旅・レジャー

2012.01.12
2012年がついに幕を開け、多くの方が気持ちを新たにしているはず。初詣で今年の幸運を祈ってきた方も多いことでしょう。
初詣に並ぶ社寺の年頭行事に「節分」があります。「鬼は外、福は内」の掛け声で豆まきをすることでなじみ深い節分ですが、もともとは厄災をもたらす悪い鬼を駆逐する宮中行事に由来しています。
「節分」というのは季節が移り変わる節目のことで、立春・立夏・立秋・立冬の前日を指しています。季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられていたことから、宮中では鬼払いの儀式として行われていました。特に立春は1年の始まりと考えられていたので、その前日である春の節分は大晦日に当たることになります。節分に年齢の数よりひとつ多く豆を食べるのは、「立春を新年として節分で年を越す」という意味合いが含まれているのです。いにしえの歳時に則って考えると、一年の計は元旦だけではなく、節分にもあるかもしれません。
一般家庭でも豆まきのイベントとして浸透している節分ですが、その意味を知り厳かな気持ちで節分を迎えれば、いつもの年よりもご利益があるかもしれません。
節分は春を迎えるにあたり、邪気や災難をはらい、新しい年(季節)の豊作や福を招き入れる行事。今回はそのルーツを学び、幸運をさらに呼び寄せてくれる旅へ出かけましょう。
節分の元になっているのは、「おにやらい」「追儺(ついな)」と呼ばれる1年を締めくくる宮中行事です。新年を迎えるための大事な行事で、平安時代には立春ではなく大晦日(旧暦の12月30日)に行われていたようです。
『続日本紀』によれば、慶長3年(706年)、文武天皇の治世に宮中で初めて「おにやらい」を行ったという記述が登場します。諸国に蔓延した疫病で多くの死者が出たので、「土牛」を作って厄をはらったとあり、これが節分行事の始まりであるとされています。
宮中で行われていた追儺の儀式がどのようなものかというと、『枕草子』や『源氏物語』にもその様子が登場します。大晦日の晩、戌の刻(夜8時)になると、宮中の大内裏(だいだいり)に方相氏(ほうそうし)と呼ばれる人が陰陽師や童子とともに登場します。方相氏はその年、鬼を封じる役目を負った役人のこと。黄金の4つ目を持つ大きな面をつけた異形に扮し、盾と矛を持って地面に打ち鳴らして「おにやらい、おにやらい」と大声で唱えながら、宮中を歩き回るのです。これにより見えない悪鬼を内裏から退散させ、新しい年を無事に迎えることができるとされていたのでした。
現在のように「鬼は外、福は内」と唱えて豆をまくスタイルは、後世になってから行うようになったもの。そもそも鬼の邪気はらいには、「桃の枝」が用いられていたのだとか。中国からの言い伝えで、「桃には鬼をはらう力がある」と考えられていたためですが、いつしか、魔を滅する=魔滅(まめ)、すなわち大豆にも邪気はらいのパワーがあるとして、豆が桃に取って代わるようになり、豆まきの行事として現在に伝わってきたのです。
除災招福の願いを込めた豆まきは、現代においても多くの社寺で毎年の大事な行事として行われています。今年も、福のおすそ分けを求めてたくさんの人が訪れることでしょう。今回はさらに自分にあった福を招き入れられるよう、いろいろな願いに強いとされる神社の節分をご紹介しましょう。
日本で最初に神前結婚が行われた神社として知られる東京大神宮。江戸時代には、伊勢神宮詣でに憧れる庶民のために、東京で伊勢神宮をはるか遠くに拝める場所「遥拝殿(ようはいでん)」として、創建された神社です。伊勢神宮と同じく日本神話における最高神「アマテラスオオミカミ」、そして結びの働きをつかさどる「造化の三神(ぞうけのさんしん)」が祀られており、縁結びには最高のご利益があるとされています。
2月3日には「節分祭」が行われ、裃(かみしも)姿の年男・年女を中心にした豆まきが行われ、境内は多くの人で賑わいます。
男体山(なんたいさん)と女体山(にょたいさん)が連なる霊峰「筑波山」をご神体とする筑波山神社。男体山にはイザナキノミコトを、女体山にはイザナミノミコトを祀っています。日本最初の夫婦神として日本列島を生み出したとされる二神は、絆を強める夫婦和合の神、結びの神として信仰されています。
筑波山神社の節分は「年越祭」。元来は旧暦正月14日に追儺の儀式(豆まき)を行っていましたが、現在では2月10日から11日の2日間にわたって約600人の年男が豆をまく盛大な神事となっています。福豆とともに福物を授かることができ、家庭円満や家内安全を願う人には心強い神社です。
全国3万社という稲荷神社の総本山である伏見稲荷大社。祀られているのはウカノミタマノオオカミで、五穀豊穣を守護する食物神・農耕神として知られています。近代では、産業や商工の守護神として信仰を集めるようになり、商売繁盛、金運アップなどなど、現世利益を叶えるとして広く崇められているのが稲荷神社なのです。
その総本宮である伏見稲荷大社の「節分祭」は、2月3日に行われる外拝殿での豆まきが主な行事。京都では節分に「四方(よも)参り」といって北東、南西、東南、北西にある社寺におまいりをする慣わしが残っており、東南を守護する伏見稲荷大社は、毎年多くの参拝客が訪れる節分の人気スポットです。
アマテラスオオミカミの弟、ヤマタノオロチを退治したことで有名なスサノオノミコトを祀っているのが、「やさかさん」の愛称で知られる八坂神社。荒ぶる神として知られるスサノオは、疫病をもたらす邪霊をはらう神として信仰を集めました。有名な京都の祇園祭は、八坂神社による疫病神を鎮め退散させる祭礼なのです。
そんな八坂神社の「節分祭」は、毎年2月の初旬に2日間にわたって華やかに開催されます。伏見稲荷大社と並んで「四方参り」に訪れる人が多い神社で、舞妓による舞踊奉納、芸妓や舞妓、年男・年女による豆まきなど見どころも盛りだくさん。
京都らしい雅やかな雰囲気のなかで、1年を健やかに過ごすためのパワーを授かれそうです。