旅・レジャー

2009.12.10
明治維新の立役者として名を馳せた坂本龍馬。彼が残した偉業の数々は歴史になり、逸話となって今にも伝えられていますが、中にはちょっと変わった逸話も。実は、龍馬とその妻のお龍は、日本で初めて「新婚旅行」を行った人物といわれているのです。
きっかけは、慶応2年に、京都郊外の伏見で起きた襲撃事件。後に寺田屋事件とも呼ばれるこの騒動で傷を負った龍馬は、西郷隆盛らにすすめられ、湯治のために妻のお龍と霧島を訪れます。夫妻が巡ったとされる温泉地は、日当山(ひなたやま)・塩浸(しおひた)・栄之尾(えいのお)など。温泉を巡りながら、美しい自然を相手によく遊び、夫婦水入らずでゆったりと過ごす安らかな時間。この旅行中、二人は生涯でもっとも楽しく、そして幸せなひとときを過ごしたのです。
この温泉地のうちいくつかは、現在も入湯することができ、龍馬ゆかりの地として多くの人が訪れます。例えば、薩摩藩家老、小松帯刀(こまつたてわき)を見舞うために立ち寄ったという栄之尾温泉は、現在、ホテル内の温泉として残り、緑渓湯苑という名前になっています。
日当山温泉は、国分平野北西部から中部[旧大隅国(おおすみのくに)]にかけて散在する温泉群で、共同浴場が多いのが特徴です。神代の時代、イザナギとイザナミの二神が蛭子命(ヒルコ)をこの地に送り療養させたという伝説も残っており、鹿児島の奥座敷として古くから栄えてきました。
そして霧島市牧園町にある塩浸温泉は、現在建物の老朽化により工事が行われており、残念ながら入湯は不可。しかし、龍馬が浸かったといわれる湯船があり、龍馬とお龍の銅像を見ることができます。
これからの季節は特に、厳しい寒さが身に沁みて、温泉のあたたかさが恋しくなるころ。今年の冬は、龍馬ゆかりの温泉郷を尋ね、歴史と滋湯にたっぷりと浸かる旅はいかがでしょうか。
龍馬とお龍は、湯治のために温泉地を巡りながら、ときには魚を釣り、ときには野鳥を狩り、ときには登山をするなどして霧島の自然を存分に味わいました。中でも、龍馬が「この世のものとは思えない」との感嘆の言葉を表し、絶賛したといわれる"犬飼の滝"は、今もその姿のままに残されています。
木々の深い緑に囲まれた、高さ約36メートル、幅約20メートルの大滝"犬飼の滝"。道の整備も現在より整っていなかったころ、開けた視界の先に現れた滝が、どれだけの迫力を持って龍馬の目に飛び込んできたのかが鮮やかに想像されます。雄大な高千穂峰を背景に、勢いよく水しぶきをあげる壮大な滝。龍馬夫妻も同じ景色を眺めたのだと思うと、いっそう感慨深く、その迫力を眺められるのではないでしょうか。
犬飼の滝は、鹿児島県霧島市牧園町にあり、国道223号線、牧園町の妙見温泉付近から県道470号線に入った先で見ることができます。現在では観瀑台が設けられているので、当時よりも手軽に、その雄大な姿を楽しむことができます。
霧島の温泉と、犬飼の滝。龍馬ゆかりの地を訪ね、歴史をなぞりながら温泉に身を浸せば、湯の香りもより豊かに感じられ、心が癒されることでしょう。龍馬夫妻と同じ旅路を辿って、いつもの冬旅とは一味違う思い出を作ってみてはいかがでしょうか。
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