年金コラム

2015.11.18

「年金WEB相談室」(11)厚生年金と共済年金の一元化

平成27年10月1日に厚生年金と共済年金が一元化しました。

しかし、共済に加入していらっしゃる当事者の方でも、一元化のイメージがつかみ難いかもしれません。

「今、受け取っている退職共済年金は、なくなってしまうの?」

「共済組合は解散したのかな?」

「今まで加入していた共済の期間についての年金はどうなるのかな?」

「職域加算がなくなって、年金額が減るのかな?」

「老齢厚生年金になると、女性は早く年金が受け取れるようになるの?」 

などなど・・・・

いろいろな疑問や不安が湧いてきますね。

 

そこで今回は、共済組合の期間がある方の立場に立って、「Q&A形式」で、厚生年金と共済の一元化について説明いたします。

ちなみに、一元化が実施されて、ご自身の年金が大きく変化をするのは、現役の公務員、私学共済の方と過去に共済組合の加入期間があり、一元化以後に年金の受給権が発生する方です。

もともと厚生年金に加入している方につきましては、細かい部分の改正はありますが、従来どおりで何も変わりはありません。

また、公務員と私学教職員の方で、一元化前からすでに年金(特別支給退職共済年金を除く)を受給している方は、従来どおりの年金が終身受け取れます。


◆厚生年金の加入
【質問1】
一元化によって、厚生年金の被保険者の区分は、どうなりましたか?
【回答1】

平成27年10月1日からは、共済組合等の加入者も厚生年金に加入しました。そのため、厚生年金の被保険者は、次のような種別に区分されました。

なお、国民年金の第1、2、3号被保険者との混同を避けるため、( )内の呼称を使います。

民間被用者 第1号厚生年金被保険者(一般厚生年金被保険者)
国家公務員等 第2号厚生年金被保険者(国共済厚生年金被保険者)
地方公務員等 第3号厚生年金被保険者(地共済厚生年金被保険者)
私学教職員 第4号厚生年金被保険者(私学共済厚生年金被保険者)

◆保険料
【質問2】
共済加入者が厚生年金に加入しましたが、保険料はどうなりますか?
【回答2】

共済年金の保険料率を引き上げ、厚生年金の保険料率(平成29年以降の上限18.3%)に足並みを揃えることで、料率の差が解消されます。

最終的に、公務員共済は平成30年に、私学共済は平成39年に統一されます。


◆年金給付
【質問3】
一元化後の加入期間について給付される年金はどうなります?
【回答3】

公務員、私学教職員の方も、厚生年金の被保険者となるため、2階部分であった共済年金は厚生年金に統一されます。3階部分の職域加算は廃止され、新たに年金払い退職給付(各共済組合、国家公務員連合会より支給)に変わります。平成27年10月1日以後の加入期間のみの方は、次の右図のようになります。




【質問4】
一元化を前後して共済年金に加入していた期間がある場合は、給付される年金は、どのようになりますか?
【回答4】

いくつかの具体例で説明しましょう。

・地方公務員だったTさんは、一元化後、第3号厚生年金被保険者となりました。

・Tさんの年金は、一元化後に受給権が発生しますので、老齢厚生年金です。

旧地方公務員共済組合員期間は、第3号厚生年金被保険者期間とみなされますので、老齢厚生年金は、の期間を基に計算されます。

なお、年金の決定と支払いは、地方公務員共済組合において行われます。

・またTさんには、旧地方公務員共済組合員期間に応じた職域年金と一元化後の厚生年金の期間に応じた年金払い退職給付の両方が、地方公務員共済から支払われます。

・なお、Tさんは、単一共済に加入していましたので(=地方公務員共済のみに加入)、年金の請求書は、実施機関である地方公務員共済から送付され、提出先も同所です。

単一共済の方の年金請求は、ワンストップサービス(機構、各共済組合等のどこででも請求等を受け付けるサービス)は受けられません。

Point!!
・一元化により職域加算は廃止される
ただし、「平成27年10月1日前に年金の受給権を有する方」については、現在受給している職域加算が、引き続き各共済組合等から支給される
・「一元化前に旧共済の加入期間を有する方で、一元化後に老齢厚生年金の受給権が発生する方」については、旧共済の加入期間に応じた職域加算が各共済組合等から支給される
・一元化を前後して共済の加入期間のある人は、それぞれの期間に応じて、職域加算と年金払い
退職給付の両方を受け取る

