税金・保険コラム

2012.02.01

健康保険の基礎知識 健康保険の「被扶養者」になる人は? パートをしている妻130万円の壁

皆さん、こんにちは。
皆さんは、健康保険や年金の保険料、ご自身で支払っていますか? それとも、給与から天引きされていますか?もしくは、家族の人に扶養されていて保険料を自分で払う必要がないですか?

自分が一家の大黒柱として働いていれば、当然健康保険料は自分で負担するものという意識があるでしょう。しかしながら、パートをしている妻やアルバイトをしているが学校に行っている子供、公的年金が少ない75歳未満の親など、収入があっても基本的に家族に生計を維持されている人というのは、その家族の健康保険の被扶養者として認められます。

今回は、健康保険の扶養家族の範囲はどこまで認められているのか、被扶養者になれる要件と、夫の扶養に入っているべきか考えどころのパートの妻について確認していきます。
※各市区町村が運営する国民健康保険には、被扶養者という概念がなく全員が被保険者です。保険料を負担するのは原則として世帯主となります。

Ⅰ.被扶養者の範囲

被扶養者として認められるには、次の(1)(2)の要件を両方とも満たすことが必要です。

(1)三親等以内の親族であること

  1. 被保険者の配偶者(内縁関係含む)、子、弟・妹、孫、および父母・祖父母・曾祖父母(直系尊属)で、主として被保険者の収入で生計維持されている人
  2. 被保険者と同居している次の者で、主として被保険者に生計維持されている人
    • 上記以外の三親等内の親族
    • 内縁の配偶者(死亡後も含む)の父母・子

(2)扶養家族の年収が130万円未満(60歳以上、または障害者の場合は年収180万円未満)でかつ被保険者の年収の1/2未満(別居の場合は仕送り額未満)であること
なお、130万円未満(60歳以上、または障害者の場合は年収180万円未満)の収入には、給与、年金(老齢・障害・遺族)のほか、事業所得、不動産所得、利子所得、健康保険の給付金や雇用保険の失業給付など恒常的に得られる収入を含みます。加入している健康保険によって取扱いが異なりますので、保険者(健康保険証の発行元で健康保険を運営しているところ)に確認が必要です。

Ⅱ.パートの妻等

パートで働く妻が、サラリーマンや公務員など社会保険に加入している夫の扶養の範囲内で働くかどうかは、手取りベースでできるだけ多くの収入を得られるよう考えるうえでのポイントになっています。
子育てのために一旦家庭に入った主婦が再度働きに出る場合、まずはパートからと考える人が多いようですが、働き始めは良くても時給が上がったり働く時間数が増えたときにぶつかるのが「年収の壁」です。

住民税の壁100万円、所得税の壁103万円、更にここを超えると大きいのが130万円以上の壁です。年収が130万円以上になると健康保険と国民年金保険料を自分で支払わなくてはならなくなります。

実際のところ、住民税や所得税の壁を上回っても、年収100万円超130万円未満の間で納める税金は年間数千円から最大4万円程度です。夫の給与に、配偶者がいる場合の家族手当が付いているケースでは、扶養から外れると同時に家族手当の要件から外れてしまわないか注意が必要ですが、税金に関しては、平成16年度に配偶者控除と配偶者特別控除のしくみが変わってから、夫の所得税に大きな影響が出ないようになったため103万円の壁をそれほど意識する必要はなくなりました。ところが、130万円の壁は超えると結構大きな出費が発生します。

年収が130万円以上になると見込まれると、社会保険(健康保険と厚生年金または共済年金)の被扶養者の要件から外れてしまいます。各自治体の計算方式によりますが国民健康保険料(税)は、最低でも年額65,000円にはなります。更に、国民年金第3号被保険者の対象から外れますので、国民年金の保険料15,020円(平成23年度)×12ヶ月=180,240円を60歳になるまで自分で支払わなければなりません。合わせると、出費が25万円程度増えることになります。

ぎりぎり年収の壁を超えそうな場合、年収調整のために年末にまとめて休むといったこともいたしかたないかとは思いますが、勤め先からの時給アップの申し出を拒んでしまうようなことは、実にもったいない話です。であれば、130万円の壁を気にせずにもっと働いてしまうほうが社員との格差などを感じずに済むのでしょう。このような扶養の弊害というところから、将来的には、社会保険の加入基準も変わってきそうです。

おしまいに

厚生労働省では、正社員と非正規雇用のパートや期間雇用の契約社員等との賃金格差を是正するため、企業に対して均等待遇を奨励しています。これは、社員の時間当たりの単価とパートの単価の格差を減らそうというものです。
企業が正社員とパートを全く同等の待遇にするというのはなかなか難しい面もあるでしょうが、労働生産性は、働く時間の短いパートのほうが時間内に仕事を仕上げようという意識が働いていてよかったりします。能力が高く、社員と変わらずに働いているパート労働者の均等待遇には賛成したいですね。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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