年金コラム

2019.02.26

「れいこ先生のやさしい年金」(12)障害や遺族の年金を受給するための保険料納付要件について

「国民年金の保険料をきちんと払っていないと、万一の時に遺族基礎年金が受け取れないことがあるって本当ですか?」(50歳自営業者の男性)
「夫が半年前に退職しましたが、その後私は国民年金の保険料を納めていません。もし障害になっても障害基礎年金は受け取れますか?」(58歳専業主婦)

このような質問を年金相談会でよくいただきます。

老齢の年金は、保険料を納めた期間や保険料免除期間等を合算して10年以上あれば受給する資格が得られます。一方、障害基礎年金や障害厚生年金、遺族基礎年金や遺族厚生年金を請求する際には、「保険料納付要件」を満たしているかどうかが問われます。老齢の年金は、被保険者の保険料納付の実績に応じて支給されますが、障害基礎年金と遺族基礎年金は、短期の加入であっても老齢基礎年金の満額に相当する年金が支払われるため、逆選択を防止することを目的に保険料納付要件が設けられています。
今回は、遺族や障害の年金の請求に必要な保険料納付要件についてのお話です。

1.保険料納付要件の原則

Q1 「保険料納付要件」とはどのような内容ですか?

保険料納付要件は、障害や死亡の原因となる保険事故が起きてから保険料を納付しても年金は支給しないという逆選択防止のための要件です。
 保険料納付要件の原則は、次のようになります。
①初診日(死亡日)の前日において
②初診日(死亡日)の月の前々月までに被保険者期間がある場合は、
保険料を納めた期間と保険料の免除を受けた期間を合算した期間が、被保険者期間の3分2以上であること。
(言い換えれば、国民年金の保険料の未納期間があっても、被保険者期間の3分の1未満であれば、保険料納付要件を満たしていることになります。)

保険料納付要件 原則

Q2 「保険料納付要件」は、なぜ初診日(死亡日)の前日において満たしていなければならないのですか?

もし、初診日(死亡日)以後に保険料を納付して、その期間が保険料を納めた期間に算入できるとすれば、障害や遺族の年金の原因となる保険事故が起きてから後に保険料を納付しても年金が受け取れるという逆選択が起こる可能性があります。これを防止するために保険料納付要件の確認は初診日(死亡日)の前日において行うことになっています。

Q3 被保険者期間とはどのような期間ですか?

国民年金や厚生年金に加入していた期間です。
国民年金の第1号被保険者(自営業者・学生等)と第3号被保険者(厚生年金被保険者の被扶養配偶者)の場合は、20歳以上60歳未満の間が該当します。
厚生年金の被保険者は、20歳以上60歳未満の間だけではなく、厚生年金に加入していた期間のうち20歳未満の間や60歳以上65歳未満の間も国民年金の第2号被保険者なので、保険料を納めた期間として3分の2に算入されます。

Q4 なぜ、初診日(死亡日)の月までを被保険者期間とせず、初診日(死亡日)の前々月までを被保険者期間としているのですか?

例えば、2月10日が初診日(死亡日)であった場合、その前日の2月9日において保険料納付要件を確認します。国民年金や厚生年金の保険料の納付期限は、翌月末日です。2月9日において確認できる保険料納付状況は、1月31日が納期となる12月分の保険料となります。このような理由で初診日(死亡日)の前々月までを被保険者期間としているのです。

【相談事例1】
私は、18歳から30歳まで厚生年金に加入(144月)していました。その後は、50歳まで国民年金の保険料は未納です。万一障害状態になっても障害基礎年金は受け取れるのでしょうか?

【回答】

(例)初診日(死亡日)が50歳2カ月にある場合

初診日が50歳2ヵ月のときと仮定すると、あなたの被保険者期間は、厚生年金加入期間144月と国民年金未納期間の240月の合計384月になります。では、この保険料納付要件を満たすためには、384月×2/3=256月以上の保険料を納付した月数が必要ですが、あなたには144月しか納付した月がありません。残念ながら現段階では保険料納付要件は満たしていませんので、万一の時でも障害基礎年金は受給できません。

この方のように未納期間が長いため保険料納付要件を満たせない人は、どうすればよいのでしょうか?
実は保険料納付要件には、次のような特例措置があります。

2.保険料納付要件の特例

3分の2要件を満たすことができない場合は、特例措置として初診日(死亡日)の月の前々月までの直近の1年間に滞納がなければよいということになっています。

保険料納付要件 特例

この特例措置は、平成38年(新年号8年)4月1日前に初診日(死亡日)のある障害(死亡)を対象としています。ただし、初診日(死亡日)において65歳以上であるときは、この特例は適用されません。
前段で紹介した相談事例の方が、万一障害を負うことになったときや亡くなったときの備えとして障害基礎年金、遺族基礎年金の保険料納付要件を満たしておきたいということであれば、前々月までの直近1年にあたる平成30年1月から12月までの国民年金の保険料をまとめて支払い、今後も毎月の保険料を欠かさず納めてゆくことで解決します。なお、幸いに万一のことが起きなかったとしても、老齢基礎年金は保険料を納めた期間に応じて受け取ることができます。

【相談事例2】
私は現在62歳で年金には加入していません。58歳から60歳までの2年間だけは厚生年金の期間がありますが、それ以外は未納です。今は健康ですが、将来障害を負ったときには、障害の年金が受け取れますか?

【回答】
あなたが保険料を納めたのは、厚生年金に加入していた2年間だけと言うことなので、原則の3分の2要件は満たせません。
しかし、あなたの年齢は65歳未満ですので、保険料納付要件の特例措置(直近1年に未納なし)で確認してみましょう。
特例措置の直近1年間を確認するにあたって、あなたのように60歳以後は年金制度に未加入の場合、59歳11ヵ月からさかのぼった1年間に未納がなければ、保険料納付要件を満たします。幸いにもこの期間、あなたは厚生年金に加入していましたので、65歳未満の間は特例措置により保険料納付要件を満たす事ができます。

(例)初診日(死亡日)が62歳にある場合

【相談事例3】
私は58歳の専業主婦です。20歳から結婚までは、家事手伝いをしていて、国民年金は未納で、年金の加入期間は第3号被保険者期間が32年あるだけです。夫が半年前に退職して年金生活となりました。国民年金の保険料の納付書が届いていますが、経済的な余裕がなく納めていません。もし私が障害になっても、このまま未納にしていると障害基礎年金は受け取れないのでしょうか?

【回答】
あなたの被保険者期間は20歳から60歳までの480月です。3分の2要件を当てはめてみると320月以上保険料を納めた月があれば保険料納付要件を満たすことになります。あなたは第3号被保険者として32年間(384月)の保険料を納付した期間がありますので、今後の保険料を支払うことができなくても、障害については保険料納付要件を満たしていることになりますので心配はありません。
ただし、残り2年を未納にすることによって、あなたが将来受けとる老齢基礎年金の額は、2年間を納めた場合より、1年に付き3万8965円少なくなります。ご主人の退職により、保険料を支払うのが困難な場合は、保険料の免除を申請することができますので、市区町村役場の国民年金窓口でご相談下さい。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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