・地方公務員だったGさんは、民間の会社に転職しました。厚生年金に加入中に一元化を迎え、第1号厚生年金被保険者となりました。

・Gさんの年金は、一元化後に受給権が発生しますので、老齢厚生年金です。

しかし、老齢厚生年金の中身はひとつではありません。

年金の決定は、旧地方公務員共済組合員期間分は地方公務員共済組合で、厚生年金被保険者期間分は日本年金機構(以下、機構)で行われます。

また、支払いもそれぞれの実施機関から、それぞれの期間に応じた額が行われます。

・また、旧地方公務員共済組合員期間分に応じた職域年金も地方公務員共済から支払われます。

・年金の請求書は、地方公務員共済と厚生年金の加入期間がありますが、最終加入期間が厚生年金なので、機構から送付されます。

 
Point!!
・年金の決定は、厚生年金被保険者期間分については機構で行い、旧共済組合等加入期間分と第2号~4号厚生年金被保険者期間については、各共済組合で行う
・年金の支払いについても決定と同様に、厚生年金被保険者期間分については機構で行い、共済組合等加入期間分については各共済組合で行う

・Mさんは地方公務員で、60歳で退職しました。

特別支給の退職共済年金を受給していますが、65歳になる前に一元化を迎えました。

・一元化前に受給権が発生している特別支給の退職共済年金は、一元化後もそのまま受給します。 

・65歳に到達すると特別支給の退職共済年金は失権し、新たに老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給権が発生します。

・Mさんは、一元化前に旧共済の加入期間を有する方なので、65歳からも加入期間に応じた職域年金が引き続き共済組合等から支給されます。

・65歳時点での年金請求書(ハガキ)は、地方公務員共済組合から送付され、同所に提出します。


◆実施機関
【質問5】
ここまでの説明で、少し一元化の姿が見える気がしますが、共済組合の位置づけが今ひとつ、はっきりしないのですが・・・・。
【回答5】

一元化により、共済組合がなくなったわけではありません。

共済組合は、一元化後も自共済の被保険者の記録管理、標準報酬の決定・改定、保険料の徴収、保険給付の裁定、積立金の運用に関する事務を行っており、共済組合は、厚生年金の事業を行うための「実施機関」として存続しています。


◆女性の特例支給開始年齢について
【質問6】
国家公務員の女性で、在職39年になります。来年度60歳になります。
私は、特別支給の老齢厚生年金が受け取れると思いますが、60歳から受け取れますか?
【回答6】

あなたの受け取る年金は、特別支給の老齢厚生年金ですが、支給開始年齢は62歳からとなります。一元化後、厚生年金と共済年金の相違点は、原則、厚生年金にあわせることになっていますが、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢のように時間の経過とともになっています。解消してゆくものについては、改正されていません。


◆長期加入者の期間合算について
【質問7】
私は、59歳の国家公務員です。60歳の退職時点で勤務期間は、42年です。60歳から62歳までは民間の会社に再就職する予定です。62歳まで働けば、トータルの勤務期間が44年になります。
その時点で退職すれば長期加入者の特例が受けられますか?
【回答7】

残念ながら、あなたは長期加入者に該当しないため、特例を受けることができません。

というのも、あなたの旧国家公務員共済組合の加入期間は、一元化後は第2号厚生年金被保険者期間とみなされます。一元化から退職までの第2号厚生年金被保険者期間と合計すると、42年になります。

しかし、その後の民間会社での勤務期間は、第1号厚生年金被保険者期間となり、種別が異なります。長期加入者の特例に該当するためには、種別ごとに44年の加入期間が必要です。そのため、あなたの場合は、長期加入者には該当しないことになります。

 
Point!!
厚生年金と共済組合の二つ以上の期間を有する場合で、
A.期間合算をせずに、厚生年金被保険者第1号から第4号までの各号ごとに期間を判断するもの
 ① 長期加入者の要件(44年の加入期間)
 ② 特別支給の老齢厚生年金定額部分計算の上限480月
 ③ 老齢厚生年金の額の計算
B.期間合算をして、判断するもの
 ① 受給資格期間(25年以上)
 ② 特別支給の老齢厚生年金の受給資格期間(1年以上)
 ③ 加給年金額の加算と停止(20年)
 ④ 振替加算額の加算停
C.老齢厚生年金の額の計算は、厚生年金第1号~4号被保険者の種別ごとに計算する

◆年金相談について
【質問8】
私は公務員ですが、年金相談はどこに行けばできますか?
【回答8】

一元化により、年金事務所の窓口で共済組合の記録、年金額、年金見込額の確認ができるようになりました。それにより共済組合の加入期間のある人は、年金事務所、共済組合等、いずれの窓口でも年金相談が受けられます。

ただし、年金事務所の窓口で相談ができるのは、共済組合等が支給する年金のうち、一元化後に受給権が発生する厚生年金に限ります。一元化前に発生した共済年金・各共済年金の職域加算についての相談、照会は、各共済組合等で行うことになっています。

また、機構及び共済組合において決定する老齢厚生年金の見込額についての照会は、50歳以上の方のみとなります。


社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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