年金コラム

2010.11.25

知って得する年金あれこれ 「女性と年金大特集」(4)50代専業主婦からの年金相談(前編)

この秋、島根県の隠岐島で開催された年金研修会で、忘れられない感激に出逢いました。それは、研修終了後のフェリー乗り場でのことでした。松江に帰る私を受講された皆さんが港まで見送りにきてくださいました。私はただ、見送ってくれるだけだと思っていたのですが、まずは船の出航にあわせ、港には「蛍の光」が流れだしたのです。さらに色とりどりのたくさんの紙テープが岸壁と船に渡され、皆さんと私が両端をしっかりと握りました。でも船が岸壁を離れるに従ってどんどん切れてゆくテープ・・・そのときです、「原先生ありがとう!また来てね。」の横断幕が掲げられたのです。すべては私のために、皆さんが用意してくださったサプライズでした。私たちは、お互いが見えなくなるまで、いつまでもいつまでも手を振り続けました。温かなお湯が身体を包んでくれるような幸せ感が私の胸の中にいっぱいに広がりました。

さて、「女性と年金大特集」シリーズ4回目は、50代専業主婦の女性にスポットをあてました。夫がいよいよ定年退職を迎え、家庭生活も変化してゆく時期です。老後の生活設計には年金はなくてはならない存在ですね。来るべき年金生活への疑問を2回に分けて解説いたします。

相談者:D子さん
  • 専業主婦で第3号被保険者のD子さん(58歳・昭和27年3月10月生まれ)。
  • 20歳から厚生年金に約4年6ヶ月加入して寿退職をしました。
  • 結婚後は昭和61年4月より国民年金の第3号被保険者で、国民年金の加入は60歳時点で26年になる予定です。
  • 夫は現在59歳で、来年定年を迎えます。厚生年金の加入期間は、42年になる予定です。

D子さんからの質問

Q1:私たち夫婦は何歳からどんな年金が受け取れるのでしょうか?

A1:どのような年金を受け取ることができるのか、またいくら受け取れるのかは、老後の暮らしを左右する大切な問題です。

  1. まずは受給資格期間の確認をしましょう。D子さんは、厚生年金に4年6ヶ月と国民年金の第3号被保険者として26年加入していますので、受給資格期間25年を満たしています。ご主人も42年の厚生年金の期間がありますので、同様に受給資格期間等を満たしています。
  2. 次にご夫婦が受給できる年金は、次のようになります(年金額は、ご夫婦に送付されているねんきん定期便によるものとします)。
    ※画像をクリックすると拡大します。
  3. ご夫婦の年金には、要件を満たせば、加給年金額や振替加算額の加算が行われます。加算の要件は次のようになっています。

    加給年金額

    20年以上の加入期間がある老齢厚生年金や退職共済年金に加算されます。
    加算の開始は、定額部分が受給できる方はその年齢からまた、定額部分が受給できない方は65歳からとなります。
    加算が開始される時点において、下記の3点を確認しすべてが「ハイ」であれば、加算されます。

    • 配偶者の前年の年収が850万円未満であること
    • 配偶者が65歳未満であること
    • 配偶者が20年以上の加入期間のある老齢厚生年金や退職共済年金や障害の年金を実際に受給していないこと

    振替加算額

    加給年金額は配偶者が65歳到達時点でなくなり、振替加算に変化して、配偶者の老齢基礎年金に加算されます。金額は、配偶者(加算が行われる人)の生年月日によって定められています(昭和41年4月1日以前生まれの人のみに加算)。
    なお、加算は上記3の要件を満たしている場合に限ります。

    生年度 振替加算額   生年度 振替加算額
    昭和20年度 112,400円 昭和31年度 45,600円
    昭和21年度 106,400円 昭和32年度 39,400円
    昭和22年度 100,300円 昭和33年度 33,500円
    昭和23年度 94,100円 昭和34年度 27,300円
    昭和24年度 88,200円 昭和35年度 21,200円
    昭和25年度 82,000円 昭和36年度 15,300円
    昭和26年度 75,900円 昭和37年度 15,300円
    昭和27年度 70,000円 昭和38年度 15,300円
    昭和28年度 63,800円 昭和39年度 15,300円
    昭和29年度 57,700円 昭和40年度 15,300円
    昭和30年度 51,700円 昭和41年度
【注意】

