年金コラム

2007.11.29

年金の基礎知識シリーズ(4)第1号被保険者の遺族の給付

今回は、自営業の遺族給付について再びタロウさんのご家庭を例にお話しします。

タロウさんのご紹介
  • タロウさん(50歳):自営業
    厚生年金に3年、国民年金に25年加入
  • ハナコさん(48歳):自営業の妻
    国民年金に23年加入
  • 子供:ケンタさん(19歳)、リカさん(15歳)

Q1.夫に万一のことがあった場合、どのような遺族年金が受け取れますか?

A1.ハナコさんが遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取ることができます。

解説1

  1. 遺族基礎年金は子がいる間だけ支給される

    リカさんが18歳年度末に達すると遺族基礎年金は失権し、遺族給付はなくなります。

    というのも遺族基礎年金は、「子がある妻」または「子」に支給される年金だからです。ここでいう「子」とは、「18歳年度末までの間にある子または、障害等級1・2級の障害の状態にある場合は、20歳未満の子でいずれも未婚の子」をいいます。
    そのため現時点でタロウさんに万一のことがあった場合、遺族基礎年金は発生しますが、リカさんが18歳年度末を迎えると、失権して年金は受給できなくなります。

  2. 遺族厚生年金は期間が短いので低額

    タロウさんには厚生年金の期間があり、受給資格期間を満たしていますので、ハナコさんは遺族厚生年金が受給できます。
    ただし、厚生年金に加入していた期間が短いので、低額です。遺族厚生年金の額は、タロウさんの老齢厚生年金の額の3/4で、年間30,800円(平成19年度価格)です。

  3. 自営業者の対策は?

    子がいれば、年間で約100万円の遺族基礎年金が支給されますが、リカさんが高校を卒業して、さぁ大学進学だというときに遺族基礎年金が支給されなくなるので、進学を断念するケースもあります。この点が、万一のときに遺族基礎年金しかない自営業者の問題点です。教育資金についての備えが必要となります。

Q2.リカが大学進学時に遺族基礎年金がなくなって、その後、妻には何の保障もないのでしょうか?

A2.遺族基礎年金は、リカさんが18歳年度末を迎えると失権しますが、遺族厚生年金は妻が死亡または再婚するまで、終身支給されます。
また、ハナコさんが60歳になった時点から65歳までの間、国民年金から寡婦年金が支給されます。この間は、遺族厚生年金と寡婦年金のどちらか有利なほうを選ぶことになります。ハナコさんの場合は、寡婦年金が有利ですね。

解説2

では、タロウさんの国民年金について詳しくみていきましょう。

  1. 寡婦年金とはどんな年金?

    寡婦年金は、第1号被保険者の夫が死亡したときに妻に支給される年金です。次のような要件があります。

    ・夫に国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間が25年以上あること

    ・生前夫に、障害基礎年金の受給権がないこと、老齢基礎年金を受給していなかったことなどとなっています。

    また、寡婦年金の金額はタロウさんが受け取るはずであった老齢基礎年金の3/4です。
    受給できる期間は、妻が60歳以上65歳未満の間ですが、必ず5年間支給されるとは限りません。たとえば、夫が死亡したときに妻が64歳ならば、受給期間は1年になります。なお、65歳以後は、妻は、自身の老齢基礎年金を受給することとなります。

  2. ハナコさんへのアドバイス

    第1号被保険者の夫が死亡した場合、夫が年金受給を開始していなければ、寡婦年金が受給できますが、期間も最長5年で、金額も十分とはいえません。65歳からは、ご自身の老齢基礎年金となりますが、満額受給できても年間約80万円です。

    サラリーマンの妻には遺族厚生年金がありますが、自営業の妻の場合は最終的には、ご自身の老齢基礎年金のみとなりますので、夫の終身保険やご自身の終身年金などで補うことを検討されるとよいでしょう。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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