趣味・教養

2010.09.15
96年にNYの小劇場で初演以来、12年4ヶ月のロングランと世界15ヶ国での上演、さらに06年には映画版もと、今なお愛され続けている伝説のミュージカル『RENT』。日本版も多く上演されているが、08年にシアタークリエで上演されたエリカ・シュミット(00年フリンジフェスティバル最優秀演出家賞、01年プリンセス・グレース賞受賞)演出版は、本作の魅力をフレッシュに伝えて高い評価を得た。2年ぶりの上演となる今年は、新キャストも加わった最新版。プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースに、夢よりも現実をとらざるをえなかった者、HIVポジティブの者、性的マイノリティなど、現代の"リアル"を時に残酷に、時にエモーショナルに名曲の数々と共に綴っていく。
映像作家志望のマーク(福士誠治)と元ロックバンドのボーカル・ロジャー(Anis/RyoheiのWキャスト)が暮らすNYのイーストヴィレッジ。ロジャーは元恋人がエイズで自殺して引きこもりになり、自身もHIVに感染してからは死ぬ前に一曲でもいいから素晴らしい作品を作りたいと願う毎日だ。偶然出会ったダンサーのミミ(ソニン/JenniferのWキャスト)に惹かれるものの、なかなか気持ちを伝えることが出来ないロジャー。マークもパフォーマーの恋人・モーリーン(キタキマユ/MizのWキャスト)を女性弁護士に奪われたあげく、家賃(レント)滞納で電気まで止められてしまう。そこへ親友の大学講師・コリンズ(米倉利紀)が電話をかけてくるが...。

生きるために意に沿わない仕事を選ぶマークには、ドラマや舞台、時代劇などで清冽な印象を残す福士誠治。同居人のロジャーは、ミュージシャンのAnisとRyoheiがWキャストで務める。またキーマンであるコリンズには日本のR&Bシンガーの先駆けである米倉利紀、ロジャーが恋する奔放なミミにはソニンとJenniferのWキャストと、商業演劇の枠にとらわれない配役がクリエ版の見どころだ。その顔ぶれは、オーディションで選ばれた俳優、ミュージシャン、ダンサーと実に多彩。自身もアーティストとして活躍中の彼らだからこそ、『RENT』の真髄である情熱と挫折の妙を伝えることが出来るのである。
最後に、『RENT』がなぜ"伝説のミュージカル"と呼ばれるに至ったかを記しておこう。それは作詞・作曲・脚本を担当したジョナサン・ラーソンがまさにマークたちのような若者であったこと、そして96年のプレビュー前日に35歳の若さで急逝したことにある。彼の遺志を継いで幕を開けたオフ・ブロードウェイ公演は、ラーソンをよく知るキャスト陣の熱演もあって大ヒットを記録。続くブロードウェイ版では、ピュリッツァー賞のドラマ部門、トニー賞の4部門を制覇。まさに『RENT』の世界を地でいく奇跡が起こったのだ。「No day but today(未来もない過去もない。今日という日を精一杯愛し、生きていく)」。この力強いメッセージは、ラーソンがこの世を去って14年後の今も、観客の胸に深い感動を刻み続けている。
| 日程・会場 |
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| 出演 | 福士誠治/Anis/米倉利紀/ソニン/田中ロウマ/Shiho/キタキマユ/他 |