ポスタルくらぶ

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旅・レジャー

2008.10.09

琉球の恵み 命の川「金武大川(ウッカガー)」

清らかな湧き水と古酒の源へ

古酒(クースー)

沖縄県の金武町(きんちょう)に、名水としても名高い井泉「金武大川(ウッカガー)」がある。沖縄県内には全47箇所の泡盛酒造所があるが、そのうちのひとつの酒造所では、金武大川の名水で仕込んだ泡盛、そして古酒(クースー)を作っている。泡盛を寝かせてつくる古酒は、非常に長い時間をかけて熟成させるため、豊かな香りとまろやかなコクが生まれる逸品の焼酎だ。
ところで、金武大川の水で作る古酒のうち、ちょっとした秘密がある醸造所がある。通常、古酒づくりは、香りやコクを出すため、貯蔵庫に寝かせて醸造するが、年間を通して気温の低い、鍾乳洞・日秀洞の中で寝かせている醸造所があるのだ。この酒蔵は見学も可能で、静かな鍾乳洞で眠る瓶の並びは、浪漫をかきたてる非日常的な光景として人気を博しているのだ。
遥か遠い昔からあまたの命をうるおしてきたであろう金武大川の清浄な水は、人々の心を惹きつけてやまない、美味なる泡盛・古酒のもとにもなっている。

熟成させた美酒とともに最高の肴を楽しむ

最高の肴

泡盛や古酒のつまみに合うものと言えば、「豆腐よう」や「田芋(ターンム)」といった沖縄特有の名が挙がる。豆腐ようは、豆腐をもち米麹や紅麹、泡盛などを用いて発酵・熟成させた発酵食品で、琉球王朝時代から続く高級珍味。濃厚な香りと舌触りを併せ持つ独特の味わいが魅力で、爪楊枝で少しずつ削り取るようにするのが通な食べ方だ。
一方のターンムは、田んぼで栽培する水芋の一種で、シンプルにから揚げにして食べる場合もあるが、ふかしてからすりつぶし、出汁や豚の三枚肉、かまぼこなどを加えて練り合わせたドゥルワカシーという料理にする場合もある。後者は、豆腐よう同様、琉球王朝時代から伝わる伝統料理として知られていて、どろりとした見た目からは想像できないほど美味な一品。美酒と珍味、伝統料理に囲まれて楽しい宴を繰り広げれば、沖縄の人たちのあの輝くような笑顔の源を理解できるかもしれない。

清らかな水に想う、「命の薬」=「ぬちぐすい」

「命の薬」=「ぬちぐすい」

沖縄では、非常に美味しいものを食べたときや美しい景色を見たときなど、心を満たす出来事に出会ったときに「ぬちぐすい」という言葉を使うというが、この言葉を知ると、泡盛や田芋などをつくるために使用する金武大川の清らかな水も、ある意味では「ぬちぐすい」と言えるのかもしれないといった想いが脳裏をかすめてゆく。
琉球国由来記(1713)の11巻には、「中でも深い洞窟こそが観音の住処で、霊跡・霊験は数知れず、呼べば応じ、龍宮に続いており誰にもその深さは知れないという」という一説があるそうだが、この鍾乳洞とは先ほども文中に出てきた日秀洞のこと。高野山真言宗金峰山系の金武観音寺の境内にある日秀洞から湧き出る水は、金武大川(ウッカガー)として流れ、長いあいだ人々の生活に大切に使われていたために、別名「長命の泉」と呼ばれるようになったという。脈々と続いていくこの大いなる自然の営みにも感謝の気持ちをこめて、ぬちぐすいという言葉を贈りたい。

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