ねんきん定期便には、夫、妻それぞれの年金見込み額が記載されていますが、加給年金額や振替加算額についての記載はありません。加給年金額や振替加算額の加算の状況は、ご夫婦それぞれの厚生年金や共済年金の加入年数や年齢によって異なります。
夫婦で受け取る年金スタイルを知りたい方は、お二人のねんきん定期便を持って、年金事務所でご相談ください。

Q2:ねんきん定期便には、年金額が記載されていますが、どのように計算されているのですか? 年金額の計算の仕組みを教えてください。

A2:D子さんの年金は、60歳から報酬比例部分、63歳から定額部分、65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金ですので、それぞれの年金額について説明しましょう。

  1. 報酬比例部分と老齢厚生年金の計算

    特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分と65歳からの老齢厚生年金は、同じ計算式で計算されます。計算の基礎になるのは、給料の平均値と加入月数で、基本的な計算式は次のようになります。

    給料等の平均値 × 乗率 × 加入月数 × スライド率

    つまり、年金額は、給料が高くて勤めた期間が長い方ほど金額が高くなるということがわかりますね。D子さんの年金とご主人の年金を比較するとD子さんの年金額が低額なのも給料と加入期間の違いによるものです。

  2. 定額部分

    定額部分は、給料の額には関係なく加入期間に応じて計算されます。計算式は次のようになります。

    1,676円 × 加入月数 × 0.985

    これは、厚生年金に1年加入する都度、約2万円の定額部分が積みあがるということです。
    ただし、加入の年数は40年が上限となり、42年加入していたとしても、約80万円となります。

  3. 老齢基礎年金

    国民年金は、480月(40年間)保険料を納付することで、年間792,100円(平成22年度価額)の年金を受給することができます。納付した月数が少ないとその分年金が減額されます。計算式は次のようになります。

    792,100円 × 保険料納付済月数 / 480月

    国民年金も1年加入する都度、約2万円が積みあがるということになりますので、「国民年金、1年掛ければ2万円」といえます。

Q3:年金額の計算に給料等の平均値を使うとのことですが、ボーナスは含まれているのですか?

A3:D子さんの厚生年金の期間は、平成15年3月以前のものですので、ボーナスは含まれていません。しかし、ご主人の年金額には、賞与も含まれています。これは、ご主人の加入期間に平成15年4月以降の期間があるからです。
というのも、平成15年4月に「総報酬制」が導入されたからです。平成15年3月以前は、年金額の計算の基礎は給料(正確には「標準報酬月額」)のみでしたが、平成15年4月以後は給料と賞与を含めた額となり、乗率も変わりました。平成15年4月前と以後の加入期間がある方の報酬比例部分や老齢厚生年金の額は、期間を分けて別々に計算して合算することになります。

  平成15年3月以前 平成15年4月以後
給料等の平均値 在職中のすべての期間の給料の平均値 在職中のすべての期間の給料と賞与額の平均値
乗率 7.5 / 1000 5.769 / 1000
加入月数 平成15年3月までの月数 平成15年4月以後の月数
Q4:夫が退職した後、私は60歳まで保険料を支払わなくてはなりませんか? 年金を受給するのに必要な年数はすでにあります。

A4:ご主人が厚生年金に加入している間は、奥様は国民年金の第3号被保険者でしたので、国民年金の保険料の個別負担はありませんでした。ところがご主人が定年退職をされると、奥様は第1号被保険者となり、60歳まで、月額15,100円(平成22年度)の国民年金の保険料負担をすることになります。すでに受給資格期間を満たしていても保険料は納付しなければなりません。というのも、60歳までは強制加入となっていますし、ご自身の年金をできるだけ多く受け取るためにもきちんと納付しましょう。なお、ご主人が退職されて年金生活に入った後、どうしても保険料を支払うことが困難な状況になった場合は、市区町村の国民年金の窓口で保険料免除の相談をしてください。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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