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年金コラム

2022.02.22

働きながらもらう年金

皆さま、こんにちは。
社会保険労務士の尾田佳子です。

寒さがまだまだ続く毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか?
今年は、心底冷えると感じる日が多いように思います。
体調管理には、十分気を配り、この寒さを乗り切っていきたいですね。

寒いとは言っても、暦の上ではすでに春!
あと1ヶ月ちょっとで4月。新年度を迎えますね。
新年度というと、生活環境等が変わる人もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、年金制度が変わるお話です。
年金制度が変わる時は、ニュースでも流れるので、皆さん、気になるようで…

双子の弟こーくん(厚二郎)、幼なじみで頼れるくーちゃん(公美)に聞きたいことがあって、いつものように、双子の兄そーくん(礎一郎)が切り盛りする食堂に、来てもらったみたいですよ。

厚二郎:
「くーちゃん、ちょっと教えて。
会社の先輩たちが話してたんやけど、今まで年金もらえてなかったのに、4月からはもらえるようになるねんて。なんで?」
公美:
「あぁ!!その質問、最近多いんよ~」
礎一郎:
「それって、前に言ってた、年金を早くもらうことにしたとか?」
厚二郎:
「それが違うねん。仕事も給料もそのままやし、何も変わらへんのに、年金だけもらえるようになるねんて。そんなおいしい話ある?」
公美:
「おいしい話はない(笑) 皆が皆、そうって訳ではないんやけど、4月から、年金制度に法改正があるねん」
礎一郎:
「法改正?そっか、年金は法律で決められてるもんね」
公美:
「そう。今回、法改正はいくつかあるけど、こーくんの先輩が言ってはるのは、多分、今までは、年金をもらえる権利が発生してても、お給料やボーナスの額によってもらえてなかった(=在職老齢年金)のが、もらえるようになるってことかな」
厚二郎:
「ん???」

保険料を払いながら、年金をもらう

公美:
「年金は、生年月日と、加入している年金制度によって、もらい始める年齢が決まってるって話は覚えてる?」
礎一郎・
厚二郎:「覚えてる!!」
公美:
「その年齢になって、要件を満たしていれば、年金をもらう権利は発生してるけど、会社勤めとかして、厚生年金の保険料を払っている人は、ちょっと制限あるんよね」
厚二郎:
「先輩が話してたのって、それ?
その制限があるから、先輩たちは年金もらえてなかったってこと?」
公美:
「おそらくね。その制限って、金額が決まってて。
例えば、65歳前の人だと、この前話した、ねんきん定期便に記載されているお給料(=標準報酬月額)と、直近1年間のボーナス(=標準賞与額)を月平均したものを、まず合計(=総報酬月額相当額)するでしょ。
で、その合計したものと、年金の月額(=基本月額)を足して、28万円を超えてたら、超えた分の半分が年金から停止される(もらえない)って決まりがあるんだけど、その28万円が、4月から47万円に変わるの」
礎一郎:
「じゃ、47万円を超えなかったら、停止される(もらえない)年金はないってこと?」
公美:
「そうそう。だから、こーくんの先輩は今までは28万円を超えた半分の額が、年金の月額を上回ってたんやと思うよ」
図表①

*改正前の計算方法:日本年金機構発行のパンフレットより抜粋

厚二郎:
「年金額もだけど、その時にもらってる給料とかボーナスも関係してくるってことなんやね。ちなみに、65歳以降の人はまた違うの?」
公美:
「65歳以降の人は、もらえる年金も変わるから、一部の年金が制限の対象になるよ。
制限の基準は元々47万円やから、今回の改正の対象にはなってない」

年金は十人十色

礎一郎:
「法改正にあたって、自分で何か手続きが必要になるの?」
公美:
「年金もらえる権利が発生した時以降に手続きをしてた人は、改めての手続きはないよ。
時期が来たら、ちゃんと計算して、もらえる年金があれば、振り込まれる。
まぁ、“手続きしてももらえないなら・・・”って、手続きしてなかった人は振り込まれへんよね、当然ながら」
厚二郎:
「じゃ、早めに手続きしといた方がいいよね」
公美:
「そだね。手続きしてない先輩方がいらっしゃるなら、言ってあげたほうがいいかも。
とは言え、47万円に基準が変わっても、まだ、一部しかもらえない先輩や、それこそ全部もらえない先輩もいらっしゃるかも知れない。
年金は、人によって全然違うから、ちゃんと自分で確認してもらった方がいいよ」
礎一郎・厚二郎:
「うんうん」
厚二郎:
「そうは言っても、何か得する感じ。夢が広がるなぁ~。先輩におごってもらおう(笑)」
公美:
「先輩方におねだりするのはいいけど(笑)、改正の対象になるのは4月分からやから、実際には6月の振り込みね」
厚二郎:
「え?なんで?4月からじゃないの?」
公美:
「4月“分”からね。年金は後払いなの。で、振り込まれるのは2カ月に1回、年6回ね。」
礎一郎:
「こーくん、4月に言ってたら、怒られてたところやで(笑)」
公美:
「ほんとそう。やっぱり生活にも影響するし、年金のことは、法改正も含めて、意識しとかんとね」

!今回のポイント!

年金は、「国民年金法」「厚生年金法」等の法律に基づいて決まっています。
令和4年4月に行われる改正は、今回取り上げた内容以外にもありますし、今後も、様々な改正が行われることが決定しています。

年金を受け取る権利が発生していて、厚生年金保険料を納めている人は、在職老齢年金と言って、給与やボーナスとの調整があります。
今回の改正で、65歳前の方の在職老齢年金の調整の仕方が変わります。

これまでは、給与(標準報酬月額)と直近1年間のボーナス(標準賞与額)の月平均と年金の月額(基本月額)の合計が28万円を超えた場合、超えた額の半分が停止となっていました。
4月以降は、この28万円が47万円に変更となります。

すでに年金請求の手続きを行っている人は、4月以降、各月の給与等に基づいて計算され、停止とならない年金については、6月に振り込まれる予定です。
手続きを行っていない人は、計算されないので、この機会に一度、年金相談の窓口で確認し、手続きを行うようにしましょう。

また、法律である以上、改正はこれからも行われます。
もちろん、47万円という数字が変わる可能性もあります。
決定した時や、実際に施行される時にはニュースとなりますので、確認するようにしてくださいね。

言葉のおさらい

在職老齢年金= 60歳以上で、厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受け取る制度。
年金と給与等の合計額によって、年金の調整が行われる。
65歳前と65歳後では、対象となる年金が異なり、調整の基準額も異なっていた。
今回の改正で、基準額はいずれも47万円(令和4年度)となる。
標準報酬月額= 給与・手当等をある一定の幅で区切ってグループ分けした額。
この額を基準として、保険料を決定し、給与から毎月控除。
一般的には、4月~6月に支払われた給与を元に決定。(例外あり)
標準賞与額= ボーナスの額から1,000円未満を切り捨てたもの。(上限150万円)
この額を基準として、保険料を決定し、賞与から控除。
総報酬月額相当額= 標準報酬月額と直近1年の標準賞与額を12月で割った額の合計。
基本月額= 年額で表示される年金額を12月で割った額。
社会保険労務士
尾田佳子
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