年金コラム

2011.11.24

大きく得する年金の分岐点(4)厚生年金を44年にしよう!

「年金の支給開始が68歳に!?」こんな見出しが、10月、新聞の第一面に躍りました。社会保障審議会で議論が始まり、新聞で大きく取り上げられたのです。
現在、60歳以後の継続雇用制度を導入している企業は、約8割。その中で、希望者全員を継続雇用している企業は、4割強という状況です。68歳支給案は、定年退職後の年金空白期間がさらに延長されるということで、不安になる方は、少なくありません。複数の見直案のうち、支給開始年齢の引き上げスピードが最も速いケースでは、現在57歳の男性の方から影響を受けることになります。もちろん、年金財政の立て直しのために、支給開始年齢の引き上げは、避けては通れない論点ではありますが、同時に60歳以後、希望者全員の継続雇用が保障される雇用環境の整備を進めてゆかなければ、無収入の高齢者が増えてしまうことになりかねません。支給開始年齢の引き上げとその間の雇用の確保は、表裏一体の議論が望まれます。

Q1:私は、来年の2012年に60歳(昭和27年3月生まれ)となる男性です。厚生年金の加入期間は、60歳時点で合計42年になる予定です。先日友人から、60歳以後引き続き働いて、厚生年金を44年にすると得だという話を聞いたのですが、本当でしょうか?

A1:あなたが60歳以後、引き続き厚生年金に加入し、厚生年金の加入期間を44年にしてから被保険者でなくなると、年金額が大きくアップします。というのも、厚生年金の加入期間が44年以上になると「長期加入者」に該当することとなり、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分に加えて、

  • 定額部分
  • 対象者がいれば加給年金額

が加算されるからです。

では、詳しく説明しましよう。

年金基礎知識!!【長期加入者の特例】編

●長期加入者の特例とは?

まず、「長期加入者」とは、厚生年金(または、共済組合。以下同様)の加入期間が44年(528月)以上の人をいいます。同一の年金加入が条件で、厚生年金と共済組合を合算して44年以上の場合は、該当しません。
これらの方は生年月日にかかわらず、報酬比例部分に加えて定額部分と、対象者がいる場合は加給年金額が受給できます(加算は、報酬比例部分の受給開始時点からです)。なお、長期加入者の特例による年金は、ご本人の報酬比例部分の支給開始年齢以後、厚生年金に加入していないことが条件となっています。長期加入者に該当していても、厚生年金に加入する場合は、報酬比例部分のみの受給となります。

●長期加入者の特例に該当すると、いくらくらい年金額が増える?

長期加入者の特例による年金額は、通常の年金額である報酬比例部分に定額部分と加給年金額(対象者がいる場合のみ。注1参照)がプラスされます。定額部分は年間で約80万円、加給年金額は年間で約40万円です。この特例による加算が5年間受けられる方は、通常の年金よりも、約600万円多くなります。

※(注1)加給年金額の対象者
生計維持関係(前年の年収が850万円未満で生計同一であること)にある、65歳未満の配偶者で、加入期間が20年以上ある老齢厚生年金、または退職共済年金、または障害の年金を実際に受給していない方

●報酬比例部分の受給開始年齢以後に厚生年金の期間が44年以上になったら?

報酬比例部分の受給開始年齢時点では44年の加入期間に届かない方が、引き続き厚生年金に加入し、加入期間が44年以上になった場合でもこの特例を受けることができます。
ただし、44年に到達しても引き続き厚生年金に加入している間は、この特例を受けることはできません。特例を受けるためには、厚生年金の被保険者でなくなることが必要です。退職するか、引き続き働きたい場合には、勤務時間または勤務日数のいずれかを正社員の4分の3未満にすれば、被保険者でなくなります。

●60歳から報酬比例部分を受給できるAさんの例

Aさんは、高校を卒業してから就職し、60歳時点での厚生年金の加入期間が42年となります。Aさんが60歳以後も厚生年金に加入して、加入期間が44年になる62歳で退職すると、退職した月の翌月(月末退職は翌々月)から、長期加入者の特例による年金を受給することとなります。Aさんに加給年金額の対象となる妻がいれば、65歳に達するまでの3年間に定額部分と加給年金額が増額となり、通常よりも約360万円年金額がアップすることになります(図2参照)。

Q2:高校を卒業後に勤めた会社も、もうすぐ定年となります。退職後は、まだ子供が大学生なので再就職したいと思っています。しかし、今のところ再就職先が確定していません。今の会社では、再雇用される可能性が低いので、新しい就職先を探さねばならないと思っています。
もし別の職場で厚生年金に加入し、合算して44年以上の場合、長期加入者の特例は適用されますか? また、再就職先がすぐに見つからず、厚生年金の期間が中断しても大丈夫でしょうか?

A2:「長期加入者の特例」は、厚生年金の加入期間が528月以上で、被保険者でない場合に受けられます。528月が引き続いていることは必要ではありません。再就職までの間に、失業期間があったり、パートで働いたために厚生年金の加入が途絶えても、全く問題はありませんので安心してください。
ただし、再就職して、雇用保険からの「高年齢雇用継続基本給付金(注2)」の受給を希望される方は、注意していただきたいことがあります。それは、雇用保険から基本手当(いわゆる失業保険)を受給しないようにすることです。
職探しをする間、基本手当を受け取ったとしても長期加入者の特例には影響はありませんが、高年齢雇用継続基本給付金は受け取れなくなります。というのも給付金の受給の要件に「基本手当を受け取っていないこと」とあるからです。
再就職での給料の低下を補う給付金をうまく利用するためにも、年金を受け取りながら、再就職先を探す方がよいかと思われます。
なお、いつまで働けば528月となるのかということは年金事務所で、高年齢雇用継続基本給付金のことはハローワークでご確認ください。

※(注2)高年齢雇用継続基本給付金とは
60歳以降賃金が下がっても手取り収入をカバーする仕組みです。手続きは、再就職先の会社が行い、受給できる場合は、ご本人の口座に2ヵ月に1回直接振り込まれます。
次のすべての要件を満たしている場合に受給できます(ただし、支給限度額があります)。

  • 60歳以後の賃金が60歳直前6ヵ月の平均値の75%未満であること
  • 基本手当を受給することなく雇用保険の被保険者であること
  • 60歳以上65歳未満であること
  • 60歳到達時点で雇用保険の被保険者期間が5年以上あること

●もし、基本手当を受給してしまったら・・・

基本手当を受給したら「高年齢雇用継続基本給付金」が受け取れなくなることは、前述しました。しかし、受給してしまった場合でも所定給付日数(注3)を100日以上残して再就職した場合、「高年齢再就職給付金」が受給できます。
この給付金の概要は、高年齢雇用継続基本給付金と同様ですが、受給期間が1年間となっています。高年齢雇用継続基本給付金の受給期間は最大5年間ですので、1年以上働く予定の方は、基本手当を受給しない方がよいということになります。

※(注3)所定給付日数とは、基本手当を受給することができる日数です。
雇用保険の加入が20年以上で定年退職の方は、150日となります。

参考
社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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