年金コラム

2019.03.26

65歳の年金請求手続きについて

 こんにちは、社会保険労務士の土屋です。今回もみなさんにとって関心の高い年金についてお話しいたします。今回は65歳からの年金請求手続きについてとりあげて説明させていただきます。

65歳からは本格的な年金支給

 昭和36年4月1日以前生まれの男性並びに昭和41年4月1日以前生まれの女性の方で、厚生年金加入期間が1年以上ある方は65歳に到達するまで特別支給の老齢厚生年金を受給できます。その方が65歳に到達すると、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになります。
 この65歳時の請求の手続きは、年金事務所等に行く必要はなく、日本年金機構から65歳の誕生月の初めに葉書形式の裁定請求書を提出して欲しい旨の案内通知が送付されます。同封されている葉書に、ご自分の名前・住所等を記入・捺印し送付するだけで、請求手続きは完了します。提出期限は誕生月の末日となっていますが、数ケ月程度遅れても投函すれば、65歳到達月の翌月から引き続き年金が支給されます。
※戸籍法上は誕生日の前日の午前0時に1歳年をとりますので、1日生まれの方は前月の末日が65歳到達日になりますので、誕生月の前月の初めに通知が送付されます。

 厚生年金に加入したことはあるが、加入月数の合計が1年に満たない方や、国民年金にしか加入したことがない方は、特別支給の老齢厚生年金の受給権はありませんので、65歳の到達月の3ケ月前に老齢年金の請求書が送付されます。その請求書を65歳到達日の前日以降に年金事務所等に提出するという手続きを行う必要があります。
※添付書類はその方の加入した年金制度や加入月数並びに配偶者や子の有無等で異なりますので、日本年金機構に来所相談または電話等で確認してください。

 また、特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを65歳前に行っていない方も、同様に65歳到達月の3ケ月前に老齢年金の請求書が送付されます。

65歳からの年金は増額することが可能

 65歳到達月まで受給する特別支給の老齢厚生年金は、自分の意思で支給開始年齢を遅らせて、増額(繰り下げ請求)することはできませんが、65歳から受給する老齢基礎年金と老齢厚生年金は自分の意思で支給開始年齢を遅らせ、増額(繰り下げ請求)した年金を受給することも可能です。手続きは65歳到達日の属する月の初めに送付された葉書に“繰り下げ請求”という欄がありますので、繰り下げを希望する年金に〇をつけて投函するだけで、手続きは完了です。
※老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方のみでも繰り下げ請求できます。ただし、両方の年金とも繰り下げ希望する場合は、葉書を投函しないでください。

 そして、66歳到達日以降の年金受給を希望する日(66歳~70歳までの間ならいつでも可能)に年金事務所に来所し、繰り下げ請求の手続きをしていただければ、増額した年金を請求した月の翌月から受給できます。
 増額率は66歳時で8.4%増額になり、以降1ケ月経過毎に0.7%アップし、最大70歳まで繰り下げした場合42%(0.7%×60カ月)増額した年金を受給することが可能です。ただし、増額するメリットがある一方、繰り下げした間の年金を受け取らない(結果的に繰り下げした期間の年金を捨てる)という選択をしますので、もし、繰り下げ待機中に不幸にして死亡した場合には年金は受給できませんし、遺族が遡って受け取ることもできません。
 遺族厚生年金は要件に該当すれば、残された遺族(配偶者等)が受給できます。ただし、増額計算はされません。死亡した方が受給する(または受給するはずだった)年金額の4分の3で遺族厚生年金は計算されます。
 単純計算ですが、繰り下げした場合、繰り下げ後の増額分で、受給しなかった間の年金を割り戻して計算すると、繰り下げしてから12~13年は繰り下げ後の年金を受給しないと、65歳から受けた場合より損をするという計算になります。

年金太郎さんの例で計算
65歳~受け取る老齢基礎年金 779,300円(平成30年度満額の年金額)
65歳~受け取る老齢厚生年金 1,800,000円

年金太郎さんが66歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げし、66歳から受給した場合。
老齢基礎年金 779,300円×108.4%=844,761円、差額65,461円
老齢厚生年金 1,800,000円×108.4%=1,951,200 差額151,200円

2,579,300円(年金1年間分)÷(65,461円+151,200円(1年繰り下げ受給に伴う増額分))=11.904772894・・・

 1年間の受給額を取り戻す為に66歳以降約12年間は年金を受給しないと結果的に損をするという試算になります。年金額によって多少の誤差はありますが、繰り下げ受給をした場合、少なくとも12~13年の間年金を受け取らないと損をするという結果にほぼなります。

 なお、繰り下げの手続きをしても、あくまで請求を待機したままの状態ですので、66歳以降に繰り下げ請求の手続きをせず、本来の受給年齢である65歳に遡って年金受給を選択することも可能です。

加給年金が加算になる方は老齢厚生の繰り下げは損?

