税金・保険コラム

2016.04.20

経営者が労災保険に加入できる「特別加入制度」

経営者が労災保険に加入できる「特別加入制度」

皆さん、こんにちは。
4月になり、暖かく爽快な季節となりました。ヘルメットを着用して走る自転車が都会でも流行っていますが、天気がいい日に自転車に乗ると本当に気分がいいです。本格的に走る自転車はとても高額のようですが、体を動かしたくなるこれからの季節には運動不足の解消にもなり、とてもいい大人の趣味なのかもしれません。

さて、そんな4月からの新年度に合わせて加入を検討されることが多い「特別加入制度」。これは、本来、お勤めをしている従業員を対象に業務上や通勤途上で起きた災害に対して保険給付を行う、労働者災害補償保険(以下、労災保険)に、経営者でも中小企業等であれば加入できるというものです。
特別加入するためには、その企業がどこかの「労働保険事務組合」に、労働保険事務を委託する必要があります。企業が納付する労働保険料は、毎年4月から翌年3月分までの1年区切りとなっているため、このタイミングに合わせて「労働保険事務組合」の営業の人が加入推奨に回ることが多いのですが、4月から加入すると、ちょうど保険料の計算を年度の区切りに合わせて済ませることができるのです。

中小企業の経営者は、従業員と同じように仕事をしていることも多く、業務上や通勤途中に怪我をしてしまうことはあるものです。万が一のため、民間の損害保険に加入するという手もあるのですが、労災保険は補償が大変手厚く保険料も安いため、加入できるのであればこれを使わない手はないでしょう。私も、念のため加入しています。

また、建設業や設備工事業などの大手企業が下請けに仕事を出す際、下請けや孫請け等の実際に業務を行う会社が、労働保険(労災保険と雇用保険)や社会保険(健康保険と厚生年金保険)にきちんと加入しているかの確認をすることがあります。小さな会社だと社長であっても現場に出ることもあり、また現場に向かう途中に何かあっても社長は労災保険が使えないため、万が一のことを考えて社長が特別加入をしていないと仕事をさせてもらえないということもあるようです。

今回は、労災保険に中小企業等の経営者が加入できる「特別加入制度」について説明いたします。

 

1. 中小事業主等として特別加入できる人

中小企業の経営者(個人事業主も含む)等として該当するのは、次の範囲の人です。
①加入時点の企業規模が、下の表の従業員数以下の経営者
② 上記①の経営者の家族従事者や代表者以外の役員
※従業員を通年雇用しない場合でも、1年間に100日以上従業員を使用している場合には、常時使用しているものとして取り扱われます。

中小事業主等と認められる企業規模

業 種 従業員数
金融業、保険業、不動産業、小売業 50人以下
卸売業、サービス業 100人以下
上記以外の業種 300人以下
 

2. 従業員を雇用せず「一人親方」として特別加入できる人

次の①~⑦の事業を行う人となります。
※労災保険制度でいう「一人親方」とは、建設業の大工やとび職人、個人タクシーの運転手さんなどで、従業員を使わず商売をしている人をいいますが、その事業に従事する家族従業者や役員等も合わせて特別加入することができます。 土建組合やその業界の組合などの「一人親方の団体」に加入し、申し込みをすることが必要です。

事業の種類(第2種特別加入)
①個人タクシーや個人貨物運送業者
②大工、左官、とび職人などの土建業
③漁師など漁船による水産動植物の捕獲の事業
④林業の事業
⑤医薬品の配置販売の事業
⑥再生利用目的となる廃棄物の収集、運搬、選別、解体などの事業
⑦船員法第1条に規定する船員が行う事業
経営者が労災保険に加入できる「特別加入制度」

※従業員を使用する場合でも、1年間に100日未満であれば、一人親方等として特別加入することができます。
 

3.給付基礎日額と年間保険料

(1)給付基礎日額

最高25,000円~最低3,500円の範囲で、特別加入する人の役員報酬または収入から割り出した日額以下を目安に給付基礎日額を選択します。
今回、労災保険の給付内容についての説明は割愛していますが、特別加入者の保険給付の内容は、従業員に対するものと全く同じとなります。どの給付基礎日額を選択しても、業務上または通勤途上の災害による怪我や病気の治療費は無料となりますが、大きな怪我をして労務不能となり4日以上休業する場合や障害が残ったときの補償については、給付基礎日額の8割相当の計算で保険給付が行われます。

(2)年間保険料

特別加入者の年間保険料は、給付基礎日額×365日×その業種の保険料率で計算します。
(※保険料率は業種別となっており、毎年4/1から見直されます。)

 

例)既設建設物設備工事業の場合

日額20,000円の場合: 20,000円×365日×15/1000=109,500円
日額3,500円の場合: 3,500円×365日×15/1000=19,155円

例)不動産業の場合

日額20,000円の場合: 20,000円×365日×2.5/1000=18,250円
日額3,500円の場合: 3,500円×365日×2.5/1000=3,192円

 

危険作業や外歩きをしないリスクの低い業務であれば、最低の日額3,500円の選択でもよいでしょう。

おしまいに

実は先日、クライアントの社長が仕事中に転んで足を骨折し入院してしまったのです。労働保険事務組合には加入していたのですが、「特別加入制度」の手続きをしていたかどうか、すぐには思い出せず、確認するまで冷や汗が出てしまいました。特別加入していたことがわかったときには、本当に安心しました。
労災による怪我や病気の場合、治療費が保険から全額出るため、大きな怪我をした場合などの万が一のことを考えると、もっと特別加入を推奨しておくべきと思った次第です。
怪我をしないことが一番なのですが、今回ばかりは特別加入していて本当によかったと感じざるを得ない一件でした。
社会保険労務士は、特別加入の手続きができますので、担当の社労士さんがいたらぜひご相談くださいね。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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