年金コラム

2009.08.27

読者からのお手紙・メールと年金手続きの体験談(2)

小学校低学年のときの話です。夏休み最終日、8月31日の夜、他の宿題は何とかやり終えたものの、工作の宿題だけを手付かずで残してしまっていました。「宿題ができていない」とべそをかく私に、「何でもっと早く言わないんだ」といいながら、手先の器用な父がどこか楽しそうに、あっという間にゴミ箱を作ってくれたことを鮮明に覚えています。こんな光景は、今でも変わらず、夏休みの終わりにあちこちで繰り広げられているのでしょうね。
さて、今回も前回(2009年7月23日掲載)に引き続き、当コラムをご覧になった読者の皆さまからいただきましたお便りにお答えいたします。

読者-F:以前の記事に、"一度社会保険事務所へ行き確認することをお勧めします"と書いてあったので、実際に行った感想です。時間帯や曜日にもよるでしょうが、私が行った事務所は、1回目90分待ち、2回目40分待ちでした。事前に電話をして持参物をチェックの上、行くことをお勧めします。

原:Fさんが事前連絡し、持参物を確認したことは賢明でした。相談をスムーズに進めるためには、必要な資料、たとえばご自身と配偶者の年金手帳や基礎年金番号通知書、昨年届いた「ねんきん特別便」や今年から届く「ねんきん定期便」等を持参されるとよいでしょう。
また、どのようなことが聞きたいかも、メモしてゆくと聞き忘れがありませんね。年金は、若いときからこつこつと積み上げてきた、ご自分の大切な財産です。理解や納得できないことは、わかるまで確認したいですね。

読者-G:60歳で退職しますが、年金額がいくらなのか、また何歳からもらえるのか?を聞いてみようと思い、「ねんきん定期便」と「年金手帳」を持って社会保険事務所へ行ってみました。60歳以上の方々に混じり40~50歳代の方も見受けられました。少し待ちましたが、相談時間は約40分ほどでした。事前知識としてHPを読み込んでおいたので、少しですが職員の話についていけました。(53歳女性)

原:年金のことだけには限りませんが、まったく白紙の状態で話しを聞くのと、少し予備知識を持って臨むのとでは、わかりやすさは大きく違いますね。日々、相談を受けている職員の方は、時として専門用語を使うこともありますが、よくわからない時は、言葉の意味を質問しても大丈夫ですよ。場合によってはメモをしてもらいましょう。また、遠慮なくご自身の相談事をぶつけてください。新しい発見もあります。

読者-H:「高年齢雇用継続基本給付金」制度(2008年4月24日掲載)を知り役立ちました。退職後、関連の子会社に再就職しましたが、お蔭様で僅かですが給付を受けています。65歳誕生日までの楽しみがあります。(62歳男性)

原:給付を受けられてよかったですね。この制度は社会保険事務所ではなく雇用保険(ハローワーク)の管轄です。また、給付金を受給すると厚生年金の被保険者の場合は、年金(H様の場合、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例分)の一部が、カットされます。詳しくは、会社の総務課(労務課)や社会保険事務所でも教えてもらうことができます。

読者-K:「年金生活での支出」(2008年1月31日掲載)が、老後の生活設計において参考になりました。自分で働き収入がついてくる現役時代では、なかなか想像できないことでした。(58歳男性)

原:老後の生活を考えるときに、いくら年金が受給できるのかという「収入」の方にスポットが当たり、「支出」がおろそかになりがちです。
たとえば、「リタイア以後増加する支出」項目として、

  1. 交際費(冠婚葬祭の祝儀・香典等)
  2. 趣味や生きがいのための費用
  3. 医療費
  4. 介護費用
  5. 配偶者の国民年金保険料(配偶者が60歳までの間)

等が考えられます。医療保険と介護保険は、終身加入しますので、保険料の負担も終身続きます。より良い老後、セカンドライフを設計するためには収入も大事ですが、「支出」をきっちり把握しておく必要がありますね。

読者-L:年金の「繰上げ支給の注意点」(2008年8月28日掲載および2009年2月26日掲載)が参考になりました。自分の周りでも何人かの人がこの制度を利用していたので、自分も多少減額されても早くから受給できるならいいかな・・・程度に思っていました。でも、注意点を読んで、やはり65歳から受給することに決めました。理由は「一生涯減額」と「障害の保障がない」など、繰上げ受給のデメリットに気づいた為です。(58歳女性)

原:早く年金を受給したい気持ちもよくわかりますが、多少の余裕があるならば、繰上げ受給は積極的にはお勧めできません。繰上げ請求をしてしまうと、取り消すことはできませんので、ご自分に合せた受給方法を慎重に決めることが大切です。

読者-M:遺族年金コラム(2009年6月25日掲載)でわかったことですが、遺族年金制度に疑問を感じました。全て妻・子(年齢制限)が受給権者であり、逆の場合(働き者の妻に先立たれたら)夫には何も残らないのですね!男性も受給できる制度改正の話は無いのでしょうか?国民はもっと勉強しなければいけませんね。

原:おっしゃるとおり、遺族基礎年金は子または子のある妻、寡婦年金は妻が受給権者となり、夫には権利がありません。国民年金制度ができた時代(昭和36年)は、女性が定年まで働くことが今のように当たり前ではなかったため、夫が早く世を去り、専業主婦の妻や子供が残されることを前提に制度が作られたからでしょう。
また、遺族厚生年金は、夫も遺族となることができますが、妻の死亡当時55歳以上と年齢条件があります。しかも、60歳からの支給開始で、夫が特別支給の老齢厚生年金を受給する場合は、65歳までの間どちらか一つを選択することとなります。65歳以降は、遺族厚生年金が夫自身の老齢厚生年金を上回れば、その差額分のみ受給することとなります。しかし、大方の場合、「夫自身の老齢厚生年金>遺族厚生年金」となりますので、結果的には、妻の遺族厚生年金を受給することなく終わってしまいます。
残念ながら、この点についての制度改正は検討されていないようですね。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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