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旅・レジャー

2009.07.09

おだやかな水流に心癒される、関東有数の景勝地・長瀞(ながとろ)(埼玉県)

深い緑と奇石に囲まれた、神秘的かつ美しき青い瀞

深い緑と奇石に囲まれた、神秘的かつ美しき青い瀞

埼玉県の北西部・荒川の中流域に位置する長瀞。ここは、古くは大正時代から、人気の観光地として知られる土地である。
長瀞の「瀞」という字は静かな流れを表すが、その字の通り、このあたりの川面は非常になめらかで水流もおだやか。あたりは木々に囲まれ、喧騒と縁遠い場所でもある。その澄み切った清らかな気配を静かに感じ入れば、心のすみずみまでが洗われ、しっとりと満たされていくような気持ちになれることだろう。

この"美しき静寂"だけでも現代人にとっては貴重な存在であるが、しかし長瀞の魅力はそれだけではない。中心部の川辺に広がる、静かな印象の水の流れとはまったく対照的な自然の造形物、それが荒々しい迫力を持つ岩畳だ。

長瀞の岩畳は、隆起した結晶片岩が平らに広がったもので、1924年に国指定の名勝・天然記念物に指定されている。川辺のすぐ傍で観光客たちはその上に座り、川から流れてくる涼やかな風を受けながら、思い思いのひとときを過ごす。
ぐるりと見渡せば、岩畳のむこう、川の対岸には、「秩父赤壁」と呼ばれる断崖絶壁が見え、また少し離れた場所には、「菊水岩」、「虎石」、「紅簾片岩」といった奇岩が見えるだろう。名前の由来を思わせる見事な菊水模様や、虎の肌を思わせる縞模様は、見る季節や時間帯によってもその表情を変える。できることなら、ひがな一日、せせらぎに耳を傾けながらこの美しい自然と向き合いたい―そんな思いが芽生えるほどに、長瀞の夏は美しいのだ。今年の夏は、都会の暑さや煩わしさから離れ、この自然が創り上げた尊き芸術を鑑賞しながら休暇を過ごしてみてはいかがだろうか。

深い緑と奇石に囲まれた、神秘的かつ美しき青い瀞

深い緑と奇石に囲まれた、神秘的かつ美しき青い瀞

長瀞には、年間200万人にものぼる人々が観光客として訪れるという。先に紹介した自然の景観はもちろんだが、いまからおよそ1900年前、西暦110年からの歴史を持つ「宝登山神社」(ほどさんじんじゃ)や、銅の産出で知られる「西浦採銅抗跡」、秩父地方の代表的な養蚕農家であった「旧新井家住宅」など、さまざまな文化財を見て回る楽しみもある。

また、寛保2年(1742年)関東各地に未曾有の災害をもたらした大洪水の際、当時の最高水位を示した跡が残る「寛保洪水位磨崖標」も一見の価値がある。いまの川の様子とはまるで違う、河川の整備がされていなかった昔に思いを馳せれば、改めて自然を眺めるにも、違った視点が持てることだろう。

長瀞は夏場に涼を求めて訪れる人も多いため、近年ウォータースポーツやアクティビティ、アウトドアのメッカとしても注目されるようになってきている。こういった新しい遊びは大変人気があるが、古くから伝わる「川下り(長瀞ライン下り)」も一度は体験してみたいものである。長瀞の、自然が創り上げた芸術品ともいえる景観はまさに息を呑む美しさだ。

しかしそれは、岩場から見るのと、実際に小船に乗って川の流れを間近で体験するのとでは、やはりひと味もふた味も違う。船首にいる船頭が川のカーブに合わせて時にはしゃがみ、バランスを調えながら舵をとる様はとても味わい深く、また微妙な高低差のある箇所で小船が危うく揺れる浮遊感は、何ともいえぬスリルと風情が感じられる。

そして何より魅力なのは、絶えず流れゆく川から見る景色だ。それらは地上で見るものとはまったく異なるもののように、とてもはかなく、しかし驚くほど鮮明な映像となって目に飛び込んでくる。ゆるりと川の流れに乗り、過ぎていく景色を見つめよう。日常では決して得られない経験は、きっと夏の日の素敵な思い出になるだろう。

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