税金・保険コラム

2008.10.01

遺言・相続(11)遺言 I 「遺言のすすめ」

皆さん、こんにちは! 皆さんの生活の上で相続問題は大切な事柄です。
このコラムの遺言・相続に関するコーナーでは、引続き必須の基本知識を中心に取り上げて参ります。今回は、「遺言」について3回のシリーズで紹介させて頂きます。
本号は、まずその最初として「遺言のすすめ」、次回は事例をもとに「遺言がないと、どのような不都合が起きるか?」、そして3回目は「遺言の書き方・留意点」というテーマで記述させて頂きます。

遺言がこれまで普及しなかった理由

さて、日本ではこれまで欧米と比較して遺言が普及していたとは言えませんでした。その理由は、下記のようにいくつか挙げられますが、その理由を知ることによって、逆に遺言の重要性を浮き彫りにさせることができます。

  • まず、理由の一つとしては、世間では「遺言は金持ちのみがするもの」という先入観があることです。
    世間の大部分の人は、自分には財産が余りないので、遺言を書く必要がないし、書く柄でもないと考えています。しかし、遺言を書いて残すことは遺産の額や柄の問題ではなく、トラブルを防止することにあります。
    トラブルは、財産の多寡や金額の大小によって決まるわけではありません。人間の権利意識や物質的な欲望がある限り、そんなことにお構いなく発生します。
  • 次に考えられるのは、相続人は被相続人に対して、生前に遺言作成を促すような話を出しにくいという雰囲気があることです。
    たとえば、被相続人のお子さん達が、お父さんに対して「われわれ兄弟姉妹のために早く遺言を書いておいて欲しい」と言ったトタン、「お前たちは俺がくたばるのをそんなに待っているのか!」などと言われかねないし、言い出しにくい話ではあります。
    したがって、被相続人が自ら進んで遺言を作成しておくことが肝要です。
  • また、被相続人は、遺言のやり方がわからないため、面倒な案件として、とかく先送りしがちで、そのうちにご本人が亡くなってしまうこともあります。
    これは、遺言をあまりにも大仰に考えすぎていることに起因しています。遺言の作成は、ある程度の要件をおさえておけば決して難しいものではありません。一生に一度のこと故、専門家に相談をすることも一つの方法です。
  • さらに被相続人は、特段、遺言を残さなくても、自分の死後にあの仲の良い親族が争うことはないだろうと油断していることも多いと思います。 これは間違いの元です。仲の良かったはずの兄弟姉妹が被相続人である父親の死亡を機に、仲たがいする例は多いものです。そのようなことが起こらないよう被相続人は遺言を書く必要があるのです。
  • さらに、被相続人にとって、法定相続人のフルメンバーは誰と誰かという認識が乏しく、自分と一番関係の深い人間が当然、相続するだろうという軽い気持ちに支配されていることがあります。
    これは案外多い例ですが、被相続人にお子さんが居ない場合、被相続人は自分の奥さんだけが自分の相続人だという認識しか頭にないということがあります。
    しかし、法定相続分は、お子さんが居ない場合、奥さんのほかに被相続人の兄弟姉妹も1/4の相続分があります。兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言で奥さんだけに相続させることを明示することができます。

以上が遺言の普及が今ひとつだった理由であり、一方、遺言の大切さを示唆している大事なポイントでもあります。これが遺言の作成を皆様におすすめする所以です。 これからは権利意識の高揚とともに、世代間で遺言の大切さが認識され、遺言が活用されることを願ってやみません。

※遺留分
相続人は、民法で定められた法定相続人の相続分にかかわらず、遺言で自由に相続分を指定することができます。しかし、遺言で指定する場合でも法定相続人の最低限の権利や生活を守るという観点から、これだけは残しなさいよという最低保障ともいうべき割合が定められております。これが「遺留分」です。
遺留分は、配偶者、子、父母にはありますが、兄弟姉妹にはありません。
したがって、遺言によって兄弟姉妹には何も相続させなくても構わないということになります。

遺言の方式

さて、基礎知識として遺言の方式についてご紹介致します。
遺言には一般的に3つの方式があります。

  1. 「自筆証書遺言」
    これは、とくに用紙の決まりはなく、どなたでも適当な紙面に遺言の内容を記述して、封書に入れて保管するものです。
    ただし、内容には一定の決まりがあり、全文を自筆で書き、日付、署名、捺印が必要です。
    それらの要件のないものや、自筆証書という名前のとおり、パソコンで書いたものや代筆は無効ですので、ご注意ください。

    【留意点】
    自分で筆記するため、費用がかからず作成は簡単ですが、誰かに開けられて改ざんされたり、破棄されたり、隠されてしまうおそれがあります。また、保管上の問題もあります。

  2. 「秘密証書遺言」
    これは、自分で遺言を作成し、2人以上の証人(相続人になるような利害を有する関係者はなれません。)を立てて公証役場に行き、これは自分の遺言であると述べて、公証人が日付と本人の申述を封書に書き、本人と証人とともに封書に署名・捺印してもらう方法です。

    【留意点】
    内容が他人に知られず、自筆でなくてもパソコンや代筆でもOKですが、公証人と2名の証人が介在するため、多少の費用がかかるのと、家庭裁判所で遺言であると認めてもらう「検認」という手続きが必要です。

  3. 「公正証書遺言」
    これは証人2人以上を立てて、公証役場に行き、遺言の内容を口頭で伝えたり、事前に下書きを渡しておき、公証人がそれを基に遺言書を作成します。それを本人と証人に読ませるなどして、公証人、本人、証人が署名・捺印して封印します。遺言書の原本は、公証役場に20年間保管され、正本は本人に渡されます。

    【留意点】
    公証人に遺言を作成してもらい、証人も立てるので、前の2つの方式と比較して一番費用がかかります。ただ、「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」はそれを家庭裁判所に持って行って、「検認」という手続きを踏まないと科料に処せられますが、公正証書は公証人が認証するので、「検認」の必要がありません。

次回は、遺言がないと、どのような不都合が起きるかを事例によって解説致します。

社会保険労務士、行政書士
小柴 正晴
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