税金・保険コラム

2015.10.14

健康保険の基礎知識 出産手当金と傷病手当金の支給額の算定方法が見直されます(平成28年4月1日から)

皆さん、こんにちは。
今月いよいよマイナンバー(個人番号)の通知カードの発送が始まります。手元に届いたらなくさないように気を付けたいものです。
私事ですが、20年以上も前に、働きながら長期で海外に滞在できるワーキングホリデー制度を使い、カナダにいたことがありまして、入国してすぐに、Social Insurance Number(社会保険番号という名称ですが)が印字されたカードの交付を受けました。銀行口座を開く際や雇われたアルバイト先、公的なサマースクールの参加など、何かにつけこのカードの提示が必要でしたが、それひとつで何者かがわかるらしく、外国人だった故に感じたことかもしれませんが、なぜこのように便利なものが日本にないのだろう?と思ったことを覚えています。
マイナンバー制度の導入について一般市民としては、国に個人の全てを管理されるようでちょっと怖い感じもしますが、目的としては、諸々の不正防止や不公平をなくすことが一番にあり、また、将来的に、預貯金、証券や加入している生命保険などに個人番号を紐付けすることで、資産管理に使うこともできるようです。誰もが理解できるように普及され、情報漏えい等の脅威がないようルールを守って使えれば大変効率的な世の中になっていくことでしょう。
本格的なマイナンバーの活用は、もう少し先になるのでしょうが、この制度の導入自体、リベンジでもあり、今回の導入で広く普及され利便性が向上する制度となるといいですね。

さて、今回は平成28年4月から実施となるので、少し先のことではありますが、既に妊娠初期で出産予定日がこの日近辺の方にとっては、関わりのあることとなるので、健康保険の出産手当金及び同じ取り扱いとなる傷病手当金の支給額の改正について説明いたします。

1.出産手当金と傷病手当金の概要

出産手当金の概要

会社の健康保険に被保険者として加入している女性が、出産のため仕事を休み、給与の支払いを受けられない場合、出産日(実出産日が出産予定日より遅かった場合は出産予定日)以前42日(双子以上は98日)から出産日の翌日以後56日目までの間で仕事を休んだ期間を対象として、加入している健康保険から、休んだ日1日あたり標準報酬月額の1/30(標準報酬日額)の2/3に相当する額が出産手当金として支給される健康保険の制度。

傷病手当金の概要

会社の健康保険に被保険者として加入している人が、業務外の理由による病気や怪我で働けず、仕事を連続3日以上休んだ場合の後、4日目以降の仕事に就けなかった日について、会社から給与の支払いを受けられないか少額となる場合、加入している健康保険から、休んだ日1日あたり標準報酬月額の1/30(標準報酬日額)の2/3に相当する額を限度に傷病手当金として支給される健康保険の制度。

2.支給される日額はどう変わるか?

 改正前:平成28年3月31日までの対象日 
→被保険者の標準報酬月額の1/30(標準報酬日額)の3分の2

 改正後:平成28年4月1日以降の対象日 
①被保険者期間1年以上の人
→被保険者が給付を受ける月以前12か月間の各月の標準報酬月額の平均額の1/30の3分の2

②被保険者期間が1年未満の人
→A.被保険者の全加入期間の標準報酬月額の平均額の1/30の3分の2
  B.加入している健康保険の平均標準報酬月額の1/30(平均標準報酬日額)
   A.かB.のいずれか低いほう
※B.について協会けんぽの平均標準報酬月額は28万円、平均標準報酬日額は9,330円です。
加入している健康保険が健康保険組合の場合、平均標準報酬月額は28万円よりも高いことがあります。

改正後はこのように、給付を受ける以前1年間の保険料納付の状況によることとし、また保険加入してすぐに給付申請が行われるような場合には、さらに上限を設ける制度となります。

3.出産手当金と傷病手当金の退職後の給付(変更なし)

出産を機に、仕事を辞めて子育てに専念するため退職する女性の場合、出産手当金はどうなるかというと、退職日まで被保険者期間が継続1年以上あり、退職日が出産手当金を受けられる対象日であってかつ退職日は出勤していないことを条件に、産後56日までの出産手当金を受けることができます。
傷病手当金は、退職日まで被保険者期間が継続1年以上あり、退職日に傷病手当金の支給を受けている、または受けられる状態である場合は、退職後であっても受給開始日から最長1年6か月を限度に傷病手当金の申請を行うことができます。

おしまいに

この改正が行われる理由は、不正受給等の防止とのことです。すぐに働けなくなる状態になることがわかっているのに高額な報酬で就職して傷病手当金を受けようと制度を悪用する人がいたようです。
みなさんの大切な保険料から支給されるものですから、不正や不公平はなくすべきですよね。働いている人や企業が負担する保険料がどんどん高くなる原因にもなってしまいますから。

また、冒頭の話に戻りますが、マイナンバー制度の導入により、個人の報酬の管理を集約することで適正な所得税の納付を促したり、実は収入がそれなりにあるのに生活保護を受けていたり、再就職しているのに雇用保険の失業給付を受けるといった、不正防止に役立たせるほか、傷病手当金を受けながらどこかで実は働いているなど、絶対あってはならないことですが、そういうことも見つかるようになるのかもしれません。悪いことはしてはいけないというか、正しいことをしていこうという意識が高まりそうですね。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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