欧先生の診察室

会員誌『カラフル』にて連載のコラム。
日々の暮らしの中で気になる症状や、季節の変わり目のお悩みに
佐々木欧先生がやさしくアドバイスしてくれます。

2020.03.10

くしゃみと鼻水が続くんです

  • 45歳で転勤となり、実家のある北海道から東京都に引っ越してきたSさん(55歳、女性)。数年前から春先にくしゃみ、鼻水が続くことがあり、風邪かと思っていました。今年は目のかゆみも出てきたので、もしかして花粉症ではないかと相談にやってきました。

    くしゃみと鼻水が続くんです
  • Q.花粉症かどうか調べる検査について教えてください

    A.スギなどの特定の花粉にアレルギー体質があるかをみる採血の検査があります。
    花粉のほかにもハウスダストや食べ物など、一般的にアレルギーの原因となるもの(アレルゲン)についても調べることができます。
    実際のアレルギー体質の有無と、検査結果とが食い違う場合もありますが、診断のうえでは症状の有無が最も重要です。
    なお、検査をしなくても症状に応じて治療を受けることができます。

  • Q.中高年でも花粉症になるのでしょうか?

    A.新規発症は2 0代までが最多ですが、高齢になってから発症する人もいます。スギ花粉症に代表される、いわゆる花粉症の有病率は年々増加しており、とくに都市部に多い傾向がみられます。
    東京都内の都市部の住民を対象としたアンケート調査によると、スギ花粉症の有病率は最新の2 0 1 7 年には48 . 8 % でした。
    年齢別の有病率は、15 ~29歳の6 1.6 % が最多ですが、6 0歳以上での有病率も3 7. 4 % と多く、どの年齢層でも調査のたびに増加しています。成人では、花粉症をはじめとするアレルギーは完治することが難しいため、前回調査時に若年だった患者層の年齢が上がるにつれて、調査のたびに、年齢が上がるほど有病率が増える傾向が目立っています。

  • Q.花粉症の原因は、スギ以外にもありますか?

    A.春はスギやヒノキが主ですが、北海道ではカバノキ科の花粉症の人が多いです。夏や秋はイネ科やキク科の花粉症が多く、いずれも道端に生えているありふれた雑草です。全国的にはスギ花粉症が最多ですが、ダニなどのハウスダストに対する通年性のアレルギー性鼻炎の人も同様に多く、複数のアレルゲンに対して症状がある人もいます。
    [代表的な植物]
    カバノキ科=シラカバ、ハンノキ。イネ科=ハルガヤ、カモガヤ。キク科=ヨモギ、ブタクサ

  • Q.薬以外の治療法はありますか?

    A.春外出時にはマスクやメガネで、花粉を避けることも有効です。家の中に花粉を持ち込まないために玄関の外で服を払ってから入るようにし、室内をこまめに掃除したり空気清浄機を使用することもおすすめです。鼻づまりがひどい場合などには、耳鼻科で手術治療(レーザー術など)を行う方法もあります。
    また、舌下免疫療法といって、特定のアレルゲンを口腔内で少しずつ体に取り入れて慣らして行く方法もありますが、数年以上にわたって、年間を通して続ける必要があります。この治療でも完治は難しく、中断後に再発するケースがあります。

  • 花粉症はどういう病気か

    花粉症はアレルギーにまつわる病気です。アレルギーとは、外から入ってくる特定の異物に対して免疫がブラックリストにのせて過剰に反応してしまい、守っているはずの体にかえって被害を及ぼしている状態です。免疫のブラックリストにのるためには、特定の花粉が体にとって有害であるという犯罪歴を重ねる必要があり、感作と呼ばれる準備の段階があります。したがって花粉症は、身近に生えていたり風にのって遠くから飛んできて、よく体に入ってくるありふれた植物の花粉で発症しやすいことが知られています。
     花粉症の症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目や皮膚の痒みのほかに、咳や頭痛、微熱や倦怠感などを伴うこともあり、風邪と勘違いされることも多いものです。咳は喉や胸が痒いような違和感を伴ったり、声がかすれたり、夜眠れなくなるなど重症になることもあります。

  • 花粉症と関連した食物アレルギー

    花粉症と関連して、特定の果物や野菜に対して食物アレルギーがみられることがあります。例えばカバノキ科の花粉症の場合は、リンゴ・モモ・サクランボといったバラ科の果物にみられることが多く、これは花粉と、食物に含まれるアレルゲンの形が似ているために起こる病気で、口腔アレルギー症候群や、花粉‐食物アレルギー症候群と呼ばれます。症状は喉がイガイガする程度の軽いものから、アナフィラキシーといってショック状態となって命の危機に及ぶものまでさまざまです。

  • 温暖化とともに増える花粉症と失われる四季

    花粉症などのアレルギー疾患の有病率が増えている背景として、食生活の変化やストレス、大気汚染の影響などが疑われています。また、地球温暖化とともに、様々な植物の花粉飛散量が増える見込みであり、それに伴い、世界的にも花粉症の患者さんがさらに増えると予想されています。日本の気候も温暖化の影響で、四季の変化に富む温帯から、夏と冬が主体の亜熱帯へと変わりつつあります。実際に、桜の開花時期が徐々に早まって春の到来が早く感じられ、海水温が高いために台風が多く、秋の到来が遅くなったようにも感じています。過ごしやすい気候で木々の表情も豊かな春や秋の期間が、年々短くなっているように感じており、とても残念に思います。

  • 本格飛散前の症状の軽いうちに、1月中旬~2月上旬からの対策開始を

    花粉症などのアレルギー疾患は、症状を繰り返すたびにドミノ式に悪化することが多いため、軽症のうちに対策することが重要です。スギの場合は本格飛散前の、1月中旬から2月上旬頃までに対策開始がおすすめです。花粉症が悪化すると、鼻づまりでいびきをかき眠りが浅くなり、日中の眠気や集中力低下を生じて生活に支障をきたすことが多いです。市販薬などで症状が落ち着かない場合には自己判断で対処せずに、信頼できるアレルギーの専門医を探して相談してみましょう。

佐々木欧(ささき・おう)

医師。東大病院で長年アレルギーやリウマチ(膠原病)の診療に従事。
現在は秋葉原駅クリニックで内科全般の診療を手がけている。
生活のなかで実践できるセルフケアの開拓や患者さんの不安を軽くできる、やさしい医療を目指している。

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