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旅・レジャー

2008.10.16

色づく木の葉の絶景を楽しむ 紅葉の旅

日本の四季に感じ入る 紅葉の秋

紅葉

秋と言えば、多くの人の心を惹きつけて放さない"紅葉"のシーズン。紅葉を鑑賞する文化は日本固有のものであるという説もあるが、実際には世界中のいろいろな国でも同様の習慣を持つ土地があるというから、美しいものを美しいと感じるその心は、万国共通のものなのだろう。

秋を飾る言葉は「食欲」「読書」などさまざまだが、自然が織り成す偉大な景観美である紅葉は、そのスケール感からしてもやはり別格だ。燃えるように息づく紅葉は、その土地によっても微妙な個性の違いを見せてくれる。はかなく、しかし情熱的な色彩に包み込まれる、夢か幻のような感覚に心を酔わせる旅に、この秋は出かけてみよう。

自然の偉大なる力が作り上げた名勝 大分県の「耶馬溪」

大分県、「耶馬溪(やばけい)」。大正時代に新日本三景に選ばれた、奇岩奇峰の林立する渓谷である。その昔、耶馬溪の絶景こそ今と変わらぬものの、その名は当時「山国谷」と言った。どこか中国風の響きがある「耶馬溪」という呼び名が付いたのは、そう昔のことではない。江戸時代、文人、漢詩人である頼山陽(らいさんよう)がこの地を訪れ、そびえ立つ絶景に感じ入った。雄大な渓谷美を誇るこの地を漢詩にしたため、「耶馬溪天下無」と褒め称えたことから、耶馬溪という名前が広く人口に膾炙(かいしゃ)することになったのである。

耶馬溪

その頼山陽が「天下無」と讃えたのは現在単に「耶馬溪」と呼ばれる地域であるが、山陽が訪れたなら、ここをも絶賛したであろうと感じる場所がある。それが、「深耶馬溪」だ。
この深耶馬溪に並ぶのは、自然の風雨に刻まれた八つの奇岩。「海望嶺」、「仙人ヶ岩」、「嘯猿山(しょうえんざん)」、「夫婦岩」、「郡猿山(ぐんえんざん)」、「烏帽子岩」、「雄鹿長尾嶺(おしかながおのみね)」、「鷲の巣山」といったそれぞれ異なる迫力で迫る自然の創意をまるごと一幅の絵に収めたような、「一目八景(ひとめはっけい)」と呼ばれる絶景である。

展望台に立つと、背中が粟立つような気すらする。なにしろ、見るもの全てが絶景だ。ごつごつした形の奇岩は、かの時代の水墨画の題材にもなりそうな景観であり、その下地に惜しげもなく乗る絵の具が、これも見事な紅葉である。ときおり風に揺られ、舞い散る葉を眺めると、絵画の世界に入り込んだような、不思議な感覚を呼び起こされずには居られない。ここから眺める紅葉と奇岩の壮大なコントラストには、誰もが圧倒されるのだろう。当然ながら、シーズン中の人気も随一だ。平日ならば混雑もやや緩和するとのことなので、足を伸ばすならば参考にしていただければと思う。

羅漢寺

また、ここから距離はあるが本耶馬溪まで足を伸ばせば、約1300年前からの歴史を持ち、山の中腹の岸壁という厳しい立地に建つ「羅漢寺」や、ノミと槌だけで30年かけて彫られたと言われるトンネル「青の洞門」、日本最長の石造りアーチ橋「耶馬溪橋」など、先人の想いと技が息づく建造物にも触れられる。自然美の一側面である厳しさに深い敬意を示しながら、特別な紅葉体験をしたいと考えるなら、ぜひ耶馬溪に訪れてみてはいかがだろうか。

さて、これほどの美景を巡るのは、一つのスポーツにも似たものがある。自然と対峙して感受性をフルに開き、見えるものそのままを全身で受け止めるのだ。たっぷりと鋭気を使ったあとは、展望台近くの店の暖簾をくぐろう。耶馬溪の名物は、ソバ。景観を楽しみながら、ほっと息つくひと時を楽しんでほしい。

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