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年金コラム

2021.05.18

年金、早くもらうと損?

皆さん、はじめまして。
今回より、こちらのコラムを担当いたします、社会保険労務士の尾田佳子と申します。
普段、皆さんが疑問に思われているであろうことを、物語形式でお伝えしていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

早くも5月の下旬にさしかかろうとしています。
昨年から続く新型コロナウィルスの影響で、日常生活に制限がある方も多いのではないでしょうか。
何となく、鬱々とした気分にもなりますが、窓の外を見ると、季節は確実に移り変わり、木々たちも様々な変化を見せてくれています。

こんな時なので、通勤時には窓の外の景色を楽しんだり、自宅と駅の道中に少し上を見て歩いたりしています。
そうすると、何だか、自然のパワーで元気になれるような気がします。

さて、どうやら出演者たちが待ちくたびれているようです・・・
年金のお話に入りましょうか。

ここは、昭和の香りが残る、日本のとある町の商店街。
その商店街に、地元の人の胃袋とも言われる食堂があります。

ここの現店主は、礎一郎氏。愛称:そーくん
父の跡を継ぎ、しっかり者の年上妻と食堂を切り盛りしています。

礎一郎氏の双子の弟は、厚二郎氏。愛称:こーくん
家業は兄が継いだ為、大学卒業後、会社員として勤務し、大学時代の後輩である妻は専業主婦です。

そして、この2人の幼なじみである、この商店街の理事長の娘、公美こと、くーちゃん
大学卒業後、会社員として勤務し、現在も独身。
3人は幼き頃より、共に育ち、今年60歳を迎えます。
還暦とは言え、まだまだ現役世代。
年金なんて・・・とは言っても、来るべき時に備える必要はあるのです。

年金をもらう権利が発生するのは、いつ?

公美:
「今年60歳になるし、この前、仕事のついでに、会社の顧問社労士さんに話聞いてきたよ。」
礎一郎:
「くーちゃん、エライなぁ。俺ら全然実感ないよ。」
厚二郎:
「職場の先輩は、早くもらったら損って言ってた。」
 
公美:
「こーくん、私もそれが気になって、社労士さんに聞いたのよ。
早くもらったら損っていうのは、一概に間違いじゃないけど、完全な正解でもないよ。
私たち昭和36年度生まれは、保険料を10年以上納めていたら、男性は65歳から、女性は厚生年金に1年以上加入したことがある人は62歳から、年金をもらう権利が発生(=受給権発生)するらしい。*下記の図、参照
だから、2人は65歳からやね。
私は、ずっと会社員だから、2年後の62歳から厚生年金部分(=報酬比例部分)をもらう権利が発生して、65歳からは国民年金部分(=老齢基礎年金)と、2段階になるみたい。」
図表①

(日本年金機構ホームページより)

年金の受け取り方は、人それぞれ

礎一郎:
「あ、じゃあ、まだ先だから、何もしなくていけるか。」
厚二郎:
「くーちゃん、それ、62歳からもらったら損らしいよ。」
公美:
「だから、一概に損とは言えないんだってば。
私は62歳になったら、年金をもらう権利が発生するの。
まぁ、その時に働いていたら、お給料と調整はあるみたいなんだけど。
で、こーくんの言う“損”は、私が62歳の時に、本来、65歳からもらう権利が発生する、国民年金部分(=老齢基礎年金)を、62歳から受け取る手続き(=繰上げ請求)をした場合は、減額されるから、一般的には“損”だと言われているんだって。」
礎一郎:
「つまり、生年月日や現役時代に加入していた年金制度によって、年金をもらう権利が発生する時期が決まるってこと?」
公美:
「そうそう!」
礎一郎:
「ってことは、僕はこの食堂を継いで、国民年金にしか加入していないから、65歳から国民年金部分(=老齢基礎年金)だけもらう権利が発生するんだよね。
で、60歳から受け取ることも可能だけど、本来の年金をもらう権利が発生する65歳より前に受け取る手続き(=繰上げ請求)をすると、減額されてしまうってことかな。」
公美:
「そういうこと!」
厚二郎:
「じゃ、僕は?65歳から、厚生年金部分(=報酬比例部分)と国民年金部分(=老齢基礎年金)をもらう権利が発生するけど、60歳から受け取ることも可能で、その場合は、両方とも、減額されてしまうってこと?」
公美:
「そうだよ!年金をもらう権利が発生する時から受け取るのは、損なんかじゃないの。
その権利が発生する前に、年金受け取ります!と手続きすると、減額されるから、一般的に“損”と言われてるってことね。」
礎一郎:
「本来受け取れる金額が少なくなるから、損ってのも分かるけど、早くもらえるしなぁ~」
公美:
「そーくん、それ!そこなのよ。年金って、“長生きというリスク”に備えるための保険だから、減額されずに受け取るに越したことはないけど、早く受け取ることで、経済的に助かるという人もいるし、元気なうちに、年金を有意義に使いたいという人もいるしね。
逆に、早く受け取って長生きした場合、将来の生活が不安になるかも・・・と、考える人もいるから、人それぞれの価値観や考え方によって変わってくるって、社労士さんも言ってた。」
厚二郎:
「人の数だけ、選択肢があるって感じかな。」
公美:
「何歳まで長生き出来るかなんて、誰にも分からないもんね。」
 
礎・厚:
「なるほどね。くーちゃんが教えてくれなかったら、勘違いしたまんまやし、何も知らないままやったわ。」
公美:
「うん。私も社労士さんに聞く機会があったから、ちゃんと理解することが出来たんだけどね。」
礎一郎:
「でさ、その年金もらう権利が発生する時期って、俺らはくーちゃんに教えてもらえたけど、自分で確認できるものとかあんの?」
公美:
「さっきのこれ。日本年金機構が出してるこの表で確認できるし、・・・あ、1年に1回、お誕生月に届く“ねんきん定期便”には、その人のもらう権利が発生する年齢が書いてあるよ。」
厚二郎:
「ほとんど見ずに、置いてある・・・」
礎一郎:
「捨ててないだけ、マシか・・・」
公美:
「そういう問題じゃなくて・・・。私は、会社で総務部にいるし、会社の人がいろいろ聞いてきはるから、顧問の社労士さんに聞けたけど、自分のことだから、ちゃんと理解しとかなアカンって思った。」
礎一郎:
「俺らにとってのくーちゃんみたいに、いろいろ教えてくれる人がいない人はどうしたらいい?」
公美:
「近くの年金事務所や、街角の年金相談センターでは、いろんな質問に答えてくれるって。
でも、この時期だから、予約とか必要だったりするみたいだし、ホームページで確認した方がいいかもね。」
厚二郎:
「俺はまず、どこかに置いてあるであろう、ねんきん定期便を探すところから始めるわ!」

!今回のポイント!

年金を受け取る権利が発生する要件や時期は、法律で定められています。
法律で定められた時期通りに受け取る場合、年金は減額されません。

その受け取る権利が発生する前に、「年金、これからもらいます!」と手続きをされた場合に、その手続きをされた時期によって減額率が決定され、本来受け取る予定の年金が減額されるのです。

年金は減額されますが、考え方は人それぞれです。
「減額されるのは嫌だ!」という人も、「減額されても早くもらって、有意義に使いたい!」と考える人もいます。

年金の受け取りは、生涯続きますので、将来設計とあわせて、注意点等をしっかり理解した上で、ご自身が納得する選択をされることが大切です。

また、年金については、皆さんお一人ずつ異なりますので、「自分の場合はどうか?」と考えながら選択するようにしてくださいね。

言葉のおさらい

受給権発生   = 年金をもらう権利が発生。生年月日、性別、加入年金制度によって異なる。
報酬比例部分  = いわゆる厚生年金部分。65歳より前は、特別支給の老齢厚生年金と呼ばれる。
老齢基礎年金  = 国民年金部分。(基礎の部分で、国民全員を対象)
繰上げ請求   = 年金をもらう権利が発生する前に、年金の受け取りを請求すること。
ねんきん定期便 = お誕生月に届く加入年金制度の記録、年金見込額等が記載されたもの。
          35歳・45歳・59歳の節目年齢は封書。以外は圧着ハガキが届く。

社会保険労務士
尾田佳子
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