂質です。脂質はホルモンや、免疫を調節する伝達物質の原料にもなり、臓器や免疫系に指令を伝え、機能を調節する役割を果たします。またエネルギー源としても有用で、糖質や蛋白質に比べて大変大きなエネルギーを作りだすことができます。

  • Q.中性脂肪について、食事で気をつけることは何ですか?

    A.糖質のとりすぎに注意。肉より魚、運動も有効です。

    中性脂肪が高い人は、糖質のとりすぎによることが多いため、白米やパン・麺類などの主食や、甘いものなどの間食、そしてアルコールやジュース類などを減らすことが重要です。余った栄養を中性脂肪として蓄えますので、脂質もとりすぎてはいけません。
    魚にはEPAやDHAといったオメガ3系の脂肪酸が豊富で、中性脂肪を下げ肥満を防ぐ効果があるので、肉よりも魚を食べることがおすすめです。また、運動も中性脂肪を減らして善玉のHDLコレステロールを増やす効果があり、動脈硬化を抑制します。

  • Q.卵などのコレステロールは気にせず食べていいことになったと聞きました。

    A.脂質異常症の人は違います。

    体内のコレステロールの大部分は自分で合成したもので、食事由来のものは全体の1/3 ~ 1/7 程度です。また、食事のコレステロール量を減らしても、必ずしも悪玉コレステロール値が下がるわけではありません。そのため、2015年に健康な方についてはコレステロール摂取量の制限がなくなりました。しかしながら、これは脂質異常症の患者さんには当てはまりません。食品中のコレステロールは、卵やレバー(特にフォアグラ)、魚卵、ウニ、イカなどに多く含まれます。また、バターや乳製品、赤身肉などの動物性脂質もとりすぎないように注意しましょう。

  • 生活で気をつけるポイント

    ●お腹が出てきた人は、糖質を減らして野菜と運動を増やしましょう。
    ●甘い飲み物や、アルコールを減らすと効果的です。
    ●脂質異常症の人は卵やレバー、バターや乳製品などの食べ過ぎに注意。
    ●家の中でも座りっぱなしを避けて、こまめに動くだけでも運動になります。

  • 在宅中の晩酌が増えてしまったこと、こもりがちで歩かなくなり運動不足も実感していたN さん。次回の採血検査に向けて休肝日をつくり、休日には早起きして散歩しますと言いながら、お薬を受けとって栄養指導の予約をして帰ってゆきました。

  • 採血の日には、水を飲んで来ましょう

    脂質異常症、特に中性脂肪の採血は、朝食抜きの午前採血が最も望ましいです。午後に検査を受ける場合には、朝食を早めに軽く済ませて昼食は抜き、最後の食事から4~5時間以上あけて検査を受けることがおすすめです。
    食事抜きで来てくださいと言われると、水も飲んではいけないと思っている方が多いですが、大抵の検査では水は飲んでも問題ありません。むしろ水分不足だと、尿酸値や腎機能など値が悪くなってしまう項目もあります。また、脱水で血管がぺちゃんこになっていると採血自体も難しくなりますので、採血日には水をこまめに飲んで行きましょう。

佐々木欧(ささき・おう)

医師。東大病院で長年アレルギーやリウマチ(膠原病)の診療に従事。
現在は秋葉原駅クリニックで内科全般の診療を手がけている。
生活のなかで実践できるセルフケアの開拓や患者さんの不安を軽くできる、やさしい医療を目指している。

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