2009.05.07
健康保険の基礎知識 出産でもらえるお金
気のせいか、最近、ベビーカーを押すお母さんを見かけることが多くなったように感じます。皆さんの周りはいかがですか?
では、実際どうかというと、2007(平成19)年の赤ちゃん「出生数」は、108万9,818人。前年の109万2,674人より2,856人減少し、6年ぶりに増加した前年から再び減少しています。
そして、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計し、1人の女性が生涯に産む子供の平均数である「合計特殊出生率」はというと、2007年は、前年の1.32人を0.02ポイント上回る1.34人となり、昨年に引き続き上昇したという結果が出ています。
つまり、減少傾向からは脱したものの、それほど変わっていないということなのですね。
少子化の一番の大きな原因は、非婚化・晩婚化にあるそうですが、結婚していても、子育ては大変、仕事との両立が無理、それに、お金が掛かり過ぎて経済的に困難ということなどもあるでしょう。
国は、現在少子化対策にかなりの力を入れているところで、子供を生み育てやすい環境を整えるため、これに関わる法律改正等を行っています。
今回は、出産してもらえるお金にはどのようなものがあるか、今後の改正点と合わせ時系列で見ていきます。
1.条件
健康保険か国民健康保険に自分が加入中か被扶養者になっていること
2.金額
2008年12月31日までの出産:35万円
2009年1月1日以降の出産:38万円(産科医療補償責任保険3万円含む)。
2009年10月1日~2011年3月末の出産:42万円(産科医療責任保険3万円含む)と実質4万円UP
加入している健康保険や自治体によっては、付加給付が上乗せされる場合もあります。
※2009年1月1日以降の出産育児一時金が3万円増えたのは、産科医療補償制度が始まったためです。産科医療保障制度は、正常な妊娠・出産にも関わらず赤ちゃんが医療事故で重度の脳性まひになってしまった場合の補償を行うもので、大多数の分娩機関(産科・助産所)がこれに加入しています。
保険料3万円は分娩機関から妊産婦に請求されますので、出産育児一時金を申請する際に、保険料の領収書か請求書のコピーを提出します。
3.請求
加入している健康保険の保険者、国民健康保険の場合は自治体へ、出産後に請求します。「事前申請用」の様式で、出産育児一時金の受取代理人となることを分娩機関に同意してもらい、入院時の窓口での支払いは出産育児一時金との差額だけ、また出産費が出産育児一時金よりも低額だったときは、加入している保険者から差額だけ受け取ることも可能です。事前申請は、出産予定日1か月以内となってからできます。
この他、加入している健康保険、自治体によっては出産育児一時金の80%を先払いしてくれる「貸付制度」を利用することもできます。
1.条件
社会保険に加入中の働いている女性が出産した場合
2.金額
自分の給与に応じて決められる社会保険の標準報酬日額×2/3に、産前産後休暇をとった日数を掛けて算出された額がもらえます。日数は、産前48日(双子以上は98日)+α(実際の出産日が出産予定日より長引いたとき)と、産後56日まで。
その期間の給与が無給なら上記の計算ですが、給与が一部支払われるときで2/3未満に減る場合はその差額となります。
3.請求
加入している健康保険の保険者へ、産後休暇終了後の給与が確定したあとに請求が原則です。
1.条件
1年以上雇用保険に加入している人が育児休業をとる場合
2.金額
育児休業中は、「育児休業基本給付金」として育児休業開始前の賃金の30%。育児休業終了後、職場復帰して6か月経過すると「育児休業者職場復帰給付金」として育児休業開始前の賃金日給×20%に育児休業していた日数を掛けた額がまとめて支給されます。
2010年4月1日以降に育児休業を開始する人は、この2つの給付金が統合され、育児休業中に50%支給になります。
※給付金には上限額があり、賃金月額が421,800円以上の人の育児休業基本給付金は、月額126,540円となります。(2009(平成21)年7月31日までの額。毎年8月1日に変更されます。)
3.請求
育児休業中は、会社が2か月ごとにハローワークで手続き。職場復帰後は、6ヶ月経過後2か月以内に申請しますので、だいぶ後になります。
※育児休業給付金の詳細は、下記のページもご参照ください。
身近なお金の安心計画
1.条件
小学生までの子を養育していて、前年(1月から5月は前々年)の所得が下の所得制限限度額を超えていないこと
2.金額
- 3歳未満:月額1万円
- 3歳以上:第1子・第2子月額5,000円、第3子以降月額1万円
申請した月の翌月分から支給が始まります。
支払いは、毎年2月、6月、10月にそれぞれの前月分までが支払われます。
3.請求
住所地の自治体へ手続きします。
所得制限限度額
扶養親族等の数 | 自営業者 (国民年金加入者) |
会社員・公務員 (厚生年金等加入者) |
---|---|---|
0人 | 460万円 | 532万円 |
1人 | 498万円 | 570万円 |
2人 | 536万円 | 608万円 |
3人 | 574万円 | 646万円 |
4人 | 612万円 | 684万円 |
5人 | 650万円 | 722万円 |
平成21年は、景気対策として全国民に対して給付が決まった「定額給付金」のほか、「子育て応援特別手当」として、生年月日が2002(平成14)年4月2日から2005 (平成17)年4月1日の間に生まれた第2子以降の子の数×3万6千円がその世帯に対して、支給されることになっています。両方とも所得制限はありません。
自治体から申請書がきたら、忘れないうちに早く手続きしましょう。