税金・保険コラム

2023.12.19

産前産後の国民健康保険料・国民年金保険料の免除制度

令和6年1月より、子育て世代の負担軽減、次世代育成支援の観点から、国民健康保険の被保険者が出産する場合に出産前後期間の保険料が免除されることとなりました。年金制度はこれに先行しており、国民年金第1号被保険者が出産した際に、出産前後の一定期間の保険料が免除される制度が平成31年(2019年)4月から始まっています。

会社員や公務員で社会保険や共済年金に加入している方については、育児休業期間中に加えて、産前産後休業中の保険料(健康保険料及び厚生年金保険料)が免除される制度が、平成26年(2014年)4月分から開始されました。それに対し、自営業者等自身で事業を行っている方や社会保険の加入対象ではない働き方のため自身で国民健康保険・国民年金保険に加入している方、また、保険料減免制度のない業種別の国民健康保険組合に加入している方は、今回の制度の施行によって、ようやく産前産後期間について全ての保険料免除制度が整えられたということになります。但し、国民健康保険や国民年金保険の保険料免除については、お勤めの会社の社会保険や共済年金とは異なり、原則として自身で手続きしないと免除になりませんので、注意が必要です。
今回は、自営業者等が加入する国民健康保険・国民年金保険の保険料免除制度について解説いたします。

1. 国民健康保険の被保険者が出産する場合の保険料免除(令和6年1月から)

対象者
出産(予定)日が令和5年11月1日以降の人
(注)出産とは、妊娠85日以上の出産をいいます。死産・流産(人工妊娠中絶含む)・早産された人を含みます。

免除期間
出産予定日又は出産日が属する月の前月から4ヵ月間(多胎妊娠(双子以上)の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3ヵ月前から6ヵ月間)
※令和6年1月分以降の保険料が対象

減免額
単胎妊娠 出産する被保険者分の月額保険料×4ヵ月分
多胎妊娠 出産する被保険者分の月額保険料×6ヵ月分

手続き
以下を市区町村役所または国保組合の窓口へ郵送または直接持参します。

●出産前に手続 出産予定日の6ヵ月前から手続可能
①届出書
②母子手帳(郵送の場合は、出産する人と出産予定日がわかるページの写し)
※多胎妊娠の場合は人数分及び多胎妊娠であることがわかる母子手帳の表紙の写し等も必要
③マイナンバーカード等本人確認書類(郵送の場合はコピー添付)

●出産後に手続
①指定の届出書
②母子手帳(郵送の場合は、出産した人と市区町村長の出生届出済証明ページの写しを添付)
※被保険者と子が別世帯の場合、出生証明書など出産日・親子関係がわかる書類
③マイナンバーカード等本人確認書類(郵送の場合は両面の写しを添付)
※自治体・国民健康保険組合により必要書類が異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

2. 国民年金第1号被保険者が出産する場合の保険料免除(平成31年4月から)

対象者
出産日が平成31年(2019年)2月1日以降の人

免除期間
出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヵ月間。多胎妊娠(双子以上)の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヵ月前から6ヵ月間。
※平成31年4月分以降の保険料が対象

減免額
単胎妊娠 16,520円×4ヵ月=66,080円
多胎妊娠 16,520円×6ヵ月=99,120円
※令和5年度国民年金保険料で算出

手続き
以下を市区町村役所の国民年金担当窓口へ郵送または直接持参します。
出産予定日の6ヵ月前から届出可能。出産後はいつでも可能。
①産前産後免除該当届
②母子手帳(出産後は不要。郵送の場合は、出産する人と出産予定日がわかるページの写しを添付)
※多胎妊娠の場合は人数分及び多胎妊娠であることがわかる母子手帳の表紙の写し等も必要
※子が別世帯の場合、出生証明書など出産日と親子関係が確認できる書類
③マイナンバーカード等本人確認書類(郵送の場合は両面の写しを添付)
※自治体により必要書類が異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

免除期間の取扱い
  • 産前産後の保険料免除が認められた期間は、保険料を納付したものとして将来の老齢基礎年金の受給額に反映されます。
  • 産前産後の国民年金保険料は免除されますが、希望により付加保険料(月額400円)は納付することができます。
  • 届出を行う期間について、既に国民年金保険料免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けている場合でも、届出が可能です。これらの法廷免除が承認されている場合でも、年金受給額に反映されるためには産前産後免除該当届を提出しましょう。
  • 保険料を前納している場合、産前産後免除期間として認められた期間の保険料は還付されます。

なお、この制度の財源は、国民年金保険料を月額100円程度引き上げたことによるもので、国民年金の被保険者全体によって支えられています。

おしまいに
出産前後の国民健康保険の保険料が免除されることとなり、会社にお勤めの社会保険に加入している方との格差が縮まるのは大変よいことと感じます。社会保険に加入している方は、産前産後休業後も最長子が2歳になるまで育児休業期間中も保険料が免除される他、雇用保険に加入していれば雇用保険から給与の補填として育児休業給付が受けられるなど、子育て世代に対して手厚い保護がされています。更にパパが育児休業を取りやすくできるよう、昨年からだいぶ制度が整えられてきました。
とは言え、実際にお子さんが生まれれば大変お金が掛かるものです。今後も子育て世代に対しての制度整備の検討が待たれます。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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