趣味・教養

2010.02.15
江戸時代から戦前までしばしば上演されていた人気演目でありながら、"衆道"の物語であるということ、また本物の火を使った舞台演出とで、久しく上演が途絶えていた『染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)』(原題は『蔦模様血染御書』)。その面白さに気付いた市川染五郎が、新作歌舞伎として大阪・松竹座で上演したのが2006年。それから4年、各界から熱い注目を浴びた本作がついに東京・日生劇場にて再演決定!染五郎と片岡愛之助、市川春猿、市川門之助ら、実力・人気共に備える若手役者が再び集結しての舞台となる。

武士の大川友右衛門(染五郎)は、細川越中守の小姓である印南数馬(愛之助)に偶然出会い、一目惚れをする。友右衛門は早速、中間(屋敷の下働き)の身分に身を落として細川家に仕えることに。数馬もそんな友右衛門の情熱に応え、やがて2人は衆道の契りを結ぶ。同時に数馬の父が濡れ衣で殺されたことを知り、仇を討つことを誓う友右衛門。だが数馬に横恋慕する腰元・あざみ(春猿)の密告で、2人の仲は主君である細川越中守(門之助)に知られてしまう。だが友右衛門と数馬の真剣な想いと、敵討ちのことを聞いた細川越中守は、武士としての誇りを保ち続ける友右衛門に感銘を受け、改めて武士として細川家に仕えることを命じるのだった。そんな折り、数馬の宿敵が細川家を訪ねることになり...。
約半世紀ぶりに上演された初演では、恋人役の染五郎と愛之助の美しさに加え、現代ならではのスペクタキュラーな特殊効果を用いた舞台装置とで、新作歌舞伎らしいエンターテイメント性を存分に発揮していた本作。もちろん、当時の武家社会に備わっていた信義や絆といった要素や敵討ち、クライマックスの火事場まで、歌舞伎らしい見せ場も盛りだくさん。"歌舞伎"でありながら、歌舞伎を知らないビギナーにも楽しめること必至の舞台となった。今回の再演にあたっては、見せ場である敵討ちと火事場の必要性をより強く打ち出すために、「友右衛門と数馬の愛に焦点を当てて仕上げる予定」という染五郎。初演よりさらにパワーアップした舞台が期待できそうだ。
歌舞伎だけでなくミュージカルやTVドラマ、劇団☆新感線の舞台など、縦横無尽に活躍してきた染五郎だが、ここ数年はあえて歌舞伎の舞台に集中しているという。だが大阪初演時には、なんと本作を今ブームのBL(ボーイズラブ)小説として出版したりと、攻めの姿勢は相変わらずだ。元々歌舞伎は、社会現象を取り入れた戯曲などで大当たりをとって発展してきた舞台。しっかりと"歌舞伎"の本道を突き進む染五郎の挑戦を見守りたい。
| 日程・会場 | 3月6日(土)~26日(金) 日生劇場(東京) |
| 出演 | 市川染五郎/片岡愛之助/市川猿弥/市川春猿/ 上村吉弥/市川門之助 |