趣味・教養

2010.03.15
1920~30年代のアメリカをたくましく生き抜いたある姉妹の姿を描いて、98年のトニー賞ではミュージカル作品賞やオリジナル楽曲賞など4部門にノミネートされたブロードウェイミュージカル『SIDE SHOW』。実在した結合双生児の物語という、一見エキセントリックなモチーフながら、ショービジネスの草創期と人間の運命の不思議さを華やかなステージと共に綴る本作。名コメディエンヌとして知られたヴァイオレットとデイジーには貴城けいと樹里咲穂が扮し、華やかさの裏に潜む悲哀をどう見せてくれるのかも見どころだ。

禁酒法時代のアメリカ。平凡な結婚を夢見るヴァイオレット(貴城)と社会的な成功を目指すデイジー(樹里)は結合双生児で、気の進まないままボス(大澄賢也)の催す"フリーク・ショウ"(見世物興行)への出演を続けていた。そんなある日、彼女らの女優としての才能に気付いたミュージシャンのバディ(伊礼彼方)は、プロモーターのテリー(下村尊則)と協力して姉妹の引き抜き作戦を決行する。ショー仲間のジェイク(岡 幸二郎)が見守るなか、美しさと才能とを兼ね備えたヴァイオレットとデイジーは、稀有なボードビリアンとして全米中の人気者になる。バデイは次第にヴァイオレットに惹かれていくが...。
本作の魅力は、なんといっても多彩な楽曲の数々にある。あの『ドリームガールズ』の映画版とミュージカル版の両方で大ヒットに導いた作曲家、ヘンリー・クリーガーが音楽を担当。バラードからロック、ゴスペルまで、時にキャッチーで時にメロディアスな名曲の数々が全編を通して本作を彩る。さらにセリフがほとんどなく、ほぼ歌のみで進行するために、実は役者の負担は相当なもの。だが今回は、共に宝塚歌劇団出身で、現在多くの舞台にひっぱりだこの実力派、貴城と樹里の共演が実現。妖しいけれどたくましく、華やかなのに地に足がついている本作の両極の魅力が、最大限に発揮されることは間違いない。
演出を手掛ける板垣恭一は、「運命にどう向き合うのか、誰にも共感してもらえると思います」(公式サイトより)と自信をのぞかせる。見終わった後にじわりと胸にしみる舞台づくりで定評のある演出家だけに、過酷な運命にくじけることなく生きる姉妹の描き方には要注目。他にも、いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在となった大澄や、舞台にピリッとしたアクセントをもたらすベテランの岡、元劇団四季の看板役者である下村、若手筆頭格として急成長を見せる伊礼など、最強の布陣がそろった。芝居・歌・ダンスと三拍子そろったキャスト陣だけに、ブロードウェイミュージカルらしい、見応えたっぷりの舞台を約束してくれそうだ。
| 日程・会場 | 4月7日(水)~18日(日) 東京芸術劇場 中ホール(東京都) |
| 演出 | 板垣恭一 |
| 出演 | 貴城けい/樹里咲穂/下村尊則/大澄賢也/伊礼彼方/ 岡幸二郎 他 |