旅・レジャー

2008.07.28
京のことわざに『伊勢へ七たび 熊野へ三たび 愛宕様へは月参り』という一節がある。その通り、京都市最高峰の霊山、愛宕山の頂上に在る愛宕神社は、古くから人々に愛され信仰されてきた存在だ。そんな愛宕山のふもと、かつて愛宕神社参拝の宿場として栄えた清滝の渓谷沿いに、いまも京都の清流として名高い「清滝川」がある。
初夏には源氏蛍が舞うことでも知られる清滝川は、その美しいせせらぎを眺めながら、暑い夏の一日を涼やかに、そして優雅に過ごすには最適の場所。周辺一帯は、栂尾(とがのお)、槙尾(まきのお)と合わせて『京都の三尾』と呼ばれる高雄の雄大な稜線が連なる。紅葉の名所として有名な高雄だが、夏の瑞々しい緑に彩られた川面もまた、爽やかに季節を感じさせてくれる。
川沿いを歩くならば、高山寺(こうざんじ)、西明寺(さいみょうじ)、神護寺(じんごじ)といった、往時の景観を残す古刹を訪ねて歩くのも興味深い。夏のひと時、蝉時雨を供に、この清流を尋ねてみてはいかがだろうか。
JR京都駅から清滝へは、京都バス清滝行きに約1時間。終点で降り、徒歩すぐの場所のため、京都に土地勘のない人でも安心して訪れることができる。この辺りは風光明媚な景勝地として、新緑の季節・紅葉の季節ともに多くの人に人気のエリアだ。そぞろ歩けば、川のせせらぎが耳をくすぐる。足を伸ばせるならば、川沿いにそびえる「高山寺」にぜひ立ち寄りたい。
世界文化遺産に登録されている高山寺は、13世紀初め頃からの歴史を持つ古い寺院。国の史跡に指定された楓の古木が茂る境内、国宝である簡素で静かな佇まいの石水院など、見どころが沢山ある。鳥羽僧正が描いたとされる、かの有名な絵巻物「鳥獣人物戯画」も、高山寺が所有する貴重な美術品として知られている。
緑豊かな自然や、歴史を感じる古寺を鑑賞した後は、京都の夏の風物詩「川床」も楽しみたい。川床とは川の上や川がよく見える屋外に設けた桟敷のことで、川床の上では懐石料理やお茶などをいただくことができる。
夏に京都を訪れるのなら、床の下を流れる川からの冷たい風そして流れる水音から涼を感じ取るという、雅な京文化を体験しない手はないだろう。有名どころでは京都の中心部を流れる鴨川、深い緑に囲まれた情緒溢れる貴船川などがあるが、もちろん清滝川でも体験することができる。
江戸時代から続く川床は、別名納涼床とも呼ばれており、もとは遠方から訪れた客をもてなすために始まったものだと言われている。川床は、夏の京都の厳しい暑さを、少しでも涼しく過ごすための先人の知恵。そんな歴史に思いを馳せながら、京の時間をじっくり味わいつくしたい。
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