 厚生年金の加入月数が20年以上ある方が、65歳に到達した時点で生計維持関係のある65歳未満の配偶者がいる場合、65歳から受給する老齢厚生年金に加給年金(389,300円、平成30年度価格)が加算されます。
※配偶者が65歳未満であっても20年以上の厚生年金加入期間のある老齢年金を受給している場合には加給年金は加算されません。(配偶者の年金が在職中で全額停止となっている場合には加算されます。)

 特別支給の老齢厚生年金を受給されている方は、その手続きの際にいわゆる3点セット(戸籍謄本・住民票・配偶者の所得証明等)を提出されていると思います。3点セットは65歳から加算される加給年金や振替加算の請求の為に添付するもので、65歳前の請求手続き時に仮登録を行い、65歳時の本登録については、65歳時の裁定葉書を提出(郵送)していただくことで行っています。
 したがって、65歳時に送付される葉書形式の書類に配偶者の名前・生年月日を忘れずに記入し、提出する必要があります。年金相談の窓口で記録を確認すると本来加給年金が加算されていないケースがよくありますが、3点セットを提出した該当者の方であっても、65歳時の請求手続きの葉書に配偶者の名前を書き忘れて提出してしまうと、日本年金機構で確認ができない為、加給年金が加算されないままとなってしまいますので注意をしてください。
 特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行っていない方や、特別支給の老齢厚生年金受給後に厚生年金の加入期間が240月以上に到達し加給年金の要件を満たすようになった方等は、65歳時に3点セットを提出する必要があります。
 また、65歳時の老齢厚生年金を繰り下げしてしまうと、該当する配偶者がいても老齢厚生年金が支給されない以上加給年金も加算されません。当然の話ですが、老齢厚生年金を繰り下げ受給した翌月からでないと加給年金も加算されません。また、繰り下げ請求時点で配偶者が65歳に到達してしまっていたら、加給年金は加算になりません。
※65歳時に遡っての請求であれば加算されますが、再度3点セットの提出等が必要になります。
該当する方は、総受給額をよく考えた上で繰り下げ請求は慎重に検討してください。

その他の手続き上の注意点について

 特別支給の老齢厚生年金の請求時や、請求以降に65歳から受給する老齢基礎年金を繰り上げ請求している方にも、65歳時の請求通知は送付されます。老齢基礎年金の請求手続きは繰り上げ請求をしていますので、請求手続きの必要はありませんが、厚生年金については、老齢厚生年金の請求手続きのみ必要になります。
 また、65歳前から遺族厚生年金を受給(受給権のある方すべて)されている方にも65歳時の通知が送付されます。65歳到達時まで遺族厚生年金を選択受給されていても、特別支給の老齢厚生年金を選択受給されていても、65歳からは自身の老齢基礎年金に加えて自身の老齢厚生年金が優先支給となり、遺族厚生年金の受給が多ければ、差額分が遺族厚生年金として支給されます。(下記参照)

【老齢厚生・遺族厚生の丈比べ】
1. 老齢厚生年金
2. 遺族厚生年金
3. 遺族厚生年金3分の2+老齢厚生年金2分の1

 上記3パターンで自動計算し、一番高い受給額を計算し、遺族厚生の受給額が高ければ、差額分が遺族厚生年金として支給されます。
※上記内容はバックナンバー(2018年3月27日更新コラム「遺族厚生年金について」)で説明をしていますので、そちらもご覧ください。なお、遺族厚生年金の受給者の方は繰り下げ請求をすることはできません。

 また、障害基礎年金受給者の方は下記のうちで一番高い受給方法を自分で選択受給することが可能です。

1. 障害基礎年金+老齢厚生年金
2. 障害基礎年金+障害厚生年金
3. 老齢基礎年金+障害厚生年金

 上記については受給する年金によって異なりますので、年金事務所等で年金額を計算してもらった上で一番有利な選択方法を選択し、選択届を年金事務所等に提出して手続きをお願いします。

年金生活者支援給付金について

 最後に平成31年10月から施行される“年金生活者支援給付金”についてお話させていただきます。消費税10%施行を条件に老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の受給者に月額5,000円が支給されるのが、年金生活者支援給付金ですが、平成31年4月2日生まれの方の老齢年金請求書に年金生活者支援給付金の請求書にも同封されています。
 老齢年金生活者支援給付金の支給要件は下記の通りです。

1. 65歳以上で老齢基礎年金を受けている方
2. 請求される方の世帯全員の市区町村民税が非課税となっている方
3. 前年の年金収入額と所得額の合計が879,300円以下の方

 給付金の金額は月5,000円を基準として、保険料納付済期間に応じて算出されます。

 年金受給者の方で該当する方については、葉書形式の給付金請求書が送付されます。
 提出は年金事務所になります。なお、送付された請求書は日本年金機構で所得要件等を確認し、審査の上支給決定をしますので、必ずしも受給できるわけではありません。
 また、老齢基礎年金を既に受給している方で給付金の要件に該当する方については、葉書形式の請求書が制度施行後に順次送付される予定ですので、同様の請求手続きを行っていただくことになります。
 障害基礎年金や遺族基礎年金を受給の方の支給要件等の詳細は、所得金額や家族構成等により異なりますので、年金事務所等でご確認ください。

社会保険労務士
土屋 広和
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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