税金・保険コラム

2019.12.24

労災保険 自転車の事故(被害者となった場合)

  • 最近増えている自転車による交通事故。後ろから走ってきた自転車にぶつけられたり、よそ見などで転倒して自損事故を起こすなど、仕事中や通勤途中に自転車により怪我をする人がここ数年増えているようです。健康志向や災害発生時の利便性、環境対策などを考えて、自転車を利用する人が増えているからかもしれません。

    自転車①
  • ではもし、自分が歩行者で仕事中や通勤途中に歩道を歩いていて自転車にはねられたら、労災保険を使うことはできるのでしょうか?基本的に、自転車を運転していた相手方の過失によるものとなれば、「第三者行為災害」にあたり、労災保険からの補償を受けるのではなく、相手方が治療費等を負担することになります。労災保険の請求については、その怪我によって仕事を休まなければならず休業特別支給金を受給できるときや、相手の損害賠償保険が下りるまでに時間が掛かるとき、また、相手方が逃走したなど相手の身元が定かでなくやむを得ず一旦労災が肩代わりするようなときに限られます。

    今回は、自転車に乗っている人に怪我を負わされたら、どうしたらいいのか。「第三者行為災害」が発生した場合の対応の仕方について解説します。

  • 1.自転車での事故に遭ってしまったらまず何をすればいい?

    自転車による事故も交通事故にあたりますので、警察に連絡をして現場検証をすることになります。自転車保険に加入していたら保険会社にも連絡をします。つまり、自動車事故と何ら変わらないのです。また、相手方の住所、氏名、生年月日等の確認も免許証や持ち物等で確認させてもらいましょう。優先順位は次のとおりです。

    ① 怪我の応急処置、重症のときは119番へ連絡
    ② 自転車や荷物を安全な場所へ動かし二次被害を防止
    ③ 警察に事故が起きた旨を110番へ連絡
    ④ 相手方の氏名、住所、連絡先などを確認
    ⑤ 家族や勤務先へ事故が起きた旨電話で連絡、指示を仰ぐ
    ※相手方は自転車損害賠償責任保険に加入していたら損害保険会社へ連絡

  • 2.勤務先への届け出

    仕事中や通勤途中の怪我で病院に掛かる場合、健康保険証は使えません。擦り傷程度で病院へ行くような怪我でなければ問題ありませんが、治療のため通院したり、重症で入院などとなれば、労災保険が関わってきますので、勤務先にその旨を必ず報告しましょう。

    勤務先へ労災事故の届け出をする際の報告内容は、以下のような事項です。

    ① 被災発生日時(When)
    ② 誰が(Who)
    ③ 被災状況
      どこで(Where)、どのような作業・行動をしていて(What)、どのような物又は環境により、
      どういう状況になって(Why)、どのような怪我をしたのか(How)、
    ④ 病院名と所在地
    ⑤ 薬局名と所在地
    ⑥ 第三者によるものか
    ⑦ 目撃者の氏名
    ⑧ その他勤務先から聞かれたこと

  • 3.第三者行為災害の場合で労災の申請に必要な書類

    相手方がいる第三者行為災害の場合には、提出書類が多くなります。通常の労災の請求書の他に、以下のような書類を提出することになります。

    ① 第三者行為災害届
    ② 念書 兼 同意書(示談や和解、損害賠償請求権について)
    ③ 交通事故証明書(警察に届出を行ってなく取れない場合は交通事故発生届)
    ④ その他勤務先から求められた文書

    自転車②
  • 4.労災保険が使えない人

    会社の経営者や役員、自営業者など、雇われて働いている労働者と言えない人は、特別加入制度を利用していない限り、労災保険は使えません。最近増えている飲食店の自転車でのデリバリーサービス。個人事業主として仕事を請け負って働いているケースが多いと聞きます。雇用契約がありアルバイトで仕事をしている人とは違い、労災保険は使えませんので、ご注意ください。

  • おしまいに

    自転車で走行するにあたっては自転車道や専用レーンがあれば、そこを走るべきではありますが、整備されてない道の場合、自転車は原則として車道側を走らなければならないことになっています。しかし、車道を走るのは危ないからと、歩道を「ながらスマホ」や、かなりのスピードで走って歩行者に追突して怪我をさせてしまうと、相手に対し治療費等の損害を賠償しなければならないことになります。つまり自転車に乗る人は自分に何か起こったときの補償だけでなく、自分が加害者になった場合の義務を想定する必要があるのです。そんなときに法律上の損害賠償義務をカバーするのが個人賠償責任保険です。子供が自転車で遊びに行ったり、塾への行き帰りなどの途中、乗っている自転車で大人に怪我をさせるような事案もあります。住んでいる自治体で自転車保険への加入が義務付けられていたり、学校で加入している場合もありますが、個人賠償責任保険がないと子供の起こした事故でも相手方への賠償を自己資金で負担しないといけなくなります。心配になるようでしたら、今一度加入状況と補償内容がどんな内容なのか確認してみてくださいね。

社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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