年金コラム

2011.08.25

大きく得する年金の分岐点(2)国民年金を40年にしよう!

夏になる前に、年金生活をしている友人に「酷暑と節電対策は、北海道に行くことよ。」と軽い気持ちで話しました。するとなんと、その友人は迷わず実行。自分の車に寝具を積みこんで、1ヵ月もの間、道の駅やユースホステルに泊まりながら、涼しい夏を過ごしました。何と言う、行動力でしょう。仕事に縛られる現役世代から見れば、本当にうらやましい限りです。
年齢が高くなると健康の問題や、老後のお金の問題等、心配なことばかりがクローズアップされますが、行きたいところに行き、やりたいことを得心するまでやる。いろいろなしがらみから開放される本当に自由な時間を手に入れることができるのは、人生の醍醐味ですね。
ちなみに、友人は「気ままな旅をしていて、改めて気づいたわ。どんな過疎地に行っても、郵便局だけはあるってこと。本当に便利だったわ。」と話していました。

Q1:私は、58歳(昭和28年3月23日生まれ)の専業主婦です。18歳から結婚するまでの4年ちょっと、会社勤めをしました。その後は、約26年国民年金に加入しています。夫は、結婚当時から会社員で、現在も厚生年金に加入して働いています。なお、今年の3月に平成22年度分のねんきん定期便が届いています。
実は先日友人から、60歳以後引き続き国民年金に加入すると老齢基礎年金が増えると聞いたのですが、これについて、教えてください。

A1:60歳の時点で老齢基礎年金が満額とならない方は、60歳から65歳の間、任意加入をして、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。
あなたの場合も、老齢基礎年金の60歳時点での見込額が648,500円ですので、60歳からの5年間、任意加入をすることができます。任意加入によって増える年金額は、年間約10万円で、支払う保険料は5年の累計額で約90万円です。つまり、支払った保険料は、90万円÷10万円=9年で回収できることになります。老齢基礎年金の受給は、65歳からなので74歳以後は、丸々お得ということになりますね。
さらにお得なのは、付加年金です。任意加入する場合に基本の保険料(15,020円/月)に付加保険料を月額400円プラスして支払いましょう。すると、65歳から老齢基礎年金とともに、付加年金が、終身受け取れます。
ねんきん定期便の60歳時点の老齢基礎年金の見込額を確認して、788,900円(ねんきん定期便が平成22年度のものである場合は、792,100円)に達していない場合は、任意加入と付加年金を活用して、老齢基礎年金の額を増やしましょう。

年金基礎知識!!【老齢基礎年金の年金額】編

  1. 老齢基礎年金

    ●老齢基礎年金は、どのように計算されるの?

    老齢基礎年金は、保険料を40年(480月)納付すれば、満額の788,900円(平成23年度価格)が受給できます。納付済期間が40年で約80万円の年金が受給できるということは、1年納付する毎に年額で2万円の老齢基礎年金が積み立てられていることになり「国民年金、1年かければ2万円」となります。例えば、30年の納付ならば、年額で60万円になります。また、5年の任意加入では10万円の増額となります。

    老齢基礎年金の額
    = 788,900円 × 保険料納付済月数 / 480月(40年)

    (1)保険料納付済月数とは

    国民年金の保険料を納めた期間のことで、老齢基礎年金の額に反映します。
    保険料納付済月数とされるのは、下記の期間です。

    (2)厚生年金や共済組合に加入していた期間について

    第2号被保険者(厚生年金・共済組合の加入者)は、20歳以上60歳未満の間に限り、保険料納付済月数となり、老齢基礎年金の額に算入されます。20歳前や60歳以後に勤めた期間については、老齢厚生年金、退職共済年金には反映しますが、老齢基礎年金には反映しません。

    (3)第2号被保険者の期間は、なぜすべて保険料納付済月数にならない?

    国民年金の加入者は、3つのグループに分かれています。自営業者や学生が第1号被保険者、厚生年金・共済年金の加入者が第2号被保険者、専業主婦等が第3号被保険者となっています。
    このうち、第1号被保険者と第3号被保険者は、「20歳以上60歳未満の間」と年齢制限があり、最大でも480月しか保険料の納付ができません。ところが、第2号被保険者は、「就職(20歳未満の間も含む)してから65歳未満の間」とされているため、例えば18歳から65歳まで働いた場合、国民年金の加入期間は、40年をオーバーして47年となります。
    しかし、すべての国民が受給する老齢基礎年金の満額は、全員788,900円であるべきで、第2号被保険者だけが47年分の納めた期間に対して788,900円を超える老齢基礎年金が受給できるとなると不公平ですね。
    そこで、厚生年金と共済年金の加入者については、就職が20歳未満でも、就職した時点から65歳までの間は第2号被保険者とするものの、老齢基礎年金の額に反映する期間は、20歳から60歳までの40年に限ることにしているのです。
    これによって、すべての加入者の老齢基礎年金の満額が同じ金額となります。

  2. 国民年金の任意加入

    ●任意加入ができるのは?

    • 60歳時点で、満額の老齢基礎年金を受け取れない方が対象です。
    • 任意加入の期間は、原則65歳に到達するまでの間ですが、65歳時点で受給資格期間を満たしていない方については、70歳までの間で、受給資格期間を満たすまで加入することができます。
    • 60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給する場合でも、任意加入はできます。
    • 60歳以後、厚生年金等に加入する場合は、国民年金の第2号被保険者になりますので、任意加入はできません。

    ●任意加入の手続きは?

    市区町村役場の国民年金の窓口で手続きができますが、手続きをした月の前月分からの加入となり、過去に遡ることはできません。任意加入の期間を最大限に活かすためには、60歳の誕生月に手続きをすることです。

  3. 付加年金

    基本の保険料に、400円の付加保険料をプラスして納めると、付加年金が受給できます。付加年金の額は、200円×付加保険料を納めた月数(年額)で計算します。
    例えば、付加保険料を5年間納めると、保険料の累計額は、400円×60月=24,000円です。受給する付加年金は、200円×60月=12,000円(年額)です。つまり、2年間受給すれば、保険料分は回収でき、3年目からは丸々お得が続くということになります。
    なお、付加保険料を支払うことができるのは、第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者だけです。第1号被保険者でも免除や納付特例等を受けている方は、付加保険料は、納めることができません。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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