年金コラム

2020.11.24

「れいこ先生のやさしい年金」(19)国民年金第3号被保険者について

皆さまこんにちは お元気でお過ごしでしょうか?
コロナ対策で、スーパーや飲食店をはじめ、いろいろな施設においても、入口での消毒や検温、マスクの着用が当たり前のことになってしまいましたね。でもその効果で、インフルエンザが激減しているようです。ちょっとだけ明るいニュースですね。
さて、今回は、国民年金の第3号被保険者についての素朴な疑問についてお答えしたいと思います。

Q1. 国民年金の第3号被保険者といえば、サラリーマンの妻というイメージですが、具体的にはどのような要件を満たしていなければならないのですか?

A1. 第3号被保険者の要件をお話しする前に、国民年金の被保険者の全体像を説明しましょう。
国民年金は、原則として日本国内に住所のある、20歳以上60歳未満の人は全員加入することになっています。本人の意思に関係なく、条件に該当すれば強制加入となります。そして、被保険者は、次のように3つの種別に分けられています。

第3号被保険者は、国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収が130万円未満の人に限る)で、20歳以上60歳未満の人をいいます。

Q2. 現在共働きの夫婦です。妻である私が勤めをやめて国民年金の第3号被保険者になった場合、夫の給料から天引きされている厚生年金の保険料は、増えるのでしょうか?

A2. あなたが第3号被保険者になっても、夫の厚生年金保険料の額は、変わりません。第3号被保険者の国民年金の保険料は、個別に徴収されるのではなく、配偶者が加入している厚生年金から「基礎年金拠出金」として国民年金に一括して拠出されます。厚生年金全体で負担していますので、あなたが第3号被保険者であるなしに関わらず、夫の厚生年金保険料の額は、変わりません。

Q3. 第3号被保険者は、「第2号被保険者の被扶養配偶者」とのことですが、被扶養配偶者の要件はどのようなものですか?また、夫も第3号被保険者になれますか?

A3. 被扶養配偶者とは第2号被保険者の配偶者であって、主として第2号被保険者の収入により生計を維持する人で、具体的には、年間収入が130万円未満の人が該当します。130万円には、非課税収入、例えば、障害や遺族の年金、失業給付金、健康保険の傷病手当金や出産手当金なども含まれます。年間収入が130万円を超えた場合は、国民年金の第1号被保険者になります。
また、妻が第2号被保険者の場合、夫が収入要件(年収が180万円未満)を満たしていれば第3号被保険者に該当します。ちなみに、内縁の配偶者も要件を満たせば、第3号被保険者に該当します。

Q4. 第3号被保険者の年間収入の確認は、どの期間の収入が対象ですか?私の前年の年収は、130万円を超えていましたが、現在、新型コロナ拡大の影響で、失業中です。雇用保険から失業手当を受ける予定ですが、その間は、第3号被保険者になることはできますか?

A4. 第3号被保険者の収入の認定は、過去1年間の収入ではなく、第3号被保険者に認定された日以降の年間収入の見込額により行われます。
あなたの場合は、これから失業手当を受けられるとのことですが、基本手当日額が3,611円以下であれば (3,611円×360日=1,299,960円<130万円) 収入要件を満たしますので、第3号被保険者と認定されます。
基本手当の所定給付日数は90日から330日の範囲で支給されますが、たとえ90日の所定給付日数であっても、1年間給付されると仮定して年間収入見込額の判断をします。
3,612円以上であれば、3,612円×360日=1,300,320円>130万円となるので、基本手当を受給している間は、第1号被保険者となり、受給が終了した時点で、第3号被保険者に種別変更を行うことになります。第3号被保険者に該当した場合は、事業主に届け出る必要があります。

Q5. 夫(58歳)は、会社員でしたが、来月会社をやめる予定です。私(55歳)は、専業主婦です。今後私たち夫婦の年金の加入はどうなるのでしょうか?

A5. 夫の退職後は、ご夫婦ともに第1号被保険者として、国民年金に60歳まで加入することになります。退職後14日以内に市区町村の国民年金担当窓口で、種別変更の手続きをしてください。
第1号被保険者になると、国民年金の保険料の納付が必要です。本年度の保険料額は、一人当たり月額16,540円です。ただし、今回のように夫が失業したことが原因で、保険料を納めることができない場合は、特例免除の対象となります。夫の前年の所得を0円として免除の判定が行われ、認められれば、ご夫婦ともに国民年金の保険料が免除されます。特例免除の手続きも、種別変更と同じ窓口で行ってください。

Q6. 夫は、現在66歳で老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給していますが、再度働くことになり、厚生年金にも加入します。私は、現在57歳で第1号被保険者として国民年金に加入し、保険料を支払っています。夫が厚生年金に加入すれば、私は再度第3号被保険者になれるのでしょうか?

A6. 厚生年金は70歳まで加入することができます。ただし、被保険者のうち65歳以上70歳未満の人で、受給資格期間を満たしている人は、国民年金の第2号被保険者にはなりません。夫は66歳で、すでに年金を受給しているため、第2号被保険者に該当しません。なので、配偶者であるあなたも第3号被保険には該当せず、今まで通り国民年金の第1号被保険者です。

Q7. 会社員の夫が海外転勤となり、私(妻)と子供も一緒に行くことになりました。私は今、専業主婦なので国民年金の第3号被保険者ですが、海外に行く前に、何か年金の手続きが必要でしょうか?夫は、現在勤務している会社に籍を置いたまま赴任します。

A7. あなたのように、夫が日本の会社に在籍したまま海外赴任し、妻が同行するケースでは、夫は厚生年金に加入したままなので、国民年金の第2号被保険者の資格もそのままです。そのため、妻が海外に在住することになっても、国民年金の第3号被保険者の資格は、現行のままですので、特に手続きは不要です。
ちなみに国民年金の第1号被保険者は、国内居住要件がありますので、留学等で海外に居住する場合には、国民年金の強制加入被保険者ではなくなります。将来のために引き続き国民年金の加入を希望するときには、市区町村役場の国民年金の窓口で、任意加入の手続きをしてください。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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