税金・保険コラム

2015.04.15

健康保険の基礎知識 高額療養費の自己負担限度額が変わりました(平成27年1月診療分から70歳未満の所得区分が5区分に)

皆さん、こんにちは。
日々健康にお過ごしですか?どこか体調が良くないと感じることはありませんか?
突然病気になって高額な治療費が必要になるとしたら、焦りますよね。そんな時に備えて、ある程度の蓄えは必要なものです。ですが幸いにも日本の医療保険制度には、ある一定額までの治療費は自己負担しなければならないものの、それを超えると残りは加入している健康保険の保険者(健康保険証に記載されている)の負担となる、「高額療養費制度」というものがあります。

今回は、平成27年1月診療分から70歳未満の自己負担限度額が改定となったため、健康保険の「高額療養費制度」について改めて解説します。

1.【高額療養費制度】

1日~末日までで区切った各月で、病院の窓口で支払う医療費が一定額(以下、自己負担限度額)を超えて掛かった場合、自己負担限度額を超えた保険診療部分について、健康保険証と一緒に「限度額適用認定証」を病院の窓口に提示することで自己負担限度額の支払いまでとする、または後日「高額療養費支給申請書」を加入している健康保険の保険者に提出することにより払い戻しを受けられる制度です。
なお、入院時の食事代(標準負担額で1食260円)、差額ベット代、諸経費等の保険診療外のものは対象外です。

2.【自己負担限度額】

●特定疾病の方(変更なし)

①人工透析を受けている慢性腎不全の方
②血友病の方
③抗ウィルス剤を投与されている後天性免疫不全症候群の方
自己負担限度額は月10,000円となります(但し、人口透析を受けている70歳未満の方で、【表1】の①区分ア、②区分イに該当する方とその被扶養者は20,000円)。
 特定疾病の方は、特定疾病療養受療証交付申請書を保険者に提出し、「特定疾病療養受療証」の交付を受けることで、窓口負担が自己負担限度額までとなります。

3.【高額療養費制度の適用】

以下の3つのパターンのいずれかを行うことによって受けることができます。

パターン1(ベスト)
「限度額適用認定証」(70歳以上の人は「高齢受給者証」)を病院の窓口に提示し、自己負担限度額までの支払いで済むケース

入院の予定、あるいは通院していて医療費が保険診療だけで自己負担限度額を超えてしまう病気やケガをしてしまった場合、事前にまたはその月内に「限度額適用認定申請書」を加入している健康保険の保険者に提出すると、1週間程度で「限度額適用認定証」が発行されます。健康保険証と一緒にこれを病院の窓口に提示すると、窓口で支払う治療費が自己負担限度額までで済みます。

パターン2
健康保険証だけで診療を受け、後日加入している健康保険の保険者に高額療養費の申請をすることで払い戻しを受けるケース

パターン1の手続きをしなかった場合や、「限度額適用認定証」の対象月として間に合わなかった月は、「高額療養費支給申請書」による申請が必要になります。
また、70歳未満の場合は、通院・入院や医科・歯科等、診療内容ごとに保険診療で掛った自己負担金額が21,000円を超えたものが高額療養費の合算対象となり、その対象となる月についても高額療養費の申請が必要なことがあります。
パターン2では、病院から保険者に上がった診療報酬が決定してからの払い戻しとなるため、払い戻し金が振り込まれるのは診療を受けた月から約4カ月後になります。

パターン3
払い戻しが受けられるまで約4カ月も待てない場合の「高額医療費貸付制度」を利用するケース

突然の出費は家計にも大きな影響を与えます。そんなとき、診療報酬が決定するまで、払い戻される予定額の約8割(健保組合は9割)を申請後約1~2週間で貸し付けてもらうことができます。残りは診療報酬が決定したら追加で振り込まれます。

なお、事業所が健康保険組合に加入している場合に限りますが、健康保険組合が付加給付という制度を設けていて、この自己負担限度額の一部を更に組合が負担してくれる場合があります。
パターン1のケースですと、一旦窓口で支払うのは自己負担限度額までとなり、診療報酬が確定した約4カ月後に、更に付加給付部分が払い戻されることになります。自動的に払い戻しされる場合と、別途申請手続きが必要な場合がありますので、詳しくは加入している健康保険組合へご確認ください。また、パターン3の貸付を受けることもできます。

おしまいに

年を重ねると(重ねなくてもですが)、肩が凝るなど、どこかしら不調をきたすことはあるもので、神経質になり過ぎてもいけないのでしょうが、些細なことだからと放っておいたら、実は病気にかかっていたということもあるものです。取り返しがつかないことになる前に、早めにお医者さんに診てもらうことが大切です。また、健康診断や人間ドックを受けることは病気の早期発見につながるのはもちろんですが、虫歯も放っておくと重大な病にかかる原因になることがあるそうです。早めの治療や歯の定期検診を受けて健康な歯を保つことも、とても大切なことですね。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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