年金コラム

2017.11.22

「れいこ先生のやさしい年金」(7)再雇用の有利な退職時期

2017年5月24日にポスタルくらぶWEBサイトで公開された記事「64歳11カ月での退職がお得って本当?」は、大変多くの方に関心を持って読んでいただきました。

再雇用等で65歳まで働いて退職を迎える場合、退職日により雇用保険からの基本手当が受給できるかどうかが決まります。例えば、再就職して20万円の給料で働いていた方が受け取ることができる基本手当の額は、月額約14万円です。雇用保険に20年以上加入している人であれば、約5カ月間受給できますので、トータル70万円になります。老後資金確保の面からも、受給したいとお考えの方は多いことでしょう。

今回はこの記事の続編として、読者の方からいただいた質問をご紹介し、さらにわかりやすい情報をご提供いたします。
前回の記事の概要は次のとおりです。

◆前回の概要(詳細は2017年5月24日公開の記事をご覧ください。

65歳で退職する場合、退職日をいつにするのかで、大きく得をすることがあります。
雇用保険からの基本手当(いわゆる失業保険)を活用するという観点から退職時期を考えると、64歳11カ月での退職が有利だと言えます。

その根拠は、基本手当と老齢厚生年金が、次のように定められていているからです。
 その1  65歳到達前に退職すれば、基本手当を受給することができる
 その2  基本手当と65歳未満の間に受給する特別支給の老齢厚生年金は、併給されない
 その3  基本手当と65歳以後に受給する老齢厚生年金は、併給される

これらのことを考え合わせると、基本手当の受給資格を得るために、65歳到達までに退職し、年金と併給される65歳以後に基本手当を受け取れるタイミングが有利であり、その時期が64歳11ヵ月ということになります。

さて、この記事について読者の方からいただいた質問は、次のようなものでした。

【読者からのご質問】 

専門家コラムを読んで、64歳11カ月で退職すると基本手当が受給できるのなら、是非そのようにしたいと考えていました。ところが64歳11カ月での退職は、退職日によっては、65歳からの老齢厚生年金が1カ月分だけ低額になるという話を聞きましたが、これは、どういうことなのでしょうか?もしそうであるならば、何日に退職すればよいのでしょうか?

【回答】

年金が1カ月分だけ低額になるという状況は、退職のタイミングにより実際に起こります。 では、なぜこのような状況が起こるのでしょうか?

この疑問を解決するためには、年金額改定の2つの方法、「退職時改定」と「65歳裁定」について理解していただくことが必要です。

◆退職時改定

70歳未満の間であれば、特別支給の老齢厚生年金や65歳からの本来支給の老齢厚生年金の受給権が発生しても、厚生年金に加入して働くケースはありますね。この場合、納めた保険料は1カ月ごとに年金額に反映するのではなく、退職を契機にまとめて反映されます。
これを退職時改定といい、退職した日の翌日(=資格喪失日)から厚生年金に再加入することなく1カ月を経過した時は、退職日から起算して1カ月を経過した日の属する月(=退職日の翌月)から年金額を改定することになっています。

◆65歳裁定

特別支給の老齢厚生年金は、受給権者が65歳に到達することにより失権し、新たに65歳裁定が行われ、本来支給の老齢厚生年金の受給権が発生します。引き続き65歳を超えて厚生年金に加入する場合でも、この時点で年金額が再計算されます。 特別支給の老齢厚生年金の受給権発生月以後、64歳11カ月までの厚生年金被保険者期間は、65歳裁定により、65歳からの老齢厚生年金に反映されます。なお、裁定された額が実際に支給されるのは、65歳到達月の翌月分からとなります。

ちょっと複雑な話になりましたので、退職日によって年金額の低い月が発生する理由については、事例で説明しましょう。

【事例】1953年8月6日生まれの男性

特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分は61歳から受給開始しています。
60歳から再雇用で働いていますが、64歳11カ月で退職し基本手当を受給予定です。
65歳到達日は誕生日の前日とされているので、2018年8月5日となります。

ケース1 退職日を2018年7月4日にした場合

このケースでは、61歳以後の厚生年金の加入期間が反映して年金額が改定されるのは、退職日(2018年7月4日)から1カ月を経過した日(2018年8月4日)の属する月からです。そのため、特別支給の老齢厚生年金は、8月分から増額した金額で支給されます。

ケース2 退職日を7月6日にした場合

このケースでは、退職日(2018年7月6日)から1カ月を経過した日は2018年8月6日となりますが、この前日である8月5日に男性はすでに65歳に到達し、特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅します。そのため特別支給の老齢厚生年金の退職時改定は行われませんので、8月は以前のままの年金額の支払いになります。

しかし、男性は2018年8月5日に65歳に到達しますので、65歳裁定が行われ、61歳以後の厚生年金の加入期間は、65歳からの老齢厚生年金に反映されます。ただし、増額した老齢厚生年金が支給されるのは、9月分からとなります。

【結論】

最終的に9月分以後の老齢厚生年金の年金額は、どちらのケースでも同額になります。 ただし、8月分については、ケース1の方が年金額が高くなります。
(20万円の給料で4年間再就職した場合、8月の報酬比例部分はケース1の場合のほうが4,150円高い)

たとえひと月でも金額が高い年金を受け取りたいという場合は、退職日から1カ月を経過する日が、65歳到達日より前に来るように退職日を調整してください。そうすれば、退職時改定の対象となり、退職日の翌月の年金額が増額します。

ちなみに退職日を7月5日にした場合は、1カ月を経過した8月5日が65歳到達日となり、ケース2と同様に9月改定となります。

社会保険労務士
原令子
株式会社JEサポート代表取締